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開戦

 「姫、迎えに来たよ。」

朱雀が、来たのは約束通り、夕方だった。

祖父の屋敷の2階から、温かい部屋の中でベッドに寝転びながら、二匹の尻尾を枕に湖越しに向こうの山々に沈んでいく夕日と赤く染まる空と雲を見ていた。

「綺麗ね。」

「そうですね。」とうつろに答えながら、2匹は、夕日を見ずに姫様の顔をずっと見ていた。

 トントンと静かにドアをノックして、ユキが入ってきた。

「ずるい、二人ともどこにいったかと思ったらこんなところにいたのね。しかも、姫様と一緒なんて。」

今朝のお風呂から、ユキの私を見る目がつやっぽいのはなぜ。

「姫様、朱雀様がいらっしゃいました。」

「食堂で、お食事をしながら、この後のことをお話ししたいとのことです。」

「わかったわ、今行きます。」

 透けるような、レースの部屋着が夕日を受けて透けるように裸身のシルエットを浮かび上がらせた。

「サキ、アキ着替えるから手伝って。」

「姫様、今日は、土のお洋服にします。」

「そうね、朱雀のお姉さまに合わせて、赤のショートパンツと革ジャンかな。」

「畏まりました。」

「下着も赤にして。」

「はい。」

鏡をみながら、

『これなら、朱雀のお姉さまの妹のように見えるかしら。』そんなことを思いながら、食堂に向かった。

食堂の扉を開けて、

「朱雀のお姉さま、よくいらっしゃいました。」

「そう言って頂くとうれしいわ。昨日は、ごめんなさいね。うちの部下が、向こうのも連中につかまっちゃって。まあ、姫様に比べれば、うちの部下なんて切り捨てればよかったんだけど、奴らとも接触したかったのよ。」

「今のところ、奴らは、まだ自分を仲間だと思ってるから部下も大丈夫でしょ。」

「お食事でもとりながら、今日の段取り教えてください。」

テーブルには、サラダをメインに、海鮮料理が並んでいた。

「この辺は、うみが近いから、お魚がおいしいわね。」

「姫様、この後、私のカウンタックの助手席で神戸まで向かいます。奴らには、明日の2時に港で姫様を引き渡すようになってます。」

「でも、奴らは、そこでTHE ENDね。」

「青龍とは、浜松あたりの高速で合流して、神戸では、白虎と奴らを挟み撃ちね。」

「なんか、ワクワクしますね。」

「姫には、申し訳ないけど、助手席で私につかまっているように演技してね。」

「わかったわ。」

「朱雀お姉様、部下の方々は、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ、たぶん、神戸で奴らと戦ってるころには、自力で逃げ出してるはずだから。昨日は、そのための時間稼ぎで、姫様を利用させて頂いたから。」

「それは、良かったです。」

「そろそろ、行きますか。」

朱雀お姉様と私とサキとアキとユキとマキで玄関に向かった。

外には、黒いカウンタックが止まっていた。

空港に迎えに来た時と違って、ボディの後ろには、ロケットランチャーと機関銃が取り付けられていた。

「朱雀お姉様、すごい。これ、どうやって使うんですか?」

「車の中から、操作するのよ。もしかしたら、姫様に手伝って頂くかもしれないわね。」

 ちょっと心配になってきたユキは、急にメイド服を脱いで裸になりそのまま、狐の姿に変身した。

「姫様、その格好では、寒そうですから、私も連れていってください。」

「ユキ、ずるい。私たちも行きたい。」

「駄目よ。貴方達は、お留守番です。姫様は、私が守ります。」

「ありがとう。ユキ。じゃ、朱雀お姉様行きましょう。」

そう言って、車に乗り込むと東北自動車道をひたすら南下した。








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