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思い出11

 翌朝早く、佐々木は目を覚ました。

歯を磨いて、顔を洗った。

リビングに行くと、綺麗に片づけられていた。

佐々木に気を使ってか、みんな結構早めに就寝してくれたようだった。

リビングに続く和室に3人一緒に寝ていた。

川の字ではなく姫と真紀の足元に白虎が丸くなって眠っていた。

和室のふすまを開けたので白虎が目を覚ました。

「おう、佐々木、もう朝か?」と聞いてきた。

「まだ早いですから、眠っててください。」

「そうか?」と言って、再び目を瞑った。

佐々木は、障子を閉めると、台所に入って、朝ご飯の準備を始めた。

お米を洗って、炊飯器をセットした。

それから、シャケをコンロに入れて、スイッチを入れた。火花と同時に青い炎が見えた。

鍋に水を張って、火を付けた。玉ねぎとジャガイモの皮を剥き、玉ねぎは三日月切りに、ジャガイモは、一口大にカットした。それから、さっき水の中に入れて膨らんだわかめを水から取り出し、適当な大きさに切った。

さっき火にかけた鍋のお湯が沸騰したので先ほどのジャガイモと玉ねぎとそしてワカメと、顆粒の出汁の元を入れた。

本当なら、カツオの削り節から出汁を取りたいところだが、時間が無いのでインスタントの出汁を使うことにした。

それから、冷蔵庫に残っている卵を全部使って、卵焼きを作ることにした。

大きなボールに残っている卵を6個全部割って入れた。お箸で、かき混ぜそして、砂糖と水で溶いた顆粒の出汁を入れた。

しまった、オムレツの方が良かったかな?そんなことを思ったが、長方形の卵焼き用のフライパンを出し、出汁入り溶卵を焼きだした。

そして、隙を見て、先ほどの鍋の火を止め、白みそを溶き入れた。

おいしそうなみそ汁の香りが部屋中に流れた。

どうやらシャケが、焼けたようだ。

もうすぐ、ご飯が炊ける。再び、和室の障子を開けた。

そして、そのままにして、料理を続けた。

卵焼きを、縦2㎝幅にカットして、お皿にわけた。

そして、お決まりのように端の部分を自分用の皿に入れた。

ご飯の香りにつられて、姫様と真紀先輩と白虎先輩が起きてきた。

「おはようございます。皆さん、顔を洗ってきてください。」

「朝ご飯、食べましょう。」

顔を洗って、みんな席に着いたので、佐々木が、

「頂きます。」と声を出した。

みんなその声につられて、「頂きます。」と言った。

 みそ汁を一口飲んだ白虎は、そのおいしさに食欲をそそられたのか、卵焼きにシャケにホウレンソウにと次々に平らげた。

みんなに、先に取り分けておいてよかった。

「白虎、食べ過ぎ。」と姫様に言われていたけど、その後、姫様は、姫様の分を白虎にあげていた。

それを嬉しそうに食べていた。真紀先輩もおいしそうに食べていた。

「おいしい。これ、佐々木君が作ったの?」と姫様。

「そうです。いつも、道場では、当番で食事作ってましたから。それに、包丁を使うのも修行の1つです。」

「今は、目を瞑ってても野菜切れますよ。」

「真紀は、良いな。毎日こんなおいしい料理食べれて。」

「姫様、私も料理は得意ですよ。」

「そうね。」

「仕方ない、白虎明日から佐々木君に料理教えて貰いなさい。」

「姫様、包丁とかは自信あるけど、味付けは苦手かも。」

「先輩、レシピ通りに作れば大丈夫ですよ。」

「そうなんだけど、まあ、今度チャレンジしてみるかな?」

食事が終わって、食器を片づけると残ったご飯をおにぎりにしてお弁当を作った。

「皆さん、これ、お昼に食べてください。」

「ありがとう。」

それから、佐々木は、抹茶を立てて、お饅頭を3人にふるまった。

「ほんと、佐々木君てなんでもできるのね。」

「結構、厳しくしつけられましたから。」

「すみません。僕の飛行機の時間もあるのでそろそろ、見送りさせてください。」

「分かったわ。」そう言うと、姫様は、おもむろにリビングの扉を開けた。

「佐々木君、今、思ったんだけど、カギを閉めなくていい扉なら、みんなで帰れるわよね?」

「確かに、そうですね。」

「例えば、この扉とか?」

と言って、開けて見せた。そこには、見慣れた理事長室が有った。

「姫様、すごい。」と真紀。

「じゃ、いつでもここに遊びに来れるね。」と白虎。

「じゃ、僕、荷物の整理と戸締りしてきます。それと、飛行機キャンセルします。」

と言って、佐々木は、部屋中を走り回った。

しばらくして、佐々木が、リビングにカバンを持って現れた。

「お待たせしました。」

「戸締りOKです。」

「佐々木、重そうなカバンだな?」

「何が、入っているんだ?」

「それは、真紀先輩と僕の思い出です。」

そのかばんからは、かすかにラベンダーの香りがしてきた。





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