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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
149/155

病の広がりを防げ

いよいよクライマックスです。

埴輪の力を見せてやれ!



いつもの帰り道、山と水田に挟まれた農道をミコトは自転車で進んでいた。途中、祠があるのでそこで一度自転車を降りてお辞儀をする。その儀式が終わり、さて再び自転車に乗ろうとしたミコトは、水田のあぜ道で腕組みをして立っている人物を見つけた。


「中村のおじいちゃーん、何してるんですかー?」


声をかけられたのはこのあたりの水田を管理している中村と言う老人であった。この人物は神社所有の水田も管理していて日野家とも係わりがある。さらに言うと、柳井圭治の祖父でもあった……


「おお、ミコトちゃんかい。今帰りかい?」


「うん。ちょっと友達のところに。お爺ちゃんはなにしてるの?」


老人はミコトの顔を見てため息をついた。この子に話してもなあ、と言う感じだったがとりあえず話はしてくれた。


「一昨日、田植え終わったんだけどね。昨日雨降ったでしょう、そのせいかな。変な病気になったみたいなんだ」




病気!この言葉にミコトは反応した。これはピの仕業か?


「葉いもちの一種だと思うんだけど、ちょっと見たことなくてねえ。今はまだ山際だけに留まっているけどこのまま広がっちゃうと、もう一回植え直さなきゃならんくなるなあ、だけど病気が特定できないのに新しく苗植えてもまた病気に罹るかもしれないし、どうしようか、そんなこと考えてたんだ」


ミコトは老人が説明している間、一生懸命聞きながら埴輪と会話した。


”ちょっと、パは病気を治せるんでしょ?どうにかしてよ”


”我にその病の葉を触れれば三日で治すことができる”


”いちいち葉っぱに触れさせなきゃならないの?手間がかかるわね、どれだけあると思っているの?”


”直接触れるのはただ一度でいい。同じ病ならな。だがピィが原因ならピィを探したほうが早いぞ”


「おじいちゃん、この病気ってどんな感じで広がってるかわかる?」


「広がり方かい?そうだなあ、ミコトちゃんの帰り道、あの山の入り口の所から広がっている感じだな」


”やっぱりピィの力なんじゃないの?そうすると山のどこかに潜んでるのかもしれない。でもどうやって病気を広めたのかしら?別にプゥの力を使ったような感じもしないし”


”ヒノミコトよ、別にプゥの力を使わなくても病を広げることはできるぞ”


”どうやって?”


”我とピィはプゥがいないとき、高いところへ鳥を使って移る。なぜか?”


”高いところの方が風が強いから?そんなこと誰かが言ってたっけ”


”そう。もう一つは我らに触らせること。人同士でもお互い触れ合うことで病が広がることもあるのだ。この場合は違うであろうがな。まあ、念のためその稲の株を貰っておくがよい、そして植えるのは三日ほど待つようにと伝えよ、我らの力をそなたに示してやろう”


”我らって?あなた達の?”


”そう、特にプゥの力をな”


「おじいちゃん、この病気の稲、一株貰ってもいい?」


「そりゃ構わんがね、どうするんだ?そんなもの持って行って?」


「お祈りに使うの、ちゃんと稲が元気になりますようにって。おじいちゃんも植え換えるのは三日ぐらい待ってて」


そう言うとミコトは一株引っこ抜き、泥を丁寧に落としリュックの中に入れた。


「それじゃあね、あんまり心配しないで」


老人は、子供の言うことに腹は立てなかった。稲のことを何も知らない子供にいわれてもなあ、そう苦笑するしかなかったが、最後別れる時にミコトの笑顔で、本当にこの子ならどうにかしてくれるのではないかと、一瞬期待してしまった。




「ああ、そうそう、ミコトちゃん。今日も神社にケイジの奴が行ってるから、会ったらお昼ごはんに戻るように行ってくれないか?ちょっと早いけど」


「今何時ですか?」


「うん、だいたい十一時過ぎごろじゃないかな?」


「ちょっと早くないですか、お昼にしては」


「うん。そうなんだけど、うちのばあさんがお昼は外食したい、なんて抜かしてやがるので。ミコトちゃんも来るかい?」


これからクライマックスなのですが、今日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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