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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第2章 埴輪(はにわ)のパピプペポ
100/155

宮本に佐々木に・・・次は柳生か!



 確かに五十分も歩いたらミコトの家へ着いた。あーあ、また学校へ行って帰らなきゃならないのかー。ここで解散してくれればいいのに。神社の駐車場では、父親が長机に冷水と紙カップを用意して待っていた。子供達が一斉に集まってきて次々にカップの水を飲んでいった。


「パパー、お疲れ様」


「わー、この人、ミコトお姉さんのパパだったんだ―」


「へー、そうかー」


「ミコトお姉さんって神社に住んでたんだ―、すごいねー」


「すごいねー」


「おじさん、お水アリガトー」



ミコトも新入生にコップを貰って水を飲んだ。ミコトの周りに小さい子らが纏わりついているのを見て、父親は少し驚いた表情だった。


「おやおや、ウチの娘は人気者だねー。どうしたんだい?お前は六年生じゃなかったっけ?」


「うん、成り行きで」


「あなたが日野さんのお父さんですかー?お若いですねー」


「そうですが、学校の関係者の方ですかな?午前中には会わなかったと思いますが?」


「この人は、一年生の担任の柳生先生」


「そうですか、失礼しました。日野です」


「柳生博子と申します。神社の神主とお伺いしたのですが、思ったのと違ってお若いですのね」


「ははは、神主はお爺さんだけじゃありませんよ。ところで、どうですか?全員完走、いや、歩いているから完歩してますかな?」


「ええ、今のところは」


「学校まで事故なく行って欲しいものですね。ところでミコト、今晩はカレーでいいのか?」


「わあ、ミコトお姉さんち、今日のご飯はカレーだってー」


「いいなあーカレーだー」


「おいしそうだねー」


「君達の家もカレーかもよー?さあ、トイレに行きたい子は今のうちに行っといで。もうちょっとでお家に着くよー、がんばって帰ろうね」



一年生は口ぐちに、ハーイと返事をしている。何人かはトイレへ行った。父親はそれを見て


「トイレにイットイレー、か。ワハハハハ」

とダジャレをとばした。一年担任・柳生は愛想笑いをしたが、六年生の女の子は笑わなかった。子供達全員が揃ったところで、一年担任・柳生は別れの挨拶をした。


「それじゃあ、失礼します。休憩も終わったことですし。日野さんも六年生のところに戻っていいわよ。今日はありがとう、助かったわ」


「いえ、どういたしまして」





ミコトは小学一年生達を見送った。自分の学年が来る前に、ミコトは自分の父親を問い詰める。


「さてと、パパは私に謝らないといけないことがないですか?」


「はてさて、いったい何のことですかな?」


「とぼけないで!お結びの中にチョコレート入れてたでしょ?」


「さあ、なんのことだか、あっしにはさっぱり?」


「残念でした、私は食べてませんよ。人にあげちゃったから」


「なんだ、そうなの?残念だなあ。チョコ入りお結び食べた子、びっくりしてた?」


「すっごく喜んでた!」


「それはそれは……嬉しいやら残念やら」


「もう!パパに頼まなきゃよかった。ところで、ママの具合はどうかな?」


「うん、まだ熱が残ってる。今日いっぱいは寝かせておくよ」


「ウチの風邪、学校のみんなに広まったりしないかしら?」


「ウチの外に出てないんだし、それはないんじゃないかな?」



ミコトは、そうだといいけど、と言って使われた紙コップを片付け、テーブルを拭き、新しい紙コップに冷水を注いだ。次の三・四年チームが神社の駐車場に着いたからだ。





 三・四年チームも休憩を終え、神社を出発した。次は五・六年チームがすぐに来る、そう思っていたミコトは意外に長く待つことになった。


「おかしいなあ、一・二年が途中遅くなったせいで三・四年と一緒になったと思ったのに」


「へえ、そんなことがあったんだ」


「私、ちょっと様子を見てくるね」



そう言い残して、ミコトは来た道を引き返していった。後には父親が残された。あの子は疲れと言うものを知らんのかな、そんなことを呟いた。


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