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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
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ホームワーク対策します




放課後の始まった教室で、山本凛は山口真央に話しかける。


「おーい、マオー、さっきゴールデンウィークの予定を組んでるっていってたけど、どういう予定を組んでるんだー?教えろよー」


「えー?リンちゃんに教えてもろくなことしないから言わないよ」


男子児童二人は女子児童の会話が始まる前に教室を出て行った。ミコトも山口真央のスケジュールには関心があったので一緒に会話に参加する。それに関心のないものはホームワークとプリントを持って帰って行った。


「私も気になるなあ。教えてよ、マオちゃん」


山口真央のファッションセンスがいいことはミコトのみならずクラス全員が認めている。本人は、田舎であるこの村で自分のおしゃれが小学生以外から認められないのは残念であるらしい。週末になると両親にせがんで中心街へ出かけるそうだ。ミコトのウチは神社なので、休日の方が両親は忙しくなる。休みの日に家族でお出かけする、という習慣がないミコトには山口真央の話はちょっぴりうらやましくもある。


「うん、ミコトちゃんなら教えてあげるよ」


「いいじゃないか、この場で言えよ」


「まあ、マオちゃん。みんなで聞くから教えてよ」


「でもリンちゃんが先生に言いつけたりするからなー、ねえ、聞いてよミコトちゃん。この前も、マオが一人で映画見に行ったこと、リンちゃんは先生に言いつけたんだよ、ひどいと思わない?」


ミコトは混乱した。何から突っ込めばいいのか…


「ほらミコトちゃんも困ってるだろ?それにあれは言いつけたんじゃないぞ、口が滑ったんだ」


「あの時のは確かに口が滑った感じだったよ。私その時そこにいたもん」


と荒木恵理子が山本凛を擁護した。宮崎藍は黙って頷いている。


「ほんとにー?みんなであたしのことだましてない?」


ミコト以外の三人は銘々が手を扇ぐように左右に振る、ないないっと。


「マオちゃんって一人で映画に行ったりするんだ。すごいね」


「なーに、こいつの場合、町まで親と一緒に行って映画館に着いたらこいつだけ一人で映画見てるんだ。その間親たちは自由行動なんだ。こういうタイプが一番犯罪に巻き込まれるんだぞ」


「それで、ゴールデンウィークの予定はどうなってるの?宮本先生は外に出るなっていってたけど…」


「風邪が怖くておしゃれを楽しめないようじゃあファッションカリスマ失格だよなあ?マーオ?」


「リンちゃん、あんまりマオちゃんを煽るなよ」


「煽ってなんかないさ、どうせ出かけるんだろ?そういう性分なんだから、親を含めて」


「まあいいわ、教えてあげる。明日は突然の休校だったので予定はないけど、今度の休みって四連休でしょ?だから初日は午前中で映画みて、午後はセンター街にいってショッピング」


「ショッピングってどこで何を買うの?」


「もちろんお洋服だよ。そのあとの三日間沖縄に行くのー、楽しみだなあ海で泳ぐの」


「えーと。マオちゃん?ホームワークはいつやるの?」


「うん、明日中に片づけるつもり。それでね、ミコトちゃんにお願いがあるんだけど?」


「聞くな聞くな、ミコトちゃん。どうせろくなお願いじゃないんだから」


「もしかして明日一緒にホームワークやろう、とか?」


「わお、その通り。さすが、ミコトちゃん、察しがいい。一緒にやった方が分担して一日で早くできるよ。そしたら残りの休みを有意義に使えるじゃない?そうしようよ、ね?」


「お、マオにしては珍しくまっとうな提案じゃないか?みんなでやったらあっという間に片付くぜ。そうしようよ」


「ちょっと、リンちゃんはなに人の意見に便乗しようとしてるの?あたしはミコトちゃんに言ってるんだ

から。ねえ、ミコトちゃん、お願い!人助けと思って」


「その前にホームワークの中身を見てみようよ。分けてやれるものなのかどうか確認しとかないと」


「お、エリコちゃんはいつも冷静だなあ」



みんなでホームワークの中身を確認した結果、国語の作文以外は分担可能ということが分かると山口真央、山本凛、荒木恵理子はミコトにいっしょにやろうよーと合唱しだす。宿題は自分でやらないと身に着かないんじゃんじゃないかな、ミコトはそう思ったが、パピプ三兄弟を探すのに時間は必要だと考えなおし、三人の提案を聞くことにした。


「でも、どこでやるの?大勢で宿題やるところってある?うちにはあるけど。山の中で遠いけど、よかったら歓迎するよ?」


「ようこそ、ミコト神社へ、というわけか。でもミコトちゃんの家結構遠いし、おまけに行きはすごい上り坂になってるし。昨日の続きはちょっとな」


山本凛の発言にミコト以外の全員がうなずく。


「私の家、大広間があるから十人ぐらい余裕ではいるよ。いつもは近所の人たちが十何人も来て宴会してるくらい広いの」


突然の宮崎藍の発言に一同どよめく。


「どうしたんだよ、アイちゃん。急にそんなこと言って大丈夫か?」


「大丈夫だよ、明日宴会があるって聞いてないし、ぜんぜん問題ないよ」


「それじゃ決まり!アイちゃんの家に明日朝九時に集合な。ミコトちゃん、間違えて竹下愛の家にいくんじゃないよ」


「そう言えば、アイちゃんち、まだ行ったことないよ」


「それじゃ、ミコトちゃん、一旦あたしの家においでよ。あたしの家にはおかし作りに来たでしょ、道覚えてる?」


「わかった。じゃあマオちゃんの家に十五分前にいくから。そう言えば他の人には言わなくってもいいのかな?シオリさんとかアスナとか」


「その二人には私から連絡しとくから。しかしシオリさんはともかく、アスナちゃんは来るかねえ?呼ばないとのけ者にされたって言って怒るだろうし、呼んだら呼んだでうるさいだろうし、ほんとに面倒な奴だな」


「アスナちゃんも呼ぼうよ。それにしてもすごく大がかりになってきたねえ」


「ホントだね。それじゃあ、これから私、カズミちゃんとラブアイちゃんの家にいかなくっちゃいけないから。それじゃね、また明日、みんなバイバイ」


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