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ミコトのドーグー!  作者: あいうわをん
第1章 遮光式土偶はかく語りき
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変なモノ、もうでました!


 巫女装束に着替えたミコトは、社の中にある倉庫に入った。倉庫の中は、いつもは暗くてほこりっぽいが、今は父親が掃除中なのでそれほどでもない。

「パパー、来たわよー」

「やあ、相変わらず袴姿が似合うねえ、ミコトは」

「それで何をすればいいの?」

父親は、娘をほめたことを軽く受け流されてことにがっかりした。が、気を取り直して言った。

「寂しい返事だなあ、もっとさ、あらパパありがとっ、とか、やだパパったら、ほめても何もでませんよ、とか言ってよ」

「ヤダパパッタラ、ホメテモナニモデマセンヨ」

「そんな、片言で返事しなくてもいいじゃないか」

「だって、面白くないんだもん」

「つれないなあ、ミコトは。もうちょっとパパにやさしくしてよ」

「いつもやさしくしてるじゃない。じゃなかったら、お手伝いなんかしませんよ」

「ああ、言い方がママに似てきたねえ。やっぱり親子だな」

「ねえ、パパ」

「何だい?」

「ママのどこがよくって結婚したの?」

少し間を開けてから父親は言った。

「そりゃ、何もかもさ。全部ママのことが好きだから、パパはママと結婚したんだよ」

「私ってママに似てるの?どっちかって言うと、パパ似じゃない?髪の毛もママみたいに真っ赤じゃないし、スタイルも良くないし」

「髪の色はともかくとして、スタイルは、これからどんどん良くなるよ。ミコトはまだ小学生だろ?これから、これからだよ。さあさあ、そんなことよりお片付け、お片付け。手順はいつも通りだよ」

「上からハタキをかけていって、下まで済んだら今度はぞうきんで乾拭き」

「それが終わったら、外で虫干ししてる物を中にいれて。ちょうど終わるころにはおやつ時になるだろう」

「はーい!」

「ん?おやつと聞いたらとたんに元気になったね。それじゃあ、始めようか」

おやつが元気の素とは、まだまだ子供だな、そう思いながら父親も掃除を始めた。

 掃除というものは、始める前は億劫に感じられるが、ひとたび始めると時を忘れてしまうくらい熱中するものらしい。ミコトとその父親も喋ることなく体を動かしていた。特に娘の方は我を忘れて床を拭いていた。床の大半を拭き終わり、あと一隅を残すのみとなったとき、ミコトは一息つくために顔をあげた。すると前の方でキラリと光るものを認めた。

 「パパー、ガラスが割れてるよー」

娘の呼ぶ声に反応して、父親がやってきた。

「本当だねえ、窓ガラスが割れたのかな?」

とのんきに言って明かりとりの窓を見上げた。見事に割れた跡を二人は認めた。

「鳥でもぶつかっちゃったのかな?ミコトは危ないからさがってなさい。割れたガラスには触らなくていいから」

と言うと、父親はさてどうするか、と思案した。ミコトは父親の背後から離れた。後ろの方にガラスの破片が落ちていないか、と心配したからだ。きょろきょろと見回してみたが、特にキラキラするものは見当たらなかった。その代わりに鈍い、土色のモノを発見したのだった。


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