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夜戦

 車内の時計が20:20を指したとき左手に東京タワーが見えてきた。

「姫様、あれが東京タワーです。」

「本当なら、今日は、サキとアキとDランドで楽しんでるころよね。でも、こっちの方がもっと楽しそう。」

「ごめんなさいね、うちの部下がドジなばっかりに。」

「いえ、もとはと言えば、私が日本に来たから、皆様にご迷惑おかけして、申し訳ないです。」

「どこかで、休憩取りましょうね。とりあえず、人の多い東京は避けたいので、大黒サービスエリアで休憩しましょう。」

「膝の上の、狐さんもトイレに行きたそうだから。」

「ユキ、服どうしよう。貴方、持ってくるの忘れたでしょう。」

「しょうがないな、襟巻のふりしてトイレまで連れて行ってあげる。」

黒いカウンタックが、大黒のサービスエリアに爆音を上げて入っていった。

駐車場に入ると同じ様な改造車がいっぱい止まっていた。

「ここなら、この車も、目立たないでしょ。」

いや、充分目立ってると思うけど。

「おっ、居た居た。」

朱雀お姉さまはそう言って、2台並んで止まっている迷彩色のトラックの間にカウンタックを止めた。

車が止まるか止まらないかのタイミングで、両サイドのトラックの幌があいて、カモフラージュネットが素早くカウンタックにかけられた。

車の外に出ると、一個小隊の迷彩服の男達が、朱雀に対して敬礼した。

「お待ちしておりました。」

「ちょっと休憩するから、車よろしくね。ガソリンも入れておいて。」

「畏まりました。」

「それと、制服1つ余ってないかしら。できれば、小さいのがいいけど。」

「準備いたします。30秒お待ちいただけますでしょうか?」

「じゃ、トイレに行くから、着くまでに持って来て。」

「畏まりました。」と言い終わらないうちに、その男は身軽にトラックの荷台に乗り込み、ほんの数秒で制服上下を持って走ってきた。

「お待たせして申し訳ありません。」

「こちらをお使いください。」

朱雀は、それを受け取ると、姫に渡した。

「姫様、これをユキさんに着させてあげてください。うちボア付きだから、温かいわよ。」

「ありがとうございます。」

 ユキも、何か言いかけたけど、周りの人が、今のやり興味深そうに見ていたので、そのまま黙って、襟巻にようにしていた。

 多目的トイレに入ると、早速にユキは人間の姿になって、トイレで用を足した。

「姫様、こっちを見ないでください。恥ずかしい。」

「だって、しょうがないでしょう。一緒に入ったんだから。」

「ユキ、あなた私の服を着なさい。私、こっちの服を着たい。」

そう言って、迷彩色の服の入ったビニールを破って中を取り出した。

裏地は、朱雀お姉様の言った通り起毛になっていた。

ユキは、裸で、姫様の着替えを手伝いながら、姫様の脱いだ服を恭しく身にまとった。

「ユキ、ごめんね。下着は、我慢してね。」

「大丈夫です。ちょっと食い込んでますけど、問題ないです。」

「この服、気持ちい。下着の上に来ても、起毛があると温かいし、肌触りもいいのね。」

「じゃ、ユキ行くよ。」

「はい、姫様」

 多目的トイレから、二人で、それもモデル並みのが出てきたので、周りの人が一斉に見つめた。

さらに、その後ろから、真っ赤なドレスの女性が加わったので、周りの目がこの3人に集中した。

「あれ、目立っちゃいけないんじゃなかったかしら。」

そんなことを思いながら、再びカウンタックに乗り込んだ。

ユキは、姫様の服を大事に抱えて再び、狐の姿で姫様の懐で丸くなった。

「さあ、行くわよ。貴方達もゆっくりついてきてね。」

そう、お姉様が言うと、屈強な男たちが一斉に敬礼した。

再び、カウンタックは、爆音を上げて、大黒サービスエリアを後にした。

「安心したわ。みんな無事なようね。」

「あの人たち、お姉様の敵につかまってたという部下なの?そんなドジを踏むようには、見えないけど。」

「そうね、敵の情報も欲しかったから、わざとつかまってもらった、というのが本当のところかしら。」

湾岸から、東名に入るとさらに、スピードを上げた。

