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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
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買い物(ミッション)終了



会計を済ませると、石川和美が先に待っていた。


「おう、ミコト。買い物済んだな。あとはアイだけだな」

「アイちゃん、まだ悩んでいるみたい」

「決断力に欠ける奴だな。ちょっと見てくるか?」

「まだ十分経ってないじゃない。カズミちゃんせっかちだな。もうちょっと待とうよ」

「だけど、アイの奴、決めるのに時間がかかるぜ」

石川和美の言うとおり、竹下愛がレジを出たのは石川和美が解散宣言をしてから十五分後であった。

「遅いぞ、アイ。どれだけ悩んでるんだよ?」

「だって、悩んでる時間が楽しいんじゃない、そうだよねー、ミコトちゃん?」

「そうだね」

「また、ミコトはアイを甘やかしてる。ところでおじさん、どうしてる?」

「ミコトちゃんのお父さん、まだ買い物かご持ってうろうろしてたよ」

「そうか、まだ時間がかかりそうだな。ソフトクリームでも買って待たないか?」

「賛成、賛成!」

「うーん、でも晩御飯前に食べるのはまずくない?」

そうミコトは主張するが、腹の虫はそれとは異なる意見だ。大きな音を立てて自己主張した。

「体は正直だね、ミコトちゃん」

「よし、決まりだな」



 結局、三人は店の出入り口にある休憩所でソフトクリームを買って、食べながら待つことにした。ミコトはバニラ味、石川和美は抹茶味、竹下愛はストロベリー味をそれぞれ選んだ。ソフトクリームの冷たく、そして柔らかく甘い感触を、三人は舌で堪能していた。


「誰もチョコを選ばなかったね」

「たまたまじゃない?それに明日、たくさん食べられるんだし」

「まあ、バニラ、チョコ、イチゴ味はアイスの基本だし、どれか外れることもあるだろ」

「カズミちゃんは、抹茶味なんだ。どう?おいしい?」

「うん、初めて食べたけど、意外といけるよ」

「へえ、カズミちゃん、チャレンジャーだねえ」

「そんなんじゃないよ。ここ、とおちゃんを迎えに来るときによく使うんだ。残っていたのは抹茶味だけだったからな。それだけさ」

「カズミちゃん、お父さんのこと、とおちゃんって呼んでるんだー」

「なんだよ、ミコトだっておじさんのこと、パパって呼んでるじゃないか」

「アイちゃんはなんて呼んでるの?」

「あたしは普通に、お父さん、って呼んでるよ」

「とおちゃんだって普通だぞ」

「パパだって普通だよ」

「大体普通ってなんだよ?」

「普通っていうのは、特別の反対。ありふれたこと、もの」

「ど、どうしたんだよ、ミコト?急にそんな説明口調になっちゃって?」

「あ、ごめんね。最近ナニナニって何か?なんて聞かれると、ナニナニはナニナニであるって説明するのが癖になってるみたい。気にしないで」

「おいおい、また変な癖、付いちゃったな」

「ミコトちゃんらしいねー」



 三人でソフトクリームを食べながらそんな話をしていると、ミコトの父親がレジを抜けて来た。買い込んだものをカートに入れミコト達の方向に向かってきた。


「やあ、こんなところにいたのか。買い物は終わったの?」

三人揃って、終わりましたよー、と返事した。


「それじゃあ、帰ろうか。ミコト、これ、持ってくれる?」

「トイレットペーパーと紙コップ。そっちは何?」

「ママに頼まれた分。パパが探していたのは結局なかったよ」

「何探していたの?」

「何ってカーテンさ。さっき先生が言ってただろう。カーテンが薄いかもって。さあ、みんなソフトクリームを食べ終わったら車に乗って、お帰りだ」


三人はコーンの部分を食べ終えると立ち上がり、男の後についていった。



 竹下愛を彼女の家に降ろすと、ミコトの父親は彼女の母親に挨拶して再び車に戻って来た。


「さて次はカズミちゃんちだね。家まで案内してよ」

「うん、車だとすぐだよ」

「それにしても、さっきのはひどいなあ」

「なんかあったの?」

「うん、カズミちゃんのパパに会いに行った時、カズミちゃん、パパのこと、彼氏だよって紹介したんだ。もう、カズミちゃんのパパ、目を白黒させてたよ」

「いいの、いつもうちのとおちゃんに驚かされてるんだから、アレくらいどうってことないよ」

「何して驚かされてるの?」

「そうだね、死んだふりとか、食べ物の中に一つだけ大量のワサビ入れるとか、もういろいろ」

「それは面白そうだね、ウチでもやろうか?」

「そんなことやったら、ママからお説教されるわよ」

「ははは、そうだね」

「なんだ、おじさんは恐妻家か?あ、そこ左に曲がって」

「家内安全が第一だからね。ここ、左、と」

「あの信号曲がったらすぐだから」

「了解、了解」

「あーここでいいよ、おじさんどうもありがとう」

「どういたしまして、それじゃあまた今度、家においでよ。ちょっと遠いけどさ」

「うん、じゃあミコト、バイバイ。また明日」



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