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歴史もの

失踪と復帰の分水領~無料ネットコンテンツ史からみられるパターン

作者: 北田 龍一

 ネットコンテンツと言われて、皆さまは何を思い浮かべたでしょうか? ここは『小説家になろう』というプラットフォームですが、この『ネットコンテンツ』とは、非常に広い範囲を差す単語と、作者は捉えています。


 ユーチューブー、ティックトック、ニコニコ動画などの『動画サイト』に、小説家になろう、カクヨムなどの『小説サイト』……イラスト系サイトにSNSなど、デジタルコンテンツは多岐に渡り、溢れかえっています。そしてこれらの無料コンテンツから、登録者は視聴数を伸ばして広告収益を得たり、商業化を目指して活動する人も多いでしょう。


 そんな中で……どうしても『活動が中断・停止してしまって音信不通』は、決して珍しい事ではありません。他の創作活動やプラットフォームの事もありますが、ここでは分かりやすくするために『小説になろう』で一本化しましょうか。


 そこそこにある話かな? と感じる人が多いと思いますが、実際どうなのか? は検証無しに論じるのは難しい。流石に作者もそこまで時間は取れませんでしたが、『小説家になろう』内部で軽めの調査を行いました。

 検索機能を使って調べた所……本作が投稿されたタイミングですと、小説の合計掲載数は112万を超えた状態でした。そこから『連載作品』で絞り込むと『約53万5千』の小説が該当しています。割合としては若干ですが、短編・単話の方が多いようです。

 次に『連載作品』かつ『完結済み』でフィルターをかけて検索してみました。すると『15万と1千本』の作品が引っかかりました。つまり……『完結済み』の作品は、全体の30%あるかどうか。70%近い作品が、完結を迎える事が出来ていない事になります。


 いやいや、今も積極的に更新したり連載している作品もあるじゃん? と思う方もいらっしゃると思うので……『長期連載停止中の作品を除外する』+『連載作品』でフィルタリングして数字を調べてみました。すると約『2万と6百』の作品が検索にひっかかりました。要は『二万と少しの作品が、連載中で二か月以内に更新を続けている作品』と言う事です。


 数字だけ見れば『無料の小説コンテンツが二万も積極的な更新をしている』と驚くばかりですが……これが『連載中の作品』全体でみると、割合として少なくなってしまうのだから恐ろしい。先ほども記載しましたが『連載中の作品』は『約53万』で……『その中で二か月以内に更新している』作品は『約2万』なのです。パーセントにすると……4%未満になります。



 これはつまりどういうことか――作者の言いたい結論はこうです。

 小説家になろう内で『完結できず、二か月以内の更新が出来なくなってしまった連載作品の割合』は『連載作品の約65%』を占めています。これだけの作品が未完のまま、宙ぶらりんの状態で『小説家になろう』内を漂っているのです。酷い話ですが、最後まで小説を書き切れる/読み切れる可能性が残っているのは……約三分の一な事が、このデータから明らかになりました。(ただし、これは現状のデータですので、未来や過去では割合が異なる可能性を留意してください)


 もちろん、無料で誰でも小説を書ける/読めるサイトの性質上、玉石混合の有様ありさまなのも事実です。打ち切りエンドよろしく、強引に完結済みにブチ込まれた作品もあるでしょうし、二か月内の更新は無くても『本編』は完結しており、不定期に外伝が投稿される形式もあります。そうした例外もあるでしょうが……大体三分の二の作品が、途中で失踪状態と考えて良いでしょう。

 そうして、宙ぶらりんになってしまうまでのパターンですが……主に三つあるように思えます。



 パターン1

 積極的に投稿……日に一回投稿したり、最初の十話ぐらいまでは一日の間に何度か投稿していたものの、少しずつ投稿ペースが落ちて最終的に更新停止。

 このパターンの場合、伸びなかったからと割り切って、投稿者の作者さんが次の作品を投稿する場合もあります。打ち切りエンドのように、ちょっと半端だったり伏線回収が出来ないままですが、とりあえずの完結済みまで持っていく人もいますね。

 これは作者の調査と独断と偏見になりますが……このタイプの作品は、比較的最近の作品に多い傾向に思えます。


 作者の推察ですが、最近では『小説家になろう』で読まれやすい、目につきやすい、高評価を得るためのテクニックも『小説家になろう』が歴史を重ねた事で情報が集積、これによって傾向が見えつつあります。それに沿ったやり方ですので……このパターンの投稿者の方は、書籍化狙いをしている……少なくてもそうした方法や手法に興味を持っている人が多いかと思われます。


