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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
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そしてまた一人、病に伏した・・・

新型肺炎、怖いですねー、恐ろしいですねー><



 帰宅の声をあげて、ミコトは家へ入った。なんだか静かだ、と思ったのもつかの間だった。黒い猫が足早にやってきて足音に絡みついてくる。歩きにくそうに台所に入ると、そこに白い猫がおとなしくしかし凛とした佇まいで待っていた。


「あれれー、二人ともご飯はまだなのかなー?」


猫なのに一人二人と数えるのはおかしいのだが、彼らは家族なのである。家族を一匹二匹と数えるのは変だろう。ミコトは彼等用のごはんを皿に盛り付けそれぞれに差し出す。黒い方は無我夢中で食いついているが、白い方はきょろきょろとあたりを見回す。どうやらあと二人足りないことに気付いているようだ。ミコトの方を向き、一鳴き。


「どうしたの、おユキさん?食べていいんだよ?それともパパとママが来るまで待っておくの?偉いね、それじゃ呼んでくるから」


暗かった部屋の電気をつけてからミコトは一旦自分の部屋に戻り荷物を置いて父親のいそうな居間にいった。いつも通りにソファに座って寝ている。ミコトは軽くゆすって父親を起こそうとするが起きない。


「もうパパ、こんなところで寝てないで。起きて、ご飯にしようよ」


「ああミコト、帰ってきてたのか。お前を待ってたんだが寝てしまってたようだ」


「待ってたって?」


「うん、どうやら私も風邪をひいてしまったらしい。ご飯は用意しといたから、それを食べなさい。お鍋にシチューがあるからそれを温めて。後、冷蔵庫に酢の物とサラダが入っているから。私はこれから寝ます。悪いんだけど一人で食べて。明日朝から病院に行ってくるから」


「ママの具合はどう?」


「高熱は出なくなったみたいだけどまだ関節が痛いって言ってる。回復するまであとちょっとかかるみたいだね。今も寝てるよ。さあ、ミコトもご飯食べたらお風呂入ってすぐ寝なさい。あんまり寝室に近づかないこと。ミコトまで風邪が移っちゃうからね」


そう言うと、父親はおもむろに立ち上がりふら付きながら居間を出た、オヤスミのあいさつをミコトに投げて。





 石川家で少しごちそうになっていたミコトはいつもより空腹を感じていなかったが、それでもいつも通り用意してあったメニューとご飯三杯のお代わりをした。一緒に食べる相手は、食べる速さの遅い白猫だけであった。


あっという間に食べ終わっていた黒猫の方はミコトの足元に纏わりついている。そう言えば、この子たちは風邪を引いたりしないのかしら?あんまり見たことがないな、調子悪くなっているところ。おユキさんはお年寄りだからあんまり調子がいいところは見たことないけど、おスミちゃんは若いし病気にもなると思うんだけど。猫にインフルエンザってあるのかしらねえ?


考えている間も手は箸を使い、口は箸が運んだものを咀嚼していき、そしてのどは口が咀嚼したものを飲みこんでいく。足元では猫がすり寄る。それにしても、一人で食べるご飯がこんなにさみしいものとは思わなかった。いつもは家では家族と、学校ではクラスメイトとわいわい言いながら食べていた。それが当たり前だと思っていた。歩いているとき一人なのは苦にならない。寝るときに一人なのもそうだ。どうして食べるときに一人なのはさびしいのだろう?明日はママの風邪、治るかな?明日は私がご飯作ってあげよう。そのためにカズミちゃんから料理の本借りてきたんだし。考え事しながら食べていたら、食べるものがすっかりなくなっていたミコトであった。


 食事を終えて片づけをし、お風呂を済ませ、就寝の段階に入ったミコトは、寝る前に料理の本を見ていた。お粥のレシピを見ると、生米のところから食べられるようになるまで一時間ちょっとかかるようだ。明日はいつもより少し早く起きるようにしよう。いつもママが日の出とともに起きているっていってたっけ?じゃあママみたいに朝料理をするのには六時前に起きた方がいいのかな?ミコトは目覚まし時計を五時五十分にセットし床に就いた。ちょっとソナタと話をしなきゃ。猫たちの寝床は居間に置いてきたし、黒い方が就寝中に大暴れすることもないだろう。ミコトは自分しかいない部屋の中でオヤスミーといって布団にもぐった。大きく息を吐いたらすぐに眠くなり、ミコトはそのまま夢の世界へと誘われた。


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