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20フェイセズ  作者: みむー
6/19

笑わないセールスマン

力がすっと抜ける。 


 もしかしたら……もしかしたら天音さんなら……。


 本当に受け入れてくれるかもしれない。


 そう思って、月宮はゆっくりと両手を下ろ――――。



「ドーーーーーン!!」



 謎のかけ声とともに天音がいきなり月宮の何もない顔面をついた。



 ……え……え、は?



 何が起こったのかよくわからず月宮は驚きのあまり目が点になる。まあ既に点なのだけれども。



「月宮さん。よくないですよー。今のあなた。化け物なんですから」



 聞き覚えのない男の声がした。しかもその声は目の前の天音からするというのだからまた驚きだ。



「え、ちょ、天音さん……?」



 ノンノンと天音は指を横に振る。



「私は天音唯などではありません」



 そう言うと彼女は自分の顔に手をやったかと思うと、まるで仮面を脱ぐかのようにその顔をとってしまったのだ。



 信じられない光景に月宮は唖然としていた。



 なんだこれ……どうなってんの……天音さんの顔……どうなって……。



 天音唯だと思っていた人物は全くの別人だった。しかも天音の顔の下から新しく出て来た顔は男。切れ長い目をしたキツネのような男だ。



「驚かせてすみません月宮さん。私の名前は……とその前に着替えなくては」



 男がくるりとその場で回転する。すると先ほどまで女子高生の制服だったはずなのに、瞬時にして男はスーツを身にまとっていた。黒い帽子に黒いスーツ、男の服装は完全に黒尽くめだった。



「改めて月宮さんに自己紹介を。私の名前は芥川。しがないセールスマンをやっています」



 嬉々とした口調のわりにニコリとも笑わないこのセールスマン。



 いったい何者なんだ。さっきの天音の顔は……そんなことよりどうして……。



「どうして僕の名前を知っているんですか」



「それはもちろんお客様について調べることはセールスの基本中の基本ですから。それに、私はあなたのような特異な存在に物を売るのが専門でして」



 すると芥川はその手に持つ物を月宮へと渡した。



 それは一枚の真っ白い仮面。顔の輪郭がはっきりと浮かぶどこか不気味な仮面だった。


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