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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
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作戦遂行中 友達のうちを家庭訪問④



 二人は荒木恵理子邸に入った。


「ただいまーっ」


「あらーエリちゃん。お帰り。早かったねぇ」


「うん、ちょっと事情があって。ばあちゃん、友達連れてきたよ。ヒノミコトちゃん。ほら神社の所に住んでる人」


「こんにちは、ヒノミコトです」


「あらー、ちいちゃくてかわいい子だねえ?前にいた神主さんの親戚かなにか?」


「いえ、前におられた方とは無関係って父が言ってました。あ、父が神主やってます」


「あらそうなの?前の方は威厳があって怖かったけど、今度の方はお若いみたいだねえ。お父さんおいくつ?」


「えと、今三十六です」


「ごめんね、ばあちゃん、今取り込み中なの。ほら、ミコトちゃん早く!二階に行くよ」


挨拶もそこそこに二人の少女は二階へと向かった。昔少女だった女性はナニゴトかと目を白黒させていた。ひとまるまるろく。わが陣営にてかあくろうの所在を確認せんと欲す。




 二階に着くと、荒木恵理子は窓を開けて、窓の向こうにあるカラスの消えた木を見つめた。


「ミコトちゃん、ばあちゃんトラップに引っかかってないで!早くしないとカラス見失うかもしれないよ?」


ミコトは、ばあちゃんトラップとはおばあちゃんと話をすることかなあなどと思いながら荒木恵理子の行動を見ていた。


「どうする?ミコトちゃん?何か新たな策はある?」


「ちょっと考えさせて」


ミコトは腕を組んで考えるふりをして埴輪のペィに尋ねた。



”ちょっと、ペィ。聞こえるんでしょ?今どんな様子なの?あなたの兄弟は居たの?そこにかあくろういる?返事して”


”かあくろう殿はいるでござる。早くチョコが欲しいと待っているでござるよ。兄弟はいたでござるが”


”じゃあ、かあくろうに伝えてよ。今から女の子が出てきてチョコレートを置いてくからゆっくり時間をかけて食べて。その間に埴輪を持って帰るから”


「ミコトちゃん、どう?作戦は決まった?」


「うん。エリコちゃんち梯子ある?あの巣の所まで届く高さくらいのやつ。一旦カラスを餌で釣っておいてその隙に巣をあさる作戦はどうかな?」


「うん。あるけど、梯子を登る方は勘弁して」


「それじゃあ、餌でおびき寄せる方お願い。梯子は私が登るから。それじゃあ出ようか」


ひとまるひとまる。ミコト司令官、新たな策を我に与えそれを実行せんとす。二人は部屋を飛びだし、再び家の外に出た。荒木恵理子は自宅の倉庫にミコトを案内し二人で梯子を目的の木に架ける。ミコトは荒木恵理子にチョコレートをいくつか渡し、一つは自分で口に入れた。


「エリコちゃんもお一つどうぞ。作戦前に元気出さなきゃね」


「ありがとう、ミコトちゃん。それじゃあ遠慮なく」


「エリコちゃん、できるだけ長くかあくろうの気を引きつけておいて。五分もあれば十分だと思うけど」


「わかった。けど最初にどうやって気を引きつけようか?」


「そうだね……家からちょっと離れたところでカラスの鳴き真似をしてみたらどうかな?」


「ミコトちゃんみたいにうまくいく自信はないけど?」


「大丈夫、さっきよりはカラス近くにいるし、大きな声でマネしなくても平気だよ」



荒木恵理子に自信を持つよう説得し、ミコトはカラスの巣があろうと思われる木の下で待機するとともに、埴輪に語りかける。


”聞いてたでしょ?今の話。女の子がカラスの鳴き真似をしたら、それが合図だからかあくろうにそう伝えて”


”承知したでござる”


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