倒れた原因は・・・風邪ということにしておきましょう
これにて第2章、おしまいです!
意識が回復したとき、ミコトは自分の部屋にいるのを知った。見知った天井だからだ。自分のベットに寝ていることに気付いたミコトは起きあがろうと試みた。が、頭が重い、身体がだるいで思うように動かない。頭が重いのは額に何か冷たいのが載っているからだ、とミコトは理解した。これって…氷嚢?目を開けて目だけをくるくる動かすミコト。
「やあ、気付いたかい?」
優しい父親の声が聞こえてきた。ミコトは声を出そうとするが、のどがかれてて変な声になっていた。
「ああ、返事しなくていいから。多分、というか確実にお前は風邪をひいてるんだ。熱を計ったら四十度超えてたよ。よくそんな体で外に出かけていたね?」
ミコトはふーっと息を吐いた。そっかあ、私風邪を引いたんだ。いつ振りだろう、風邪を引いたのは。
「ミコト。お前、どうやってここまで来たか覚えてるか?」
全然覚えてないよと言おうとしたが声がかれているのを思い出し、首を横に動かすミコト。氷嚢が額からずれた。
「憶えてないか。お前、ケイジ君におぶってもらって家まで帰って来たんだぞ。神社の入り口でお前倒れたんだって。風邪が治ったらちゃんとお礼を言わないとな」
そうか。私倒れちゃったんだ…そうだ、埴輪は?パピプペポは?ミコトは、私のリュックはどうしたの?と聞こうとして、喉から声を振り絞った。
「ばぁだしのりゅっぐ…」
「ああ、リュックかい?それもケイジ君が運んで来てくれたよ。机の上に置いておいたから」
ミコトは横を向いた。確かにリュックが置いてある。あの距離なら”声”が届く。
”ちょっと、聞こえてる?埴輪の五兄弟。これってあんた達がやったの?”
”聞こえておる。そなたの病気のことであろう。これはいわゆる普通の風邪である。過去の履歴をポゥに問いただしたが奴の記憶にもなかった。ピィの作った病ではないぞ”
”あんたはこの病気治せるの?”
”三日あれば。だが普通の風邪だから三日あれば人は元通りに治る”
”結局、寝てないと治らないのね。肝心な時に役に立たないのはソナタと同じだなあ”
ミコトはうなされながらも軽く笑った。
「それで、さっきケイジ君から電話があったよ。お前の様子を聞いていた。ああそれと、お前のおまじないは効いたそうだ。中村のお爺ちゃんが喜んでるって。お前、何かしたのか?」
ミコトは何も答えず目を閉じた。そうか、ちゃんと効いたんだ、あのパピプポのオマジナイ。良かったー。ということは、先生にかけたパプのおまじないも効いてるってことかな?みんな病気が治ってるといいな。ミコトは自分が病気になったのも忘れてそんなことを思った。そうだ、私、風邪を引いたことを作文のネタにしよう。
「さてと、そろそろお昼だけど何か食べられる元気はあるかな?まだパパも体調悪いからお粥なんだけど?」
ミコトが返事をする代わりに、ミコトの腹の虫が返事した。
ぐうぅぅう。
これにて第2章はおしまいです。
お読みいただきありがとうございました。
さて、本作品を仕上げるのに意外と時間が掛かってて、行き当たりばったりというわけにはいかず、次の構想ができておりません。なのでしばらく(年単位?)更新できません。あと、3章分ぐらいを考えてるので3年かかる?うーむ・・・もう少し早めに完結させたいです・・・