牢屋
しばらくして、ユキが口に毛布を加えて、戻ってきた。
「姫様、すみません。こんなものしか見当たりませんでした。」
「ありがとう。ユキ、これだけでも助かるわ。」
そう言って、ユキがもってきた毛布を、素肌にまとった。
「で、どこかわかった?」
「多分、先日追い出し伯爵のお屋敷のようです。」
「屋敷の中には、何も残ってなくて、たぶん、伯爵がいなくなった後に、泥棒が入って、全部持って行ったのかもしれません。」
「昔、お父様から、聞いたことがあるわ。お城に何か有ったら、地下通路を使って逃げろって。そうすれば、伯爵の屋敷につながっているからって。」
「お父様も、実の弟は、信用されていたんですね。」
「たぶん。」
「じゃ、今夜、私たちを誘拐したのは、伯爵かしら?」
「お屋敷の方には人の気配がなかったので、たぶん、お風呂から、地下通路を使って、ここに運び込まれた、そして、犯人は、そのまま、地下通路を使ってお城に戻っていったとしか考えられないですね。」
「だったら、やっぱり、玄武が怪しいわね。」
「こう暗いとどうしようもないから、明日の朝までとりあえずここで待ちましょう。」
これも同じく鉄格子のはまった窓から差し込む月の光に照らされながら、姫とユキは一つの毛布にくるまってお互いの体温でお互いを温めながら、朝が来るのを待つことにした。




