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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
138/155

司令官と一兵卒



 ミコトと荒木恵理子は山口真央を見送った後、山口家の家の前で{作戦会議}を開いた。


「それで、どうする?司令官殿。何をやるか、作戦は決まったから、あとはいつやるか、なんだけど?」


「そうだね。今日はもう時間がないし、明日は雨が降るし」


「天の時を計っていますな、司令官殿は」



”明日の夜半まで雨は続くぞ”


”いつまで雨って降るの?”


”あさっての夜明けまで。そのあとは晴れじゃ”


「あさっては晴れるそうだから、あさっての朝からにしようか」


「わかった。朝ご飯食べてからだね。じゃあ今日と同じ九時でいい?集合場所はここ」


「本人いないのに待ち合わせ場所にするんだ」


「いいよいいよ、わかりゃしないって。どうせこいつんち、朝から出かけて留守にするんだから」


ミコトは、友人の珍しく人を馬鹿にした態度を見て、へえ、この人もこういうことを言うんだ

と内心考えた。


「エリコちゃんはマオちゃんのこと嫌いなの?」


「うーん、嫌いじゃないんだけどねえ、そんなに積極的に好き、っていうわけでもないなあ。人にはそれぞれ相性があるけど、あんまりあの子とは合わない感じ。それに比べてミコトちゃんは偉いよなあ。誰にでも平等に接してて」


「そうかなあ?けっこう話してる人って偏ってると思うけど」


「だってミコトちゃんに寄ってくる人間にはちゃんと相手してるじゃない、あのアスナちゃんにだってそうなんだから。そういうところがみんなに好かれるんだよね」


「うーん、クラス委員なんだからそれは当り前だと思うんだけど……」


「いやいや、そうじゃないって。ミコトちゃん、去年の二学期から転校してきたでしょ?転校していたころからそうだったでしょう。だから三学期に宮本先生はミコトちゃんをクラス委員にしたんだよ。よく見てるよ、宮本先生は子供のこと。アスナちゃんはそれでミコトちゃんにつっかかってくるのさ」


「ほええ、そうだったの?どうしてアスナが私に突っかかってくるのかわからなかったけど、そうか、アスナはクラス委員をやりたかったのか」


「いやいや、それだけじゃないよ?ミコトちゃんはモノには敏感なのに他人のことにはときどき鈍感だよね。アスナちゃんはミコトちゃんに嫉妬してるんだよ。似たような感じなのにミコトちゃんの方が成績も上でかわいくって人気もあるんだし、まあ当然と言えば当然だけど」


「私は、アスナの方がかわいいだと思うんだけど、どうだろう?」


「謙遜するねえ。そういうところがまたいいんだろうな。まあ、仮にミコトちゃんのいうとおりだとしてもだ、ひねくれた美人と温和なかわいい子なら後者の方が人気があるっていうのは普遍的事実だよ。さあ人のウチの玄関で押し問答するのは止めて、もう帰ろうよ。寄ってくんでしょ?アイちゃんとカズミちゃんとこ。私もリンちゃんとシオリさんとこに行くから」


「そうだね、それじゃあ今日は御苦労さまでした。何か変更することがあったら電話するから。それじゃあ明後日の九時に、ここで」


そう言って別れようとしたミコトはさらに一言付け加えた。


「そうそう、リンちゃんの様子みるときはエリコちゃんもうつらないように気を付けてね。ああそれと、宿題見せる順番は風邪引いてない方からにした方がいいよ。私もそうするつもり。それじゃあね、バイバーイ」


「うん、またねー」



即興の司令官と一兵士は、先ほどとは違って両者とも手を振って別れた。



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