 パターン2

 不定期なり、週一なり、毎日だったり……ともかく投稿を続けていた作品が、突然ぱったり止まってしまい、そのまま完全に止まってしまうパターン。これは投稿者さん側の個人的な都合で、何らかの大きな事件が発生してしまった可能性が高いです。不慮の事故でしたり、病気でしたり、引っ越しやその他もろもろで『リアルが多忙になってしまい、小説を書けなくなってしまった』事が原因ですね。


『いや、読者待たせているんだし復帰すればいいじゃん』と思う方もいるかもしれませんが……この手の創作活動は勢いといいますか、緊張の糸のような物があって、毎日創作と向き合っていないと切れてしまう。ましてや、小説に取り組めないような現実に奔走された後ですと、戻すのが非常に難しい。こればかりは、創作に取り組んだ事が無いとピンと来ないかもしれませんが……


 ともかく、そうして一度プチリと切れてしまい、投稿者側が『もういいや』となってしまった作品が『突発的更新停止』パターンです。この場合、アカウント事完全に動かなくなって放置、死んでしまっているケースが多いです。困ったことにこのパターンは『それなりに人気が出た作品でもたまに起こる』のだから恐ろしい。読者側としてはショックが大きいパターンですね……



 そしてパターン3……上記のパターン1や2の派生と言いますか、亜種と表現するのが適切でしょうか? 『一度長期更新停止から復帰し、数話投稿したがその後更新停止してしまう』ケース……そう、こちらは『連載の勢いが落ちて更新停止』か『突発的更新停止』した作品が、一度は再始動の兆しを見せたものの……その後復活できずに止まってしまうパターンです。


 どちらかと言えばこちらは、パターン2からの派生が多いように思えます。パターン1の投稿者さんの場合『半端にするぐらいなら、新しく別作品投稿し直す』あるいは『一回作品を削除して、添削した後に再スタート』の選択肢を取る人もいるからです。これは『小説家になろう』のシステム上、そうした方がランキング到達に有利に働くと考えられているからですね。


 このタイプの方の作品を読みたい場合、投稿者をお気に入り登録しておくと良いでしょう。作品をブックマークに入れていると、作品ごと削除されてしまった場合、追えなくなる可能性大です。ごく稀にアカウントを削除して転生する人もいるので、結局ダメな場合もありますが……



 パターン2からの復帰の兆しは、なんとなしに分かると思います。

 投稿者側の都合で、一時的に活動から離れてしまったものの……読者を待たせているし、創作が嫌いになった訳でもない。あるいはアイデア切れや、モチベーションが大きく下がってしまったが、更新停止してしまった作品に対し、後ろ髪を引かれる思いがある。だから何とか、もう一度投稿を再開した。これがパターン3の初期状態であり……分水領です。


 この『長期更新停止からの復帰直後の状態』が、タイトルにある通りの『復帰と失踪の分水領』の時期です。ここでの刺激や反応が、作品再開か失踪かの分かれ道になっています。


 パターン2の時も少し書きましたが……投稿意欲・創作力には緊張の糸のようなモノがあります。鮮度があるとも言い換えられるかもしれません。これが一度切れてしまうと、繋ぎ直す、復帰するのは非常に大変で……恐ろしく労力がかかります。


 物凄くざっくり表現しますと――連続投稿・定期投稿が出来ていた頃の『一話分の文字数を書く』事と、一度更新停止してからの『一話分の文字数』を、出力するまでの時間と労力はまるで違う。かつては一日一話分書けていたのに……一週間休んだだけで『三日かけて一話書くのがやっと』なんて珍しくありません。しかも連続で投稿出来ていた時と比べても、文章や表現力のキレも落ちる傾向にあります。


 そうすると、書いている側としては死ぬほどツライ。何せ『過去投稿していた頃の自分、過去の成果に……復帰した今の自分がダメ出しされる』状況なのです。質も量も以前の自分より劣化している。何よりそのことを、創作者自身が痛感されられてしまう……



 加えてもう一つ、これは内部データのお話になりますが……小説へのアクセス数、お気に入り登録や評価ポイント等も、連続投稿・定期投稿中と比べると非常に伸びにくい。これは投稿者側目線ではなく、皆さま読者側目線で考えれば自明でしょう。


