帰還
飛行機に10時間乗って、やっと自国の青い空が見えてきた。
「空から見るうちのお城も綺麗ね。」
「ユキあれが、うちのお城よ。」
「綺麗なお城ですね。湖と森に囲まれて、素敵ですね。」
「そして、向こうが街でその向こうが、空港ね。」
「小さな国だけど、農業が盛んで、レアアースも取れるから、それなりに裕福な国ね。」
「だから、伯爵のように、国王の座を狙うものが出てくるのよ。」
「姫様、大丈夫ですよ。私たちが姫様を守ります。」
「ありがとう。でも、無理しないでね。ユキがいなくなったら寂しい。」
「あら、姫様は、ユキがお気に入りなんですね。」
「アキも、好きよ。でも、ユキは、お母さんみたいで、甘えられるから。」
「そうですね。私たちの中でもお姉さんみたいだから。」
「物心ついたころから、あんまりおかあさんとは一緒にいなかったし、それに知らない間にいなくなっちゃったから。」
「姫様、ユキは、そんな簡単には、居なくならないから安心してください。」
「皆様、まもなく当機は、着陸態勢に入ります。シートベルトをお締めください。」
無事、飛行機は着陸した。
往きせずに日本まで帰るのかな?ちょっともったいないような気がするね。」
「そうですね、でも、そんなこと姫様が気にしなくても大丈夫ですよ。」
空港には、あのエコノミーで知り合った少年騎士団が先頭になって、国旗を振っていた。
「姫様、お帰り。」とみんな口々に叫んでいた。
その中に、スーツ燕尾服姿のの玄武が立っていた。
「姫様、お帰りなさい。すごい人気ですね。」
「玄武、ただいま。留守番。ありがとう。」
「とんでもない。おかげで、色々なことができました。」
「何か有ったの?」
「それは、馬車の中で!」と言って、ニタッと笑った。この男が、機嫌がいいなんて、背筋に悪寒が走った。
そう言って、馬車の扉を開けてくれた。
中には、ドレスを着て、頭に王冠を付けたおかあさんが乗っていた。
「お母さん、どうして、ここにいるの。」
びっくりして、思わず乗りかけた馬車から落ちそうになった。
後から、ユキが支えてくれなかったら、本当に落ちていたかもしれない。
「ありがとう。ユキ。」お母様が、ユキに声を掛けた。
「ご無沙汰しております。お嬢様。」
「さあ、レイラ。今から、パレードよ。」
馬車が、動き出した。その前と後ろを騎兵隊が進む。その後を、沿道の人たちが付いてきた。
1時間かけて、街をパレードしてから、お城に戻った。
『なんて、素敵な1日なんだろう。死んだと思っていたお母様が、今、隣に座っているなんて。』
お城に戻ると、姫は、いきなりお母様に抱き付いた。
「お母様、お帰りなさい。」
「ただいま。レイラ。ずっと会いたかったわ。」
「でもどうして?」
「すべて、あなたのおかげよ。」
そう言って、姫を抱っこして、お気に入りのソファーに座った。
「ユキ、紅茶お願い。」
「はい、お嬢様。」ユキも嬉しそうだった。
「実は、隣国にずっと幽閉されていたのよ。」
「森の中で、森林浴をしていると、伯爵を見つけて、動きがおかしかったので後を付けていったら、奴の部下につかまって、そのまま幽閉されたのよ。」
「国王が、亡くなったら、私を使って自分が、国王になろうとしたみたい。」
「だけど、あなたが国王を継ぐって聞いて、悔しがってたわ。」
「それで、あなたの首に賞金を懸けたのを知って、玄武に連絡したのよ。」
「そうなんだ。」
「あなたに、訪日を勧めたのも玄武でしょ。」
「その話を伯爵にリークして、平和ボケした日本なら簡単に姫を亡き者にできますよって。ついでに、日本の弱いところを教えてあげたら、隣国の国王と欲を出して、国内の半分の軍隊を日本に送り込んだってわけね。」
「そして、その隙を狙って、玄武が、助けにくれたの。」
「あれぐらいの兵力なら、問題ないです。」と玄武が笑った。
「まさか、殺してないわよね?」
「そんなことしません。」
「ちょうど、姫様の暗殺に失敗して、しかもその兵士たちがこちらの国と友好関係を結べ!と言ってきたので国王も慌てて、どこかに逃げていきました。」
「それもあって、何事もなくお嬢様を返してくれました。」
「先日も、隣国の代表者が来たので、奥様が、国王の代理で友好関係を結びました。」
「レイラ、この国もそろそろ、王政から民主制に変える必要がありそうね。でないと、経済力で隣国に負けてしまうわ。」
「国王なんて、飾りでいいのよ。」
「おかあ様、私もそう思います。」
「と言うことで、私、あなたの乗ってきた飛行機で明日、お父様に会いに日本に行ってくるわね。」
「ユキ、朱雀もちょっと絞めてくるわね。」
「よろしくお願いします。二度と姫様に手を出さないように。」
「色々、聞いてるから大丈夫よ。」
「レイラ、後は、玄武とユキとでうまくやってね。」
「と言うことで、アキ、来た早々で悪いけど、私と一緒に日本に戻ってくださる。」
「畏まりました。また、お嬢様のお世話ができるなんて、うれしいです。」
「結局、何、全部、玄武が後ろで手を引いていたってこと。」
「そうなりますかね。」
「でも、すべて、丸く収まったでしょ。」
そう言って、玄武が二タ~ッと笑った。