メーターを見ると200㎞/hを越えていた。

「お姉様、こんなにスピード出して大丈夫なんですか?」

「今日の午後から、一斉に東名を封鎖したから大丈夫よ。1台も車は走ってないでしょ。」

「ほんとだ。私たちの貸し切りね。」

「このまま、順調に神戸に着ければいいけど、情報だと浜松あたりで敵の動きが有ったみたい。とりあえず、浜松まで行ってみましょ。」

「青龍とも、浜松で合流するから何か有っても大丈夫よ。」

静岡に入り、昼間なら富士山が見えるはずの所を過ぎて、浜松の看板を通りすぎたころに黒いヘリコプターが、静かに上空から近づいてきた。

「大丈夫よ。味方のヘリだから。」

浜松に入ったあたりからなんとなく、緊張感が漂い出した。

「姫様、ごめんね。ヘッドライトを消して走行するから、ちょっと怖いかもしれないけど我慢してね。」

ヘッドライトを消すとあたりが真っ暗になった。今まで、気付かなかったけれど、高速道路の照明もいつの間にか消ええていた。

「海?」

「違うわ。浜名湖よ。」

「海の上に何か浮かん出る。」

そこには、北の海でよくみられるホタルイカの群れのように小さな明かりがいくつも海面のいっぱいに規則正しく漂っていた。その明かりの群れが、静かに浜名湖から浜名湖サービスエリアにつながる斜面を途切れることなく登っていく様子が見えた。

 次の瞬間、カウンタックのすぐ上をロケット弾が通り過ぎて、数十メートル後方で爆発音が轟いた。

「始まったみたいね。どうやら、日本弱点、太平洋側からの上陸作戦で、あわよくば高速を使って東京と大阪を一度に攻め落とそうとしてるみたいね。」

「姫、そのグローブボックスを開けてゲーム機みたいなコントローラみたいなのを出して。」

朱雀お姉様の言われる通り、グローブボックスから画面付きのコントローラーを出した。

「有りました。」

「そうしたら、スイッチを入れて、画面が立ちあがったら、地図が出るから。」

「出ました。」

「そしたら、地図の上の浜名湖サービスエリアをタッチして。」

「タッチしました。」

「そして、ボタンを押すと後ろのロケット弾が発射しまーす。」

と言って、お姉様がコントローラーの赤いボタンを押した。

カウンタックの後ろに積まれたロケット弾が、赤い炎を上げながら飛んでいった。

「3,2,1着弾。」

軽い振動が、カウンタックを揺らした。

それから、朱雀は、続けざまに残りの5発のロケット弾を発射させた。

「大丈夫よ。昼間のうちに東名は閉鎖され、この辺には、人っ子一人いないから。」

「いるのは、敵軍だけよ。まんまと、自分らの誘いにはまって頂いたのよ。」

「それに、海上からは、青龍が駆逐艦で来てくれるはずだし、白虎も大阪から向かってきてるわ。」

その朱雀の6発のロケット弾の着弾を見て、護衛ヘリも動き出した。

一斉に、敵の装甲車に向かって攻撃を始めた。

「姫、その赤いレバーを握って引いてくれる。」

赤いレバーを握って引こうとしたが動かなかった。

「ユキ、ちからを貸して。」

人間に戻ったユキと一緒に力いっぱいレバーを引いた。

 そうするとカウンタックのボンネットが、二つに割れて、中から、12㎜の重機関銃が、左右に二門現れた。

「姫、サービスエリアに入って迎撃するけど車の中は安全だから、しばらく我慢してね。」

 朱雀は、カウンタックをサービスエリアの入り口に向けてハンドルを切ると、そのまま浜名湖サービスエリアに入り、カウンタックのハンドルに内蔵されているボタンを押して、重機関銃の銃弾を発射した。

暗くて、よくわからないけど、それぞれの銃弾が、あちこちに当たってでる音と火花、そして火薬のにおいが当たり一面に広がった。

その、音と爆音が、海の方からも聞こえてきた。

多分、おじい様も来てくれたに違いない。

私の国のもめごとなのに、関係ない人をそして国を巻き込んでしまって、どうしようと思った。

「姫様、姫様。」ユキの言葉が聞こえる。

そのまま、私は、カウンタックの中で意識を無くしてしまった。















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