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日常2

 白虎と姫は、食堂で午後の始業ベルが鳴るまでおしゃべりをしていた。

慌てて、教室に戻ると、真紀も急いで教室に入るところだった。

「真紀、佐々木は、大丈夫か?」と白虎が聞いた。

真紀は、ちょっと顔を赤らめ

「そんなところに、行ってません。」と言った。そして、姫に頭を下げながら、教室の中に入っていった。

白虎は、苦笑いをしながら、姫さんの方を見た。

姫は、白虎に、

「そっとしておいて、あげましょう。」と言った。

佐々木は、命の恩人で好きだけど、でも、自分は人間ではないから、愛してはいけないし、それにこれからどうすればいいかわからない。

 でも、私のために、けがをして動けなければ、私が面倒を見るしかない、と言うよりみたい。

それは、姫様の世話をするよりも今の自分にとっては、大事なこと。

将来のことはわからないけど、でも、彼にすきな人が出来たら、自分が身を引けばいい。でも、そんなことできるかしら。

相手の女性を恨まずに、居られるかしら?そんなことを授業中も考えてしまう。

それでも、終業のベルは、聞き逃さなかった。

「真紀、好きにしてもいいのよ。何が有っても、私たちは一緒よ。」

そう姫様は、真紀の背中に声を掛けた。

真紀は、振り向いて、深くお辞儀をした。

『やっぱり、姫様は私の悩みに気付いてくれていた。』

思わず涙がにじんでいた。

 佐々木の部屋に真紀が入ると、彼は、眠っていた。

多分ランチの後に飲んだ痛み止めがまだ、効いているのだろう。

真紀は、音を立てないようにそっと扉を閉めた。

この部屋に、二人っきりと思うと、自分でもわかるぐらいに鼓動が高まった。

『これが、恋なの?人間ではない自分が、人間に恋なんてしていいの?多分、彼が私を好きになってくれたとしても、最後は、二人とも傷つくしかない。』

『だから、この一瞬を大事にしたい。』

 ベッドの横に椅子を置いて、彼の寝顔をずっと見ていたい。

『横にきりっと伸びた眉毛、男性にしては、長いまつげ。そして、整った鼻筋にかわいい唇。

私が、女装した彼を本物の女性と思い込んだのも無理はないわね。』

『そして、後先を考えずに、私を助けてくれた彼が好き。』今は、そんな気持ちが抑えられない。

もしかしたら、彼は、迷惑だと思ってるかもしれないけど。

 部屋の扉を閉めた安心感と先日からほとんど眠っていなかったのでそのまま彼のベッドに頭を乗せながら眠ってしまった。

誰かに、頭を撫でられているような気持ちいい感覚で目が覚めた。

でも、その頭を撫でらていることが気持ちよくてしばらくじっとしていた。

その時、あまりの気持よさに、我を忘れそうになり長い髪に隠れた耳がピクッと動きそうになったので慌てて起き上がった。

「おはようございます。真紀先輩。」

「体が動かせたら、真紀先輩のかわいい寝顔を見れたのに、残念。」

「大丈夫ですか?私、もたれかかって重くなかったですか?」

「僕の方こそ、勝手に頭を撫でてすみません。我慢できずに撫でてしまいました。」

「すみません。真紀先輩、扉を開けてもらっていいですか?閉まってると、僕の自制心が心配です。」

「そうなの?じゃ、開けるのやめようかな?」

「意地悪ですね。真紀先輩。」

「冗談よ。今開けるね。眠ってたから、うるさいかなと思って閉めたの。」

「ありがとうございます。」

「痛み止めを飲むと、よく眠れるようになったみたいです。昨日までは、それでも痛くてほとんど眠れなくて。」

「ごめんなさい。私のために。」

「でも、そのおかげで、先輩とこんなに長く一緒に居られるからうれしいです。」

「でも、2日間もお風呂に入ってないから、僕臭くないですか?」

「ううん、全然。でも、体を拭くなら、お湯をもらってくるけど。」

「お願いしてもいいですか?」

「もちろん。」

真紀は、女子寮に戻って、ぬるめ湯をいれたポットとタオルと風呂桶を持って佐々木の部屋に戻ってきた。

「扉は、閉めてもいい?」

「はい。」

それから、真紀は、ポットから出したお湯にタオルを浸けて絞ってから、パジャマを脱がし、コルセットを外して、体を拭きだした。

確かに、鍛え上げられた体だけあって、筋肉が引き締まっていた。

思わず、見とれてしまった。

「すみません。体が動けば自分でするんだけど、真紀さん以外に頼める人が居なくて。」の言葉でわれに返った真紀は、顔、首筋、胸、腕、そして少し抱え上げその時、たぶん自分でも状態を起こそうとしたのか、痛みに一瞬顔を歪めたようだがそのまま背中を拭いた。そして、その儘。躊躇せずにパジャマと一緒にパンツもおろして、布団の中で、下半身もさっと拭いた。

彼が、一瞬「あっ、」と言いかけたのを、

「姉に介護の手順は、教わってるから気にしないでください。」とでたらめを言った。

そして、新しい下着とパジャマを彼自身に触らないように注意しながらはかせた。

「ありがとう。」と言った彼の顔は見ずに

パジャマと下着を袋に綺麗に畳んで入れて、

「これ、今日洗濯しますね。」と言った。

「すみません。」

「大丈夫。私のも今日一緒に洗濯するから。」そう言ってから、真紀は、恥ずかしそうに下を向いた。

「真紀先輩って、素敵ですね。僕、好きです。」

「もう、先輩をからかわないでね。」

「本当は、剣道をしてるから、痛みには耐性が有るんだけど、真紀先輩に甘えたくて、つい痛みに負けてしまって。」

「治るまで、面倒みるから安心して。」

「そう、言って頂けると嬉しいです。でも、明日、僕のけがを心配して、母が来てくれるみたいで、家に戻ります。」

「真紀先輩にこんなことをしてもらえるのも、今日が最後ですね。」

 その言葉を聞いて、真紀は、一点を見つめて涙を浮かべた。

「すみません。言おうか言わないで行こうか迷ったんだけど、貴方に嘘は付けない。」

「先輩、最後にもう一つお願いしていいですか?」

真紀は、涙を浮かべながら、

「なに?」ってきいた。

「僕と、僕とキスしてください。好きです。」

真紀は、あふれる涙に濡れながら、そっと彼とキスを交わした。

それから、二人楽しそうに話をしていると、部活が終わって帰ってた白虎とお見舞いに付いてきた姫が、部屋に入ってきた。

「何か楽しそうね。二人とも。」と姫。

「そうですか?」と真紀。

「明日、彼、実家から、お母さんが来て家に帰るそうです。」

「おう、そうか?早くよくなって帰って来いよ。」

「多分、学校へは、1週間ぐらいで復帰しますよ。」

「部活への復活は、1か月ぐらいかかりそうです。」

「それは、いいから顔を出してくれ。」

「お前を目当てに、新入部員がいっぱい入ってきた。」

「女装は、嫌ですよ。」

「それが、男じゃなくて女子部員がいっぱい。だから、女装は、しなくて良いよ。」

その言葉に、姫も佐々木も一瞬冷っとしたが、真紀が、

「佐々木、良かったわね。女子がいっぱいで。」と皮肉ぽく笑ったので、とりあえずみんな胸をなでおろし、佐々木もニコッと笑ったので、それを見て、真紀が、

「佐々木が喜ぶなら、わたしも、剣道部に入ろうかしら?」とつぶやいた。













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