午後は体力測定、なのでお着換えです
そうこう話をしている間に昼休みも残り五分になった。担任・宮本がジャージ姿で入ってきた。昨日ミコトが会った時と同じジャージだった。
「みんないるかー?いるなー。いいかあ、昼から体力測定をするから、男子は教室で、女子は更衣室で着替えなさい。十分で運動場に集合すること。以上!」
そう言ってさっさと教室を出ていった。
「やたらと元気だったなあ。どうしたんだろ?」
「ご飯食べたから元気が湧き出てんだろ」
「それにしてはなんか興奮してなかったか?」
「アドレナリンが出てるんだろ?」
「アドレナリンってなんだ?ヤマモトリンの一種か?」
「アドレナリンって言うのはホルモンの一種で……」
「ホルモンの一種か。旨そうだな」
「馬鹿なこと言ってんじゃない。早く着替えないとまずいぞ」
「ああ急ごう。女子は早く出ていけよ。着替え、間に合わないぞ」
そうだそうだと言いながら、女子達は更衣室へ急いだ。
更衣室では木村詩織がみんなの目を釘づけにした。
制服を脱ぐと、胸部に白い丸みが目撃されたからだ。
「シオリさん、すごーい。もうブラジャー付けてるの?」
「母が付けろ付けろって煩くって……男子には内緒ですよ。それより速く着替えないと」
「シオリさんもうあれ、始まったの?」
木村詩織は恥ずかしそうに肯く。
「アレってなあに?」
山口真央が聞いてくる。
「まだお子様のマオは知らなくっていいことだよ」
「リンちゃんひどーい、いっつもマオのコト、子供扱いして」
「そんなこと言ってないで、マオちゃん、早く着替えないと」
「待って、ミコトちゃん、髪が……」
山口真央の三つ編みお団子の髪の毛がインナーの体操服のどこかに引っかかっている。ミコトは山口真央の着替えを手伝った。ミコトは待ってくれる人に先に行くよう促した。