思い出8
舗装された道を、しばらく走っていると、左手に長く続く砂浜が現れた。
僕たちは、舗装された道から外れて砂浜を走った。
僕は、バギーを止めて、
「真紀先輩も、バギー乗ってみる?」と聞いた。
「うん。」と言ったので、バギーから降りて、前と後ろを交代した。
「これがアクセルで、これがブレーキね。」と一通り説明した。
「僕も後ろに乗るから大丈夫だよ。」
僕が、真紀先輩の手に僕の手を上から被せて、ゆっくりアクセルを開けた。
人が歩くくらいの速度までアクセルを開けると、真紀先輩は、
「すごい、動いた。」と歓声を上げた。
しばらくそうして、二人で砂浜を走った。
喉が渇いたので、バギーを止めて、ペットボトルに詰めて来た水を二人で分けあった。
「楽しかった。」と真紀。
「そろそろ、行きますか?」そう言って、運転を変わって、隣の町に向かった。
やっぱり北海道、隣の町に行くのに30分も掛ってしまった。
そこは、漁師町で、小さいけれどスーパーマーケットが有った。
入り口で買い物かごを取ると、僕は、それを持って、真紀先輩と並んで食料品を見て回わった。
「姫様の好物って何だろう?」
僕たちは、新鮮な魚介類をメインに、ジャガイモやトウモロコシそして、ジュースを買った。
さらに、手書きの衣料コーナーの看板を目指していったけど、真紀先輩が着れそうなデザインの服が無かった。しょうがないので、狐の絵の入ったトレーナーと僕と真紀先輩の下着を数点買うことにした。
レジに行くと、カードはが使えないと言われたので、財布に有った最後の現金の1万円を出した。
ちょっと足りなかったけど、困った顔をしていると、負けてくれた。
外に出て、バギーに乗ると、
「お魚かったから、家に帰るね。ピクニックは、また今度ね。」
真紀先輩は、ちょっと残念そうな顔をしたけど
「そうね、早く帰って、姫様を迎える準備しましょう。」と言った。
帰りは、寄り道をせずに帰ったので、思ったより早く家に着いた。
ふたりで、台所に荷物を運んで、料理を作りだした。
僕は、ジャガイモを剥いたり、トウモロコシをゆでたりした。
真紀は、魚を器用にさばいていた。
「真紀先輩、料理上手。」と言うと、
「任せなさい。」と言われた。真紀先輩の傍に行って、
「僕たち、本物の夫婦みたいだね。」
と言って、頬にキスしたら、僕の方を振り向いて、唇にキスしてくれた。
と、その時、後ろで咳払いが聞こえた。
ビックリして、振り返ると、そこに姫様が立っていた。
「いきなり、見せつけてくれるわね。」
「姫様、何時からいらっしたんですか?」
「さっきから、玄関で居たのに誰も出てきてくれないから、上がってきたら、二人とも仲がいいのね。」
「すみません。気付かなくて。」
「姫様、白虎先輩は?」
「飛行機で来るって言ってたから、来るの明日かも。」
「自分が先に行って、着いたら、つなげてあげるって言ったのに、変なところで遠慮して、自分は、飛行機で行きますって、チケットを手配してたわ。」
「で、姫様は?」
「飛んできました。」
「そうなんですね。」
「それより、お腹空いたんだけど、何か食べる物ない?」
「今、フライドポテト揚げますね。」
「じゃ、僕、紅茶入れます。」
そう言って、二人で姫をもてなした。
夕方になったので、外にテーブルを出して、3人で夕日を見ながら、今までのことを姫様に話した。