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帰還

 狭い薄暗い牢屋の中でも、薄っすらと光りが差し込んできた。

この光にどれだけこの牢屋に閉じ込められた人の悲哀と絶望そして、はかない希望を見出せただろう。

一瞬、牢屋の黒い壁が揺らいだように見えた。

「お待たせしました。姫様。」

暗闇から声が聞こえたと思った瞬間、ユキがその声の主に飛び掛かった。

「玄武、よくも姫様をこんな目に合わせたな!」

玄武は、しばらくユキのやりたいようにさせていた。

多分、それが一番時間のかからない方法でもあるかのように。

ユキが、落ち着くのを見計らって玄武が跪いた。

「姫様、まずは、お着物をお召ください。」そう言って、ドレスを差し出した。

ユキは、それをひったくるように奪い取り、一度も玄武から目を放すことなく、姫様に着させた。

「ユキ、お前のも持ってきた。」そう言って、ユキにも服を差し出した。

ユキが、服を着出すと

「姫様、申し訳ありません。昨夜、お城に夜襲が有りました。それに気づいて、慌てて姫様の所に向かったのですが、お風呂で倒れていたのを見つけたのと同時に敵が押し入ってきたので、慌ててこの牢屋に飛ばしてしまいました。」

「まさか、偽の大使を暴いた早々に夜襲を掛けるとは、思ってもみませんでした。しかも、来客も大勢残っていたので、お城の中が大変な騒ぎになってしまいました。」

「多分、奴らも偽大使がばれた場合の対策も考えていたのかもしれません。それに、大勢の来客の警備で城の守りがおろそかになった時を狙ってくるとは、なかなかの知恵者です。さらに、風呂好きの姫様の湯船に催眠剤を流しいれるなんて、相当手の込んだやり方です。」

「玄武、それで怪我人は?」

「こちらは、軽傷のものが数名出てしまいましたが、相手側でとらえたものはすべて自害してしまいました。なので、黒幕は、わかっていません。」

「偽大使に関しても、日本側から送還するようにとの指示が来たので、何もできませんでした。」

「舐められたものね。私たちも。」とユキが、独り言ちた。

「姫様に、関しては、気絶していてもユキがそばに居れば何とかなると思っていましたので、安心はしていたのですが、ここまで、お城の対応に掛かるとは、思っていませんでいた。」

「ユキ、姫様を守ってくれてありがとう。」そう、玄武がユキに声を掛けた。

「自分の方こそ、事情も分からず、食って掛かって申し訳なかった。」

 後で聞いた話だけど、玄武は、ユキより力はあるけど、姫様に身をささげている分、姫様に何か有った場合、姫様からの霊力により数倍いや数十倍強くなるらしい。

事情も分からず、ユキに立ち向かわれられると、玄武でも対応しきれないらしい。

朱雀の時も、相手がユキに迂闊に手を出せなかった理由が分かったように思う。

 それから、玄武と一緒にお城に戻ったが、壊れた調度品や、絵がそこら中に散らばっていた。それに、相手側のなくなった兵士たちが、中にはに集められていた。

姫様の顔を見て、近衛兵と少年騎士団が集まってきた。

「姫様、御無事でよかったです。」と、口々に叫んでいた。

「すみません。私こそ、こんなときに皆様のお役に立てずに。」

「そんなことは、無いです。姫様が、安全なことが何よりです。」

「いつ、敵が攻めてくるかわかりません。姫様も安全なところに避難してください。」

近衛兵の一人が、そう言うと、玄武が、姫様とユキをお城の上階へと連れて行った。

「ユキ、申し訳ないが、お城の上階から周りの状況を見ていてほしい。何か有ったら、少年騎士団に伝令を頼んでほしい。」そう言うと、少年騎士団も一緒に来るように指示した。

多分、玄武は、少年騎士団の連中も姫様と一緒に安全な場所に避難させたかったのかもしれない。







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