学園祭2
チアの演武と剣道部の演武が終わって、蜘蛛の子を散らすみたいに観客が、武道館からいなくなった。
ほんの数人だけが、名残惜しそうに武道館の中央を見ていたが、
「すみません。本日のプログラムは、以上で終わりです。」のアナウンスに渋々武道館から出て行った。
演武が終わって、チア部は、午後のプログラムまでは、時間が有ったので、自由行動になった。
それで、佐々木と姫と真紀のチームと部長旧副部長新副部長チームに分かれて、入部のパンフレットを配ることにした。
最初は、部長と三宅さん、副部長と佐々木の2名づつでまわろうとしたが、真紀が、どうしてもこの後の学園祭を佐々木と回りたそうにしていたので、姫が気を利かせて、
「じゃ、私と真紀と佐々木さんで3階と4階を回ります。部長と副部長と三宅さんは、2階と1階お願いしてもいいですか?」と言ってくれた。
一番嬉しそうにしたのは、真紀だけど、他の剣道部のメンバーは佐々木の正体がばれないか心配だったが、ここで何か言う方が怪しまれると思ったので、姫の提案に賛成した。
姫は、『大丈夫。』と声を出さずに剣道部の3人に口パクをした。
「じゃ、佐々木さんよろしくね。」と言って、部長は佐々木を送り出した。
真紀は、剣道部の部員以上に、熱心に剣道部入部生募集のパンフレットを配っていた。
そして、それを配り終えると急に、
「佐々木さんて、強いんですね。素敵でした、さっきの演武。」と言って、腕を組みだした。
「あっ、ありがとう。」と言うだけで、顔を赤くした。
「僕なんて、まだまだですよ。白虎先輩の足元にも及ばない。」
姫様は、その様子を見ておかしそうに笑っていた。
「佐々木さん、女性なのに自分のことを僕って言うんですね。」ボーイッシュな髪型なので真紀は、ますます佐々木のことが好きになった。
「佐々木さんは、下の名前は、なんて言うんですか?」
「佐々木美紀…です。」と答えた。ほんとは、美紀雄だけど、男だとばれるとまずいかなと思って、後半を濁した。
「美紀と真紀なんて、素敵。」そう言うと真紀は、佐々木の肩に、頭を乗せた。
佐々木は、どう扱っていいかわからずに、姫の方に振り向いたが、姫もどうしていいかわからず両手を肩の所にして、ダブルの文字をを作った。
佐々木が、男ってわかった時の真紀がどうなるか想像できなかった。
もしかしたは、うまくいくかもしれないし、うまくいかないかもしれない。
とりあえず、この状況で白虎に会うのは避けたかった。
佐々木を見て、気安く佐々木に触ろうものなら、姫様という存在が有りながら、自分の好きな女性に手を出したら間違いなく真紀は、切れるだろう。それだけは、避けたい。
さっき、3階と4階と言ったのは白虎は、虎徹と一緒だから、校舎の中には、入ってこないと踏んだからだ。
1階だったら、自分達を見かけた白虎が、虎徹と一緒の校庭から声を掛けるなんて十分にあり得る。
そして、佐々木に馴れ馴れしく声を掛ける。そして、佐々木の女装をほめるかもしれない。
姫も、佐々木の女装を見て、綺麗と思った。
でも、真紀は、佐々木をどのように見ているのだろう?
真紀の方がお姉さんだから、守ってあげたいかな?
だったらいいけど、もしかして守ってほしいとか?
真紀なら、有り得るな。そんなことを思いながら、3階と4階の教室を回った。
二人を見ていると、段々佐々木が疲れてきているのが分かった。
姫は、
「真紀、そろそろ、チアの午後の部プログラムの準備が有るから戻りましょう。」
と言った。
真紀は、ちょっと間が空いたが姫様には、絶対服従なので
「はい。」と言った。
「じゃ、佐々木さん、良かったら体育館に見に来てください。」そう言うと、姫は、佐々木の腕に回された真紀の腕をほどきにかかった。
真紀は、名残惜しそうに佐々木を見たが、姫に引きずられるようにされながら離れていった。
佐々木は、姫様に、深く頭を下げた。




