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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
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お風呂は問答タイムです



着替えを持って、ミコトは脱衣所へ向かった。ミコトは鏡の中に映る自分を見つめる。髪、やっぱりだいぶ伸びてる?私、髪伸びるのが早いなー。ミコトは自分の前髪を触ってみる。うん、やっぱり伸びてる。


ミコトは眼鏡を外し、服を脱ぎ、お風呂に入った。ミコトは風呂の中でクラスメイトの木村詩織を思い起こす。シオリさんぐらい背が高ければ黒髪のロングも似合うんだろうなあ、せめてママ並みにくらいまでは延びて欲しいな。でも、走る時に邪魔にならないのかな?一度伸ばしてみようかしら?いろいろ考え込んでるとのぼせてしまうので、ミコトは一度湯船から出て、体を洗い、そして髪を洗うのだった。


全てを洗い終える頃、体の熱りがとれるので、もう一度ミコトは湯船に浸かり明日のことを考えるのであった。明日の朝ご飯、パパに作れるのかな?私が作った方がよくないか?でも任せてって言ってたから任せるか。まあ、私はママの手伝いとはいえ自分で料理はしないから、パパの方がましなのかも。それにしても、お弁当はどうするんだろう?パパ、料理はできてもお弁当は作ったことがあるのかな?うーむ、疑問だ。カズミちゃんはどうやって料理を覚えたんだろう?教えてくれるかな?アイちゃんも巻き込んだ方がいいかな?


“アカネサス・ヒノミコトよ。そろそろ風呂から出た方がよいのではないか?”


そう問いかけるのは、ミコトの部屋にある土偶である。この土偶は、この家の中や神社ぐらいまではミコトに語りかけることが出来るのである。ミコトが、つい三週間前に風呂で湯だったことを覚えていたのだった。ミコトは、この土偶をソナタと呼ぶことにしていたのだった。人が周囲にいないときは声で、いるときは頭の中で返事するのであった。どういう原理で土偶と話が出来るのか、精神感応と言うのだろうか?それとも空想の産物なのか?ミコトには分からない。不思議な存在が不思議なコトを言って来る、そのことがミコトには不思議でもあり好ましくもあるのであった。


「そうだね、そうするよ。それはそうと、明日の天気はどうかな?」

“明日も今日と同じような天気じゃ”


どういうわけか、この土偶は天気予報が出来るのだ。この仕組みもミコトには分からない。初めて土偶と話した時は、人を支配する力を与えることができる、などと大層なことを言っていた。ミコトは人を支配したいというより、人を知りたいという人だった。ミコトは土偶の人柄、いや、人ではないから物柄と呼ぶべきか、とにかくソナタのことを知りたいために、ソナタと話をするのだった……。


“なぜ、そこでそのようなことを聞くのじゃ?”

「だって、部屋にいる時ソナタと話をしたら、おスミちゃんが暴れるでしょ?まだそこにいるんだもん」


黒猫はソナタがミコトと話すことを気付いているようで、そんなときに大暴れするのだった。


「それにしても、人はどうして病気になるのかな?」

“病気、とは病のことじゃな。ヒトに限らず、イキモノは”


ここで土偶は一旦言葉を切った。


「どうしたの?」


“うむ、イキモノは、この世にあり続けるために、おのれを変え続けなければならないのじゃ”

「へえ、それで?」


“一方で、イキモノはこの世にあり続けたいと思うため、変わりたくないのじゃ”

「へえ、どうして?」


“自分が自分であり続けたいと思うこと、それはモノのコトワリというもの”

「コトワリ?」


“そうじゃ、世のコトを割っていって割っていって最後に残るモノが、すなわち、理”

「それが、病気とどう関係があるの?」


“わからぬか?イキモノは自分では変わりたくない、だが、変わらなければならない。おのれを変えるきっかけが病なのじゃ。変わりたくないので、イキモノは洟を出し、咳やくしゃみをし、発熱する。いわば体全体で変わろうとすることに抵抗しているわけじゃな”

「変われなかったらどうなるの?」


“イキモノが変われなくなったら、死あるのみじゃ”


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