夢でのお告げ
顔、顔、顔……
いろんな顔がスライドのようにうつろって行く……
今日見知った新入生の顔、、その担任の顔、友達の顔、友達の弟の顔、そのクラスメイトの顔。校長先生、教頭先生の顔。笑った顔、怒っている顔、困っている顔、平静を装っている顔。そして、キスをせがむ顔…?これは連城結城?寝る前のテレビの影響?でも連城結城にしては子供の様な…あまり考えない様にしよう…どうしてこんな夢を見るんだろう?夢?なのかな?やっぱり?
「アカネサス・ヒノミコトよ」
ソナタが声をかけて来た。ミコトが辺りを見回すと、そこはつつじ花咲く公園だった。お昼に来た場所だった。ミコトの目線の高さにソナタが浮いている。夢の中だからなんでもありか。
「あれ?一人なの?他の、あいつらは?」
モノなのに、ヒトリ、というのは変だけど、ヒトツというのもしっくりこない。やっぱり喋れるからヒトリ、と呼ぶべき気か。
「あいつら?ああ、ペとポのことか?あやつらは、そなたの夢までは入ってこれない。夢の中に入れるモノは少ないのじゃ。そんなことより、ヒノミコトよ。そなた、気を付けよ」
「気を付けるって、何に気を付けるの?」
「わからぬか?そなたのママが病であること、パピプペポのうち二つがこの付近にいたこと、この二つに何もつながりがないと思うか?」
「つまり、ソナタは、ママの病気が、パピプペポに関係があるって、言ってるの?」
「そうかもしれぬ、と言っておる。何しろ、ピのつくる病の元は、気まぐれでの。ヒトに罹る
か、ケモノに罹るか、草木に罹るか分からぬし、ヒトに罹ったとしても、死に至るものもあれば、洟を垂らすだけで済むものもある」
「ママの病気、死にそうな感じじゃなかったみたいだけど?」
「病気の原因全てが、ピのせい、と言うわけではないからの。それに……」
「それに?なに?」
「その病が流行るか流行らないかは、プが近くにおるかどうかでも決まってくる。もし、ピとプが一緒にいるとすれば、それはユユシキコトじゃ」
「ユユシキコト?」
「そう、忌忌しきこと。イムベキコト」
「イムベキコト?」
「そうじゃ、ミコトの真反対、避けなければならないコト。これで分かったか?」
「私と真反対というのは分からないけど、避けなければいけない、と言うのはわかったよ。それで、私はどうすればいいの?」
「パピプを探すのじゃ。三つのうち少なくとも一つだけでも良い」
「探すって言っても、雲をつかむような話だなあ。ペ、を見つけたのは本当に偶然だし。ポ、にいたっては子供たちが見つけなかったら絶対見つからなかったと思うよ。どうやって見つけたらいいの?」
「うむ……わらわにもわからぬ。わからぬが……」
「わからぬが?」
「うむ、病が流行っているところが怪しいと思え。その近くに潜んでいるかもしれぬ」
「かもしれぬ?」
「プがいた場合、より遠くまで病は広がるからの。だから風、と呼ばれるのじゃが」
「プのチカラでどこまで病気は広がるのかしら?」
「それは、プのいる場所による.。高き所にいるほどに、病は広くアマネク広まるだろう」
「全然手掛かりにならないなあ。探しようがないよ」
「ヒノミコトよ」
「何?」
「そなたが探さぬとなると、そなたの身の回りのモノドモに累が及ぶかもしれぬ、それでもよいのか?」
「ルイがオヨブって?」
「悪いことが起きる、と言っている」
「もう!そうやって私を脅かすの?いいわよ、探すわよ、探せばいいんでしょう?」
「それぞ統べるモノのあるべき姿ぞ」
「別に統べりたいわけじゃないんだけどなあ。それで、パとピとプの特徴は?」
「彼ら五兄弟は同じくらいの大きさぞ」
「こんな小さなモノを、この広い世界で、どうやって探せって言うのよ!」
「先ほども言ったように、病いが手掛かりぞ。今、身近で病いにかかっておるのはそなたのママじゃ。ママの行き来を探られよ…」
そう言って声が聞こえなくなるとともに今見えている世界も溶けていった…