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拉致

 「姫さま、 姫さま。」

誰かが、私を呼ぶ声が聞こえる。

確かお風呂に入っていて、ユキが気絶したのまでは覚えているけど。

「姫様、大丈夫ですか?」

この声は、ユキの声。

「ユキ、どうしたの?クシュン。」と気が付いた時には、冷えた体の所為で、くしゃみした。

「良かった。姫様、気が付かれましたね。」

「どうしたの、ユキ。ここはどこ。」

あたりを見回すとそこは、暗い牢屋のような部屋だった。しっかり鉄格子までは待っていて、向こうには、松明の炎がゆらゆらと揺れていた。この時代に松明なんて、どこかのテーマパークでもないわよ。

「姫様、どうやら、お風呂の湯船の中に睡眠薬が入れられていたようです。」

「それで、ユキが倒れたのね。尻尾を撫でたせいじゃないのね。」

「薬物に対しては、多少免疫はあるのですが、お風呂と言うことで油断してました。皮膚から薬が入って様です。」

「ユキは、大丈夫?」

「大丈夫です。姫さまこそ、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、でも、ちょっと寒いかな。」

「奴ら、裸のままここに連れてきたみたいです。裸じゃ逃げないと思ったのかもしれません。」

「確かに、何もないわね。せめて、羽織るものとかでも、おいていけばいいのに。悪趣味。」

「ユキ、ここどこだかわかる。まだ、お城の中かしら。こんなことなら、もっと探検しておけばよかった。」

「すみません、私もここがどこかわかりません。」

「お城なのか、城外なのか?どれぐらい、寝ていたのかも検討が付きません。」

「とりあえず、二人とも無事でよかったわ。」

「でも、ユキもこの牢屋に閉じ込めたってことは、犯人は、玄武では無いわね。」

「玄武なら、ユキが元の姿にもどって、簡単にここから抜け出せるのを知ってるもの。」

「そうですね。だとしたら、一体誰が。」

「多分、偽大使を送り込んだ者たちね。すぐに、私たちを殺さなかったのは、何か状況が変わったのかしら?」

「それに、お城の中にスパイがいるのは確かね。」

「ユキの体をみて、驚かなかったのは、同類ぽいけど。こんなところにいるのかしらね。」

「わたしを、獣人だと思ったのかもしれませんね。」

「この地方には、狼男の伝説もあるから、そのたぐいのものかもしれません。」

「とりあえず、寒いわ。何とかしなきゃ。」

「ユキ、とりあえずあの松明持ってこれる?」

「はい。」そういって、ユキは、狐の姿になって、松明を加えて戻ってきた。

「姫様、私は、このまま、ここがどこか探ってきます。」

「わかったわ、でも、無理しないでね。」

「すぐに、戻敵ます。」

松明にの明かりに不安そうに自分を見つめる姫様を見ると、なんとかしないと、と思った。

多分、龍に変身された姫様なら、自分の数百倍強いんだけれども、今の姫様は、そんな風には、全然見えない少女だった。

そんな姫様の体を触って、ここまで運んできたやつらは、絶対に許さない。

そう思いながら、ユキは、この場所がどこか確かめようと注意しながら走り回った。








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