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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第1章 遮光式土偶はかく語りき
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クラスメイト・女子全員出たかな?

 四人で話しながら教室に戻ると、残りの女子五人が集まっていた。男子はいなかった。

「あー、ミコト達来た来たー」

「遅いぞー、何してたのー?」

「うん、みんなで話ながら歩いてたら遅くなったの。あれ?先生は?男子も全員そろっていないね?」

「ああ、先生ならさっき男四人引き連れてどっか出てったよ」

「四人、あと二人足りないよ」

「あとの二人は体育館に余った椅子と机片付けに行った」

「いつ戻るって?」

「何にも言ってなかったよ」

「ねえ、日野さん」

と新田明日奈がセミロングの髪をなびかせて聞いてきた。新田明日奈はミコトをいろいろとライバル視しており、それがミコトには少し迷惑だった。こういう呼び方をされたときは大抵嫌味を言われる時であった。

「何、アスナ?」

「さっき、ヤナイ君が話しかけてきたの」

「それで?」

「君が日野さん?って、あなた、ヤナイ君とどういう関係?」

ミコトは腕を組み考えた。

「うーん、今のところ無関係、いやクラスメイトかな?」

「無関係な人がどうして挨拶に来るのかしら?」

「さあ、私にもさっぱり」

「まあまあ、アスナ、よかったじゃない、ミコトちゃんと間違われて。私も眼鏡かけてるのに背が高いから誰もよりつきもしないよ」

ともう一人のメガネ女子の荒木恵理子が割って入った。彼女はクラスで二番目に背が高いのだが、体重が一番重いので見た目の安定感は抜群だ。

「でも、ミコトちゃん、ヤナイ君と何かあったの?」

「昨日家に来たって話はパパから聞いたけど、私は直接会ってないしなあ」

「それで、ミコトちゃん、どう?彼?」

「どーしてみんな同じことを聞いてくる?」

「だってさー、ミコト美人だし、選び放題じゃない?」

「ほめてくれるのはうれしいけど、何にもでませんよ?」

「ミコトはまだまだお子様だから、男とデートなんて考えてないよね」

「男の人とデート!したことある人ここにいるの?」

とミコトは首を傾げた。

「はーい、あたし、あるよ」

と山口真央が手を挙げた。彼女は髪の毛を三編みお団子にしている、自称クラスのおしゃれ番長だ。

「従兄のお兄ちゃんに遊園地に連れてってもらったの。楽しかったー」

「従兄のお兄さん、年はいくつ?」

とミコトは尋ねた。

「えーと、今年大学ニ年生だから、うーんと、今ハタチかな?」

「はーい、それはデートじゃありません。子供のお世話でーす」

と山本凛が断定した。ツインテールの髪先を山口真央に向ける。

「じゃあ、リンちゃん、ちゃんとしたデートって何?」

山口真央がほっぺたを膨らせながら聴いてきた。

「ちゃんとしたデートって言うのはねえ、若い男女が二人っきりの時間と空間を楽しむことを言うのだよ」

「じゃあ、マオのもデートじゃない」

「あーあー君の場合、若い、という部分が当てはまらないのだよー。わかる、違いが?」

「マオ達若いじゃない」

「おうおう、反論するねえ。君の場合に当てはまるのは、幼い、だよ。もっとも近頃ではそれを目当てにする男どもが多いけどね」

「ねえ、リンちゃん」

ミコトは尋ねてみた。

「リンちゃんはデートしたことあるの?」

「ないよー」

「ないのにやけに語るじゃないか。えーらそうに」

と新田明日奈がかみついた。

「アスナ、それは言いすぎだよ」

ミコトが注意した。

「は、優等生は言うことがちがうねー」

アスナ、今度はミコトにかみついた。

「本当にあんたは誰にでもかみつくねえ、黙ってればかわいいのに、もったいないよ、野良犬アスナちゃん」

今度は石川和美が余計な一言を放りこんだ。

「カズミちゃん落着いて、変なこと言わないで。アスナもいらいらしないで。ちゃんと朝ご飯食べてきた?」

「そーだぞ、アスカ、ミコトなんか朝から三杯どんぶり飯食ってんだぞ」

「カズミちゃん!私はどんぶりでご飯食べてないよ!」

「ええ?三杯は本当なんですね。ミコトさんすごいですね!よく朝からそんなに食べられますね?」

木村詩織がおおげさに驚いて見せた。どうやらミコトの奇行を大げさにしてこの場をしのぐ作戦らしい。ミコトとしては不本意だった。ご飯三杯ぐらい、普通だよ。

「しかもそのあと、学校まで走るんだよな」

「いいじゃない、カズミちゃん」

「いいじゃないって、ミコト、あんたん家、学校まで四キロぐらいあるじゃない。よくご飯食べた後でそんなに走れるよな」

「毎日走ってるからね、慣れちゃったよ」

「あんたの話はどーでもいいのよ!」

新田明日奈が再び吠えた。

「そうそう、私の話はどうでもいいとして、アスナは何が言いたかったの?」

「アスナは、ヤナイ君に自分がミコトと間違われて悔しいんだよな」

「カズミちゃん!」

「なんだよミコト、本当のことを言ってやった方がいいだろう?、アスナのためにも」

荒木恵理子は太い腕を組んで冷静に問いかけた。

「ヤナイ君はミコトちゃんのこと探してたんだから、なんか用があったんじゃないの?」

「大した用事じゃないと思うな。きっと挨拶したかっただけだよ。うちに来たときみたいに。それにしても、先生たち、遅いね。なにしているのかな?」

とミコトが言った途端、教室の扉が開いた。


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