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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
131/155

昼飯食ってパワーアップ!

今日はいっぱい投稿した・・・




「うーん…ミコトちゃんとこの神社、かなり遠いでしょ?おまけに最後山道になってるし、きついのよね」 


「そこがいいんですよ。平地歩くより汗もかくし、眺めも最高ですよ」


「うん、知ってるけど…」


「他にも何かあるんですか?」


「うん、なんかちょっと気味が悪いのよねえ、ミコトちゃんには悪いんだけど」


「ちょっと、お母さん!」


「いいところだと思うんですけど?特に何も感じないし」


「あらそう?日野さんが来てから変わったのかしら?それじゃ散歩がてらに一度行ってみようかしら」


「アイちゃんのお母さん、ずっとこのあたりに住んでるんですよね?」


「あら、おばさんでいいわよ。そうね、この家に嫁いでからかれこれウン十年になるかな?それがどうしたの?」


「それじゃあ知らないかな。私の通学路に祠があるんですけど何が祭ってあるのかなって思って」


「ああ、あの田んぼのど真ん中に立ってる祠でしょ?あれ、水神様が祭ってあるんじゃなかったっけ?カエルみたいな形をした石が置いてあるでしょ」


「やっぱりあれ、カエルだったんだ。いつもあそこ通るたびに何かなあって思ってたんです」


「ここら辺の昔話でね、日照りで田んぼがからからに乾いて稲がもう枯れそうになった時、山からカエルみたいな神様がやってきて雨乞いをしたんですって。そうしたら急に雨が降ってきて稲が全滅するのを防いだっていう話よ。知らなかった、この話?」


「あれ、私が聞いた話だと、カエルみたいな神様が山から水を引いて来て乾いた田んぼに入れたって言う話なんだけど?」


「この話、いくつかパターンがあるんだけど、カエルの神様っていうのは共通してるんだよね。あと、田んぼが水不足なところにやって来て水を田んぼに入れるっていうところも」


「へえ、そんな昔話があったんだ」


「まあ、田舎っていうのはそういう話に事欠かないから。都会でいうところの都市伝説みたいなものかな?まだまだ昔話はあるみたいだけど」


「食べるものはなくなってきたみたいだね。どうかしら、みんな満足できた?」


子供たちは異口同音に返事をした、ハーイ、と。


「それじゃ、食後のコーヒーをお持ちしますからね、ちょっと待ってて」


「おばさん、今度はタンポポコーヒーじゃなくって本物のコーヒーお願いね」


「うーん、本物って言われると困っちゃうけどな。インスタントコーヒーで我慢して」


宮崎母はそんなセリフを残して台所に去っていった。残された子供たちは、残されたオカズを見て顔を合わせた。


「まだ残ってるけど、まだみんな食べられる?」


「私もうだめー、お腹パンパンだよ」




山口真央は足を崩して腹を叩く。


「私は丁度いいくらいかな。これ以上はちょっときついかも…」


荒木恵理子も手にしていた箸を置き手でバッテンマークをつくった。


「ごめんね、ウチのお母さん、考えなしにに作っちゃって。ちゃんと三人こないからっていったのに、それ忘れてたみたい」


宮崎藍は母親のために弁明し、一生懸命残っている物を食べているが、やはり満腹のようで全然箸が進まない。


「残すのも悪いから、全部食べちゃっていいかな?」


反対が出ないことを承知したうえでミコトは尋ねる。ミコト以外の三人は手のひらをミコトに向け、どうぞどうぞと返事した。






 ミコトは一人黙々と食べ続け、食後のコーヒーが来るころには、料理はすっかりなくなっていた。


「やあ、良かったわ。みんななくなってる。おばさんの目分量に狂いはなかったわね。さあ、食後にコーヒー召し上がれ。コーヒーは消化を助ける働きがあるんだから」


「おまけに眠気覚ましにもなるしね。けどお腹いっぱいで眠くなるのとどっちが強いんだろ?」


「お腹一杯の方じゃない?コーヒー飲んで眠くならなくなるのは夜だけなんだもん。ミコトちゃんはどう思う?」


「さあ?家ではコーヒーでないからわからないよ。お腹一杯になったら眠くなるけど。その辺はアイちゃんの方が詳しくない?」


「どうだろう?ウチは朝だけしかコーヒー飲まないから。朝はお腹いっぱい食べることもないしね。ところでミコトちゃん、お腹いっぱいになった?」


「なったなった。おばさん、ご馳走さまです。おいしかったー」


「そう、良かった。おばさんの料理に満足してもらえたかな?」


「はい、モチロンです」


「それじゃ、お昼からもがんばってね、みんな」





 空になったお皿をすべて片付け、宮崎母は大部屋を去っていった。


「結局、ミコトちゃんが半分ぐらい食べちゃったね。お腹、大丈夫?」


「ごめんね、一人で食べすぎちゃって」


「良くそんなに食べれたね。私、お腹一杯でなんか眠くなってきちゃった」


「同じくー。一時になるまで休憩しない?」


「賛成!あと三十分くらいあるからそれまで横になってよっと」


ミコトと宮崎藍はしょうがないなあと言う顔をした。二人の眠そうな顔を見るとそれもやむなしという決断であった。


「それじゃあ私は腹ごなしにこの辺の散歩をしてくるね。一時までには戻ってくるから」


「ミコトちゃん、うちへの道憶えてる?」


「憶えてるも何も一本道じゃない。迷いようがないよ」


「そうだよね。それじゃ、いってらっしゃい」


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