 何せ定期更新・連続更新の作品は、注目される頻度が違います。新着投稿に乗り、小説検索での更新頻度で上位に乗り、そして鮮度のある作品を、安定して投稿するからこそ、お気に入り登録やブックマーク数が伸びやすい訳ですな。もちろん内容や品質、流行り廃りの影響もありますが……どのジャンルであれ、やはり積極更新は強い。


 が、一度これが切れた痕跡があると……どうしても読者として不安になって来る。また更新停止するのではないか。良い所で、おあずけを喰らったままになるんじゃないか――身に覚えのある読者も少なくないでしょう。少し前に書きましたが、連載中のまま更新止まってる作品は、連載作品の約三分の二を占めているのです。もしあなたが無経験だとするならば……まだサービスを利用し始めてばかりか、よっぽど運がいいか、アタリの小説を選ぶ目がある方でしょう。


 さて、こうした背景から『数字が伸びない』状況は明らかです。なのですが……実は作者側の心理・心情として、こんな風に冷静に判断できる人は少ない。何せ『ひーひー言いながら、必死こいて小説の続きを投稿』している心情ですので、リアル事情はともかく、心理的にかなり余裕が無い状態なんです。

 一度止まってしまった作品の連載再開は、少なからず労力と勇気が必要です。復帰する人ってのは、作品と読者に対して後ろめたさを持っています。責任感と言い換えても良いでしょう。このまま放置したくない……その心情が無ければ、復帰などせずに無言のまま消えていく。パターン2に該当しているはずですからね。



 ですが……そうして復帰した投稿者に待っているのは、上記の現実です。過去の自分に打ちのめされた挙句、過去の投稿より各種ポイントや閲覧数が低迷する。冷静に考えれば仕方のない現象ではあるのですが……疲弊しきった投稿者側目線ですと、このような解釈になってしまうのです。


 せっかく復帰したはいいが、以前より上手く書けないし……自分で書いても読んでも、昔の自分自身の投稿に追い付いていない。きっと読者側にもそれが伝わっているから、数字も伸びて来ないんだ――


 そんな酷い曲解ある? と思うかもしれませんが……復帰したての作品の投稿者は、いわゆるメンヘラ状態になりやすいです。と言うより断言しましょう。少なからずヘラってます。間違いなく!


 何せひーこら言いながら創作して、復帰の際にひっでぇコメント飛んでくるんじゃないかと身構えて、久々の投稿前に自信の無さと不安から何度も何度も見直して、修正を繰り返して、震えながら『投稿する』を押す……連載再開する際はこんな状態です。どう見ても平静の精神状態じゃない。……詳しいって? 作者は経験済みですよ。えぇ。


 加えて、復帰に際して努力と消耗もしているので『頑張ったんだから報われて欲しい』って気持ちもあります。そこに『以前より伸びない』って現実が突き刺さると、活動をやめてしまう。

 これがパターン3の『長期更新停止から数話再投稿して、復帰の兆しは見えたものの……その後完全に更新を停止してしまう』パターンのメカニズムですね。



 しかし、しかしです! 分水領と銘打った以上、ここから復活したケースもあります。実際、コレ書いている作者は復活した側の人間ですし。つー訳で……これから創作者側目線・読者側目線の両方から『失踪と復活の分水領』の復活側に持っていく方策を話していきましょう。ここからの話は『小説家になろう』だけに限らず……ネットコンテンツの創作物全般に応用できると思います。


 まず創作者目線のお話! 警告する。死ぬほど痛いぞ。ネタ発言だけど冗談では無いですからね! これは!

 復帰の決断自体、非常に勇気のいる選択なのは間違いありません。パターン2の突発更新停止の方の中には、復帰へのプレッシャーに勝てず沈黙した人もいるでしょう。辛さを知っている身としては……更新停止した方を責めれません。

 が、その上で再び物語を進めるのなら……備えが必要です。今まで述べたようなキッツイ現実と、過去の自分との闘いに打ち勝つには『青白吐息でやっと一話書けた。読者も待たせているからすぐ投稿』などと、無策で挑めば撃沈は必死! そもそもこの発想もズレてます。


 ぶっちゃけるとね。今時ネットコンテンツなんて山ほどあるんですよ。そんな中で、更新停止した連載中の作品を、未だに作品ブックマークや、お気に入り登録を続けている人は『なろうから離れてそのまま放置している』か『がっつり作品を押さえていたい人』かのどっちかです。

