強豪野球部の入部試験に落ちた僕が、女子高校野球界で名将と呼ばれるまで 〜まずはそこの万年補欠を代打の切り札に育ててみせましょう〜

戸崎雄大は父が元プロ野球選手、兄がドラフト1位指名のルーキーという野球エリート家系に生まれた高校1年生。しかし彼には選手としての才能は全く無く、やっとのことで強豪校に入学したのに野球部の入部試験に落とされてしまう。
もう野球など辞めてしまおうかと雄大が落ち込んでいると、1人の美少女から部活の勧誘を受ける。

「戸崎雄大くんっすよね？私は藤川雅、女子野球部の勧誘に来たっす。――選手じゃなく監督としてっすけどね」

雄大は困惑しながらも、まんまと雅の策にハマり女子野球部の監督に就任することになる。
チームの問題は山積み。一番の難題は、実は勧誘してきた雅はキャプテンなのに万年補欠ということ。
しかもチームメイト達からは、『雅を試合で活躍できるレベルに育ててくれ』と課題を出される始末。
それでも雄大は持ち前の野球理論と機転を利かせて雅の打撃を開花させ、県内最速と言われるチームのエースからホームランを放てるレベルに覚醒させる。
チームメイトは雅のその変貌っぷりに雄大を認めざるを得なかった。

こうして雄大は監督としてチーム迎えられた。

パワーバカのエース竜美翼、ずば抜けた野球センスを持つがスタミナ皆無の矢作爽、エースがいなくなると途端にダメダメになるクセの強いリリーバー桑谷杏里など、個性的なメンツが集まるチームだが、そこで雄大は自分でも気が付かなかった監督としての才能と手腕を思う存分発揮することになる。

そうして迎えた夏の大会直前の練習試合、昨年の県内覇者である日進女子の2軍チームと対戦することになるのだが、そこで雅たちの同世代スター投手である広幡が立ちはだかる。

その投球に手も足も出ないナインは、雄大の死にものぐるいの策でなんとか食らいついていく。

あと少しで完全試合を達成されてしまいそうになる最終回。
最後の最後に訪れたチャンス、雄大は代打に雅を告げる。

雅は思い悩んでいた。
雄大を選手として起用してくれるチームへ行けば、また雄大は活躍できる。
でもそれは、チームをここまで築き上げできた監督としての雄大がいなくなってしまうということになる。

雄大は思い悩む雅に声をかける。
それは、この先3年間ずっとこのチームの監督を務めてみせるという決意表明でもあった。

彼のその言葉を聞いた雅は奮起し、広幡からタイムリーヒットを放ち試合を引き分けへ持ち込んだのだった。