1.金色の輝きと動き出した運命ー3
7,
―何―
ー『円形劇場』が《極大》を使ったー
ー嘘だろうー
ー相手は誰なんだー
ーだが、さすがに《極大》を使って倒せない訳がないだろうー
ーたかが一般人だー
ーどうせ何か挑発するようなことでもやったのだろうー
“お前の言ったとおりになったな……。”
“これを地球では‘窮鼠猫を噛む’と言うらしい”
“猫はあっちだけどな”
……………………
8,
挑発しちゃっていた。
「どどどどうしようっ!?」
『まずは相手を殺──倒すことを考えないと』
「何か今さらっと殺すとか」
『言ってない。ヒナが怖がるから柔らかく言い換えようとか思って言い直したりしてない』
「つまり言ったんじゃん!殺しちゃうの!?」
『……まあ、1番それが手っ取り早いけど……出来るの?』
「出来るっ…………って言えれば良かったんだけど……」
『まあとりあえず戦闘不能にすれば良いんだけど……何か思いつく?』
「んんん………………あ、」
『え?』
「無いことはない、かも」
少しでも相手を刺激したら、瞬時に『円形天蓋』だか何だかを撃ち込まれそうだという時に、
『やーいやーい、本当はあんなの撃つ勇気なんて無いんだろビビりー(笑)なんだっけ?……ああ、「円形天蓋」(笑笑)だったww』
煽りまくった。すると相手は勿論、
「おおおおおおああああああああああああどらっしゃああああああああああああ!!!!」
怒って攻撃してくる。
「いくよ」
まずは、迫ってくる攻撃を、
「 圧縮 !」
最大限に圧縮して、規模を小さくしたら、
「転移っ!」
ワープして、敵の眼前に持ってくる。
「っ!?何──」
まだだ。そしてさらに、
「 緩和 !」
これだと相手の体が木っ端みじんになる。それは嫌なので、威力を緩和する。疲れる暇もない。最後に、
「 透過 ……!」
後ろの壁に向かって透過を使う。そうすれば──
「ぐ、う、うああああああああああ────……」
敵は後ろに吹っ飛んでいく。
これで終わった……。
『すごいな……これだけのことをあんな短時間で考えつくなんて……やっぱり、君に力を託した僕の判断は間違ってなかった』
「えへへへ、へ へ 」
あれ、急に力が、抜け、てい って
『ヒナ!?ちょっ ヒ 、 ナ──』
あれ。
意識が だんだん とおのいt
……………………
雨の音が、やけに大きく聞こえた。
* * *
「ハア、ハア、ハア、」
パシャ、 パシャ、 パシャ
「嘘だ……まさか……あんな事になるなんて……」
パシャ、 パシャ、 パシャ
「早く……早く知らせなければ……」
パシャッ
…………!
「おお……『自由思想』か……!」
「………………」
「頼む……早くこの傷を……治してくれ……」
「………………はぁ」
「どうした……早く──」
「『お前の中の彼女らの情報が、全部分かれば良いのに。』」
「……は」
「……ふーん、なる程、名前は片山雛奈、高校1年生で──『輝』の膨大な魔力を受け止めたあげく、それをすぐに使いこなした、と…………って、マジか」
「ちょ、ちょっと待──」
「ああ、お前は情報取ったら用済みって言われた」
「なっ……!?ま、待ってくれ!まだ──」
「『お前なんて死ねばいいのに。』」
「──────────」
……………………
9,
ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ
ピッ
「ん、んう?もう朝……?」
気がつけばもう朝の6時。昨日の事が嘘のように清々しい朝だ。いや、むしろ本当に夢だったのかもしれない。
「ああ、良かっ」
『夢じゃないけど』
夢じゃなかった。あの金色の猫は変わらずそこに居て、変わらず喋っていた。
『夢で全て済ませられるほどこの世は都合よく出来てないんだよ。あと、早くご飯つくって食べないと学校遅れるよ?』
どうやら、この私の物語は学園ラブコメではなく、異能系バトルだったらしい。
外は昨日の雨が嘘のように、雲一つない晴天だった。
* * *
ーまさかあいつがこうも簡単にやられてしまうとはー
ーただのまぐれだ、あいつは感情に左右されやすいー
ーだが、『輝』の膨大な魔力を内に秘めているという報告があったー
ー女子高生だからといって油断するなー
“さて、面白くなってきたな”