 前者はあまり気にしなくていい。じゃあ後者はどのような人なのか? 答えは『ちゃんと作品が完結するところを見たい人』なんです。

 つまり『とりあえず一話投稿・数話投稿』なんて望んでない。キッチリ作品が完結するのを期待しているか、途中のシーンで良かった・面白かったと思う場所があるから、未だに登録したままにしているのです。

 なので『待たせている』と焦る気持ちは分かりますが、すぐに投稿するのは悪手。復帰投稿者がすべきことは『創作のためのペースを取り戻す』ことです。


 これはつまり、何度か表現している『緊張の糸』……毎日創作と向き合っていないと切れてしまう『創作のための感覚』を、もう一度身に着ける事を優先すべきなのです。一日に何日かかろうが、また一話分を作れたなら……同じぐらいのペースで創作する事は、出来そうじゃないですか?

 いきなり以前のペースに戻ろうとしても、かなり難しいと思います。まずはリハビリや筋トレのような感覚で、無理のない範囲で負荷をかけ、創作を続けて行きましょう。そして出来るなら、単話だけ投稿するのではなく、何話かストックを作ってから投稿するのが良いと思います。


 これはペースを戻すのもそうですが、復帰投稿した日は、どーしても評価や数字が気になってしまうと思います。普通に投稿を続けても気にするんですから、復帰投稿初日に無視するのなんて無理です。キッツイ結果が返って来るだろうな……と分かっていても難しい。話数のストックが無いと、ここでまたペースが乱れる危険性も高いです。

 ですが、話を書き溜めておけば多少はリカバリーが利きます。話数のストックを作れていれば、創作の感覚も少しは戻っているでしょう。メンタルコントロールは難しいと思いますが、それでも書き続けられるペースを戻しておく。また、ストックを使って投稿を続けて行けば、少しずつ数字も伸びてくるはずです。どっちにしても、復帰の時に一話だけ投稿するより、良い結果に繋がりやすいかと思います。


 また、どうしても直接続きを書けそうにない場合は、全く別の作品を……短編で書いてみると良いでしょう。なろうでしたら、個人的オススメはまさにこの企画ですね。春の推理、夏のホラー、秋の歴史、冬の童話のどれかで、短編書いてみるのが良いでしょう。

 何せ『ジャンル』と『テーマ』の二つで縛りがある。人によっては縛りでやりずらくなる人もいますが、全く完全な自由と言われて、創作するのもそれはそれで大変です。この企画でしたら少なくても二つ『軸』が用意されているので、話を組み立てやすいかと。



 さて、投稿者側の話はこれぐらいにして……今度は読者側が『長期休止した連載作品が、分水領の復帰側』に持っていく方法について語っていきましょう。

 と言っても、ここまで読んで下さった方なら、なんとなしに分かると思いますが……読者側が出来る事は少ないです。だって数字周りを下手に盛るのは、不正アクセスやランキング操作と捉えられかねない。最悪の場合小説そのものや、読者側の端末がBANされる可能性も……当然、そんな方法は推奨できません。

 じゃあ打つ手無しか? と言われればそんな事はありません。あるじゃないですか。ポイントや数字を使わずに、投稿者側のモチベを上げる方法が、明確に一つ。


 そうだね。感想コメントだね。


 これらは、ポイントや評価には一切影響を与えませんが……投稿者側に作品に対して、直接メッセージを送れる場です。投稿者側にも通知が行くので、完全に失踪してしまう前でしたら間違いなく目にします。長々と今まで書いてきている通り、投稿者は読者側の反応を待っている状態です。不安に感じつつも、間違いなく目を通すでしょう。

 やはり直接、読者からの反応があるのは……どれだけ投稿を続けていても嬉しいものです。数字上での反応が悪くても、はっきり読者の一人から『待ってました!』の一言で、どれだけ創作者側が救われる事か。


 恥ずかしい、と思うかも人もいるかもしれませんが……その躊躇は誰も得しません。

 考えてもみてください。この状況の読者は『長期更新停止した連載作品』を、ブックマーク登録やお気に入り登録を外さず待っていたんですよ? 半分以上諦めながらも、それでも更新通知が来た時……待たされたとか、何してたんだとか、色々と思う所はあるんでしょうけど、それでも喜びはあったのではないですか?

