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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第1章 遮光式土偶はかく語りき
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始業式って退屈ですね

 始業式は、体育館で行われたのだが、いつものように退屈であった。校長の話はこの地方独特の方言で話していて聞き取れなかったし、だらだらと続いた。唯一始業式のいいところは新入生が見られるという点だ。式が終わった後、新入生諸君が右往左往している姿は、これが本当のメダカの学校ではないか、とミコトには思えた。ぼんやりと立っているミコトに石川和美が話しかけて来た。

「ミコト、何してるんだ?教室に戻ろうぜ」

「そうだね」

「何見てたんだ?」

「うん、新入生が群れてる様子」

「群れてるって、なんかひどくないか?」

「そうかな?メダカみたいでかわいいなって思うけど」

「それで群れてるって言ったわけね。群れてる様子なら朝から見れるよ、学校の近くで」

「カズミちゃん、私が遅刻寸前で学校に来てるの知ってるくせに」

「へへん、ミコトの遅刻癖を直してあげようと思って」

「今日はちゃんと起きれたのになー、眼鏡探してる時間がなければ」

「眼鏡、してるじゃないか?」

「これじゃなくって新しくした方」

「へー、買い換えたんだ?」

「うん。だけどどこに置いたのか、全然思いだせなくって」

「それで本日も予定通り、だったわけね」

「面目ない」

「だけど眼鏡替えるほど目が悪くなってるのか?」

「うーん、視力は落ちてないと思うけど、あまり眼に合ってないみたい」

「それじゃあ、彼の顔もちゃんと見えないんじゃない?」

「彼って、ああ、カレのことね」

「ね、かっこいいよね」

「カズミちゃん、結構ルックス重視だったのね」

「そういうミコトはどうなんだ?」

「そうね、ぱっと見はいいわね。ただ」

と言いかけたところで担任・宮本が声をかけた。

「そこのふたりー、早く教室に戻りなさーい」

はーい、と二人はそろって返事した。

 体育館をでると、クラスで最も背の低い竹下愛が、クラス一背が高く髪の長さもクラス一の木村詩織と歩いているのを見つけた。

「おーい、そこのデコボコガールズ」

と石川和美が呼び止めた。なんて上手い命名法だ、とミコトは腹の中で感心した。

「あらあら、ちびっ子三銃士がそろいましたね」

「三銃士って私も入るのかな?」

と竹下愛はか細くつぶやいた。

「ああごめんなさい、アイさんはあとの二人とは違っておとなしすぎるわね」

「それじゃあ、私達が元気が良すぎるとでもおっしゃるのかしら?シオリさん?」

と反発する石川和美。

「カズミちゃん、落着いて。それにしてもシオリさん、また背が伸びたんじゃない?」

「そう?わたくし皆さんが縮んだかと思いました」

「私達はあんまり変わらないから、シオリさんが伸びたんだよ」

「これで宮本先生が暴走したとき止められる人ができたね」

「いえいえ、あの人を止められるのは体の大きさじゃないですよ、正論をズバッといえる人じゃないと」

「ミコトちゃんみたいな?」

「そうそう」

「いや、私はそんなつもりはないんだけど」

「さっきのもすごかったねえ、柳井君だっけ?いじられ放題だったじゃない?」

「やりたい放題だったな。ミコトが止めないと、あの先生誰にも止められないぞ」

「そうですよ、ミコトさん」

「いや、なんだか笑っちゃって、だって、ふぁああい、ってあの状況で返事する?」

「変な声だったね、ちょっと面食らったんじゃない?」

「そういえばミコト、さっき何か言いかけてなかったっけ?」

「カズミちゃんが外見重視ってこと?」

「カズミさんの面食いは昔から変わらないですよね」

「そうじゃなくてその後。宮本先生に声かけられる前。ぱっと見はいいけど、の後よ後」

「ああ、男のどこを重要視するかって話ね。うちのママは、男は経済力って言ってたよ」

「あんたのママの話じゃなくって、あんた自身の話よ。どおなのよ?」

「どおって?」

「うちのクラスの男子、さっぱりじゃない?柳井君、うちの村にはいないタイプよ。ライバルは多くなるわよ」

「そーだぞ、ミコト、さっき何を言いかけたんだ?」

「ああ、さっきのこと?えと、ヤ・ナ・イだっけ?あいつのあいさつ、夢はサッカー選手って言ってたよね、ただのサッカー馬鹿じゃないかしら、って思うんだけど?」

と、ミコトは言い放った。

「ミコト、男子には相変わらず厳しー」


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