ご飯のすぐ後にお風呂に入るのは、体にイクナイ(・◇・)
ミコトが自分の部屋に戻ると、机の上に確かに新しい本が一冊置いてあった。しかし今はコレに関わっている場合ではない、明日の準備をしなくっちゃあ。ミコトは明日の授業の準備をした。準備が終わると。ミコトは顔を机にくっつけてしばし休憩をした。ああ、外に土偶を置いたままだな、どうなったかな?まあ後一晩は置いておかなきゃならないし、放っておいても大丈夫か。ああ、疲れた。アイちゃんは大丈夫かな?今日あったことがミコトの頭の中でぐるぐる回っていた。
「ミコト、お風呂に入りなさい」
母親が部屋に入って来た時、娘は疲れと満腹感で危うく寝てしまうところであった。
「あなたこんなところで寝ちゃったら風邪ひくわよ。さあさあお風呂に入って。今日体育があったのなら体操服も出して。明日は体育ないんでしょ?洗濯しちゃうから。ほらほらしっかりしなさい。疲れているのなら、ゆっくり長くお湯に浸かってなさい、温めにしておいたから。そらそら」
母親にトコロテンのように部屋から押し出され、ミコトはお風呂場に着いた。まだ眠気が抜けない。母親が着物を脱がせにかかる。
「もう、あきれた。ナマコみたいね。お湯を浴びれば眠気もとぶわよ」
そう言って足元にお湯をかけた。
「有難うママ、もう一人ででできるよ」
「いい?疲れてるのなら、お湯の中で筋肉をゆっくりもんで疲れを追い出しなさい。本当は食べてすぐお風呂に入らない方がいいんだけど、仕方がないわね、全く」
「わかったから、もう出ていってよ、寒いよ」
ハイハイ、そう言って母親はお風呂場から出ていった。ミコトはかけ湯をして、お風呂に入った。はーっ、気持ちいい……ミコトは両の手を組んで上へあげた。縮こまっていた体がゆっくりとほぐれていく。ミコトは先ほどの机で考えていたことの続きを始めた。考えといっても、結論の出るようなものでなく、ぐるぐると廻る種類のものであった。ぐるぐるぐるぐる……
世界が回りだした。回る世界の中心から土偶の声が聞こえた。
“ソナタノココロハ・ワラワニ・ツウジタ・アト・アスノアサ・マデ・マタレヨ”
ああ、ソナタ。夢じゃないのに話ができるの?なんだって?
“アスノアサ・マデ・マタレヨ”
明日まで待て?そうね、まだ月と星の光を浴びてないもんね。待つわよ、それくらい。それよりほかの話はできないの?
“アサ・マデ・マタレヨ”
できないみたいね。そう、わかったわよ。
“マタレヨ”
だんだん声が小さくなっていき、世界の回転も緩やかになっていった……
「ミコト、おいミコト!」
「あ、パパどうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。お風呂で寝ちゃいけない。もう上がりなさい」
「私どのくらいお風呂に入ってた?」
「もう一時間ぐらいかな。あんまり長いので様子を見に来たらこの有り様だよ」
「もう上がるから、パパ出ていって」
ハイハイといって父親はお風呂場から出ていった。
ミコトはお風呂場から出た。洗面所に置いてあるパジャマに着替えた。足元に黒猫がじゃれついてくる。
「おスミちゃん、今日はもう寝るよ」
ミコトは居間にいる両親に挨拶をした。
「パパ、ママ私もう寝るよ。オヤスミー」
「明日の準備はもう終わったの?」
「やってから寝ます。おスミちゃんをお願い。遊びたがっているけど、今日は相手できない……おやすみなさい」
「おやすみ」
両親が揃って返事した。午後八時前であった。ミコトはさっさと明日の準備をすると、とっとと床に就いた。今日は、あのサッカー少年いなかったな。毎日練習しないと上手になれないぞ。こんなふうにあいつのコト考えてたらちゃんと夢に出てくるのかしら?それとも、またコジカのまんま出てくるのかしら?それとも……それとも……考えを巡らせている間にミコトは安らぎの暗闇へと誘われた。深く、さらに深く……夢の中でも眠ることがあるのだろうか?何者かの声にもミコトは反応しなかった。そう、声には……
本日はこれにて!