 ですが本作で書いている通り、復帰した創作者は満身創痍。精神状態も非常に不安定です。ここで応援が無ければ更新停止……いや、完全に失踪する危険性が高い。


 じゃあコメントを残せば大丈夫なんだ! と言うワケでもありません。何度も言いますが『復帰創作者』はボロボロです。具体的に言えば『肯定的な意見は耳に入りづらく、否定的なコトを受け止めやすい』心理状態なのです。

 例を上げるとこんな感じです。こんなコメントを残したとしましょう。


『べ、別にアンタの作品なんて待ってないんだからね!』


 はい、典型的なツンデレコメントです。待たされた読者側としては、ついチクリと刺したくなる気持ちも分かります。通常の心理状態であれば、投稿者側も問題なく受け止められるでしょう。

 が、復帰直後の創作者は疲弊し、ヘラってます。この状態で上記のコメントをどう解釈すると言いますと……『あぁ、待ってなかったんだ。ごめんなさい』(失踪)なんて超解釈になりかねないんですよ。流石にこれは大袈裟過ぎるかもしれませんが……


 要は『復活状態はヘットヘト』なので、チクリと刺した一言が致命傷になりかねません。不安でしたらとりあえず『待ってました!』と残すのがベターです。シンプルに、変な解釈にならない応援コメントが安牌でしょう。



 さて……長々とネットコンテンツで、失踪と復帰の分水領について、主に『小説家になろう』を例に挙げて書いてきましたが……恐らく応用が利くと思います。動画であれイラストサイトであれ、数字とコメントは創作者の栄養源です。

 繰り返しになりますが、復帰には恐ろしく体力を使います。疲れ切りながらも、作品か読者様方への未練からか、再始動を試みて……けれど、その多くが結局止まってしまう。復帰と失踪の分水領と銘打った本作ですが、多くの創作者が失踪側なのは想像できます。


 作者の場合はいくつもの幸運と……どうしようもなく未練タラタラで、諦めるより失踪する方が辛いと感じる人種だった事。そして何度も更新停止→復帰→更新停止→復帰を繰り返した事で慣れ、本作で書いた両者視点の心理を、体感で理解できた点が大きかったのかと思います。

 ……自分で言うのもなんですが、多分このパターンは少数派です。正直最初のころの更新停止と復帰はマジで死ぬほどキツかった。揶揄でも何でもなく、本当にメンタルに来ます。


 もし本作を読んで下さった方の中に、連載が止まってしまった作家様がいらっしゃるなら……間違っても本作に惑わされないで下さい。そりゃ、復帰して完結まで持って行ければベストですよ? そういう気持ちや意図が無いとは言いません。言いませんけど……復活初期に待っているのは間違いなく地獄です。真剣であればあるほど魂を焼かれます。

 話数のストック作れとか、短編書いて感覚を戻せと書きましたが、これだって滅茶苦茶辛い。自分の能力の低下をまじまじと、自分自身に突きつけられる瞬間が必ずあります。そんな激痛の中に飛び込んで復活しろなんて、とても言えません。


 ですがそれでも、再度投稿を始めるのなら……どうかあなたに幸運があらんことを。投稿により再びブックマークが増えたり、評価ポイントが付く可能性もあります。何より、まだ止まった作品をブックマークに入れていた読者が、コメントをしに来るかもしれない。

 しかし、読者様や創作者側の間の良さ悪さもあるので、こればかりはどうしても運に左右されます。本作で紹介した下準備だけでは、どうにもなりません。気休めかもしれませんが……願掛けなり、何らかの運試しをして『流れが来ている』と感じた時に投稿を再開しましょう。


 読者様側も……色々と思う事があるのは分かります。つい意地悪な事を言いたくなる気持ちもしょうがない。

 でもですよ? それでもブクマに入れたままにしたり、時々様子見に来ていたのなら、読者様側にもやはり未練があるのです。そこは素直になって認めましょう。変にツンデレしちゃうと『せっかく復帰と失踪の分水領に立っていた作品に、首長くして待っていた読者側がトドメを刺してしまう』なんて大事故が起きかねません。投稿者側も続けたかった。読者側も続きを見たかった。なのに些細な意地悪のせいで終了なんで、どっちも得が無いじゃないですか。


 これを投稿した所で、結局どうにもならない作品もあるでしょう。でも、こうしてデータを蓄積して、パターンを解析して、次に生かしてこそ意味があると思うのです。それこそが、歴史や記録の意義と信じています。

 最後の方、ちょっと熱が入ってしまいましたが……ともかく。復帰と失踪の分水領に立った作品が少しでも、復帰側に傾いてくれる事を願います。

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