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20フェイセズ  作者: みむー
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第2話 フェイスコレクター

 月宮はつい十数分前の出来事を思い出していた。



 時刻はちょうど日付が変わろうとしていた頃。



 月宮は自室の机に向かって学校の課題に取り組んでいた。




 普段なら、めんどくせえなあと早々に切り上げてPCゲームに精を出すところだが今回ばかりはそういかない。



高三にもなってそろそろ進路にも目を向けないといけない時期、写しの常習犯として先生達に目をつけられている月宮はちょっとした課題でも全力を尽くす心がけで挑まなければならなかった。




 にしても慣れない勉強は集中がすぐに途切れる。かれこれ小一時間何も進まず、白紙のルーズリーフをぼんやりと眺めながらシャーペンを手でもてあそんでいた。




 ああこりゃだめだ。気分転換にエロゲでもすっか、とティッシュボックスを用意してパソコンの電源をいれようとする。



でもそこで、こんなんでいいのかなあ、と数分の自問自答が挟まり、結果的にまた課題に目を向ける。けれども一向に進まない。




 腹もへったし、なんも集中できねえ。



 一度気分転換が必要だと考えた月宮は食べ物を探してキッチンの冷蔵庫を漁るがめぼしいものは何もない。



食材があるにはあるのだけれど料理はしたことがなかった。それに今は何だかジャンキーなもので腹を満たしたい気分。



 月宮は近くのコンビニまで夜食を買いに出ることにした。



 今思えばそれが全ての間違いだったのだろう。



 夜空には櫛みたいな半月が浮かび、深夜の住宅街は静かすぎて少し気味が悪い。



 五月の風は生暖かく、なんとなく肌にまとわりつく感じがあった。



 早いとこ帰ろう。



 コンビニでカップ麺を購入した月宮はやや急ぎ足で家に戻ろうとする。



 初めて食べる味噌カレー味が楽しみだ、などと考えていると正面から誰かが歩いてくるのが見えた。



 線の細い体型。丸出しの素足を見た限り女。しかもかなりスタイルがいい。ただ……。



 月宮は少し嫌な感じがした。

 前から歩いてくる女の顔がすっぽりとフードで隠れていたからだ。




 まあでも相手は女。いざとなれば突き飛ばして逃げればいい。



 月宮は別段体力に自信があるわけでもないし、小柄で痩せ細った体型である。しかしこの時は油断していた。




 女と横切る瞬間、月宮はつい興味本位から目だけを動かして女のフードの中を見てしまった。



 それがまずかった。


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