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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第1章 遮光式土偶はかく語りき
52/155

夢の中でからまれてます



 ずん!いきなりミコトの望むモノが目の前に現れた。周りは真っ白な世界だっただけに土偶の茶色がやたらと引き立つ。


「もう、寝なきゃ話が出来ないなんで!」

ミコトはふくれっ面をした。


「そなたの言の葉は聞こえておったぞ」

「ん?なんか話し方が滑らかになってるんじゃない?」

「なに、そなたの話すコトノハを学んだだけじゃ。気にするな」


「もっと起きてるときに話できないの?」

「それはそなたのココロ次第じゃ。話せる状態になれば話せるぞ」

「どうやったら話せるようになるの?」

「わらわと話しがしたいと念じよ」

「一生懸命念じたよ」

「そなたは雑念が多い。念じよ。さすれば起きていてもわらわと話が出来るようになる」

「ふーん、集中しろってこと?」


「シューチューとは何か?」

「集中っていうのは、一つのコトに意識を向けること」

「イシキとは何か?」

「意識は、自分がどういう状態にあるのか自分で分かっているココロの状態のこと」

「ジョータイとは何か?」

「うわっ、状態の説明……難しいな。えっと、ひとつのモノのあり様のひとつ。ココロが嬉しい時は嬉しい状態、悲しい時は悲しい状態。わかる?」

「うむ。ヒノミコトよ。わらわに光を当てたということは、わらわのチカラを使いたいと思ったからであろう?」

「あなたのチカラにはあんまり興味がないけど。なにか光に当たっていいことあった?」

「うむ。近く機が訪れるぞ」

「キってて何よ?」

「わらわのチカラを使う機じゃ」

「機会っていうこと?」

「今の言の葉は機会というのか。よい。その機会が二日後に現れるであろう」

「二日後っていうと、土曜日ね?」

「ド・ヨー・ビとはなにか?」

「曜日が分からないんだ?今日は木、明日は金、その次が土。日、月、火、水って毎日順番に変わっていくの。それで土曜と日曜はお休みの日」

「五行ではないのだな?」

「ゴギョーとはなにか?」

やだな、。口癖が写っちゃった。


「五行が分からないんだ?」

え?何今の?私のマネ?


「五行は火、水、木、土、金が次々と入れ替わることじゃ。さきほどの曜日とは五行より二つ多いの」

「曜日は、空の中でよく動くものを意味してるんじゃなかったかな?ニチが太陽、ゲツが月、カは火星、水星、木星、金星、土星」

「カ、スイ、モク、キン、ドセイとは何か?」

「ああ?うん、夜空の星の中で普通の動きをしない星があるの。それを惑い星って書いて惑星って呼ぶの」

「ほう、惑い星を日月と同じに見なしたか」

「それで土曜日になにがあるの?」

「二日後、日輪が最も高くのぼる時のすこし前」

「それ何時頃?」

「ナンジとは何か?」

「えー、そこも説明しなきゃだめなの?あなたの隣に時計があるでしょう?」

「トケーとは何か?」

「ここじゃなくって、わたしが起きているときに、あなたの隣に置いてある、コチコチ音がする、時を計るもの」

「これのコトか?」

そう言って土偶は目の前にミコトが使っている目覚まし時計を出してみた。


「うわ、すごい!」

「この世はそなたのココロが創り出したもの。そなたが望めばこの場は変わるぞ」

「それじゃあ、わたしの部屋にもなる?」

「願え。そのようになれと。細部まで」

言われるがまま、ミコトは願った。私の部屋に、なれ。細部まで部屋の様子を頭の中で描きながらミコトは願った。すると、ミコトの願いどおりに周りが自分の部屋になった。白色の世界から、自分の部屋に瞬間移動したようであった。土偶は机の上に乗っており、その横には目覚まし時計がコチコチ音を立てていた。時刻は午後八時三十五分。寝つく直前に見た時刻だった。


「あれ?もう少し時間が経っているかと思った。まだ寝たばっかりなんだ」

「そうとは限らぬ。何度も言うがこの場はそなたのココロの中。そなたの覚えがそのままこの世に現れる。それでこれはどのように読むのじゃ?」


ミコトは時計の見方を土偶に示した。短針が数字一目盛り動くと一時間、二周すると一日経ったことを示す。短針が夜中に頂点を差した時、日付が変わること。また長針は短針が一目盛り動く間に一周すること、その一周を一時間とすること。さらに秒針というものがあり、それが一周すると長針が細かい目盛りを一つ進めること。ついでにアラビア数字の読み方まで土偶は知りたがった。


「1はイチ、2はニ、3はサン、4がシとかヨンとか言うの」

「ひ、ふ、み、ではないのだな?」

「そういう数え方もあるけど、それだと二桁以上がないじゃない?続けるけど5はゴ、6がロク、7はナナとかシチ、8はハチ、9はキュウ、次は桁が増えて1の右側に丸を書いてゼロとかレイって読んで。10でジュウ。後は一つ増えるごとにジュウイチ、ジュウニ、ジュウサン……って増えていくの」


「レイは使えど言の葉に現れず、ということじゃな」

「そうだね。時計の話に戻るけど、日付が変わって短針一周目が午前、ニ周目が午後。一周目が終わった時、短針と長針、秒針が重なった時が正午。理解できた?」

「理解とは何か?」

「しまった、熟語が分からないみたい。分かったかって聞いたの」

「話してもらえば全て分かる。そなたがきちんと理解しているなら」

「つまり私の理解力次第ってことか」

「そうだ、わらわにもっとそなたの言の葉を注げ」

「そんなことより、土曜日にどうすればいいの?何をしようとしてるの?」

「そなたは朝、いつもどこへ行っているのか?」



「えー、私の質問には答えてくれないの?」

「質問とは何か?」

「もう!質問っていうのは、あなたがいつもいう{問い}のことよ」

「そなたの問いは、土曜日に何をするかであろう?その他の曜日には何をしているのだ?それが分からなければ、そなたが何をすればいいか言うことはできぬ」

「それもそうかな。平日、おっと、平日って言うのは月曜日から金曜日までなんだけど、子供はみんな学校へ行くの。」

「ふむ、学校で何をするのか?」

「学校はみんなで勉強、勉強って言うのはまだ知らないことを先生に習うこと、先生って言うのは教えてくれる人、習うは……」


説明をしている間に、周りが学校の教室に変わっていった。


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