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ユーリとカレンの日常

 落湯の罠


 壁に紛れたスイッチをウッカリ押してしまうと、頭上から熱い湯が降り注ぐ。


 いかに強固な鎧であっても全く隙間がないわけではなく、そもそも熱い湯自体を防げたとしても、伝わる熱まではどうしようもない。


 火傷は元より、冷静さを失い、別の罠へとかかりやすくなったりするのだ。



 暴風の罠


 地面から巻き上がる風は身体を浮かせ、動きを束縛する。


 基本的に地に足をつけることで人は様々な動作を行うことができる。武器を振るったり駆け出したりもだ。


 

 または前後左右から吹き付ける風は移動を阻害し、フィールドトラップなどと組み合わせられることで凶悪な性能をほこる。



 シャーと音がして、温かいお湯が頭部から滑らかな肌を伝い、鎖骨の窪みを通り胸の谷間……溝を抜けて形のいいおへそをくぐってスラリとした脚を伝って流れていく。


「ふぅ」


 ユーリはシャワーの心地好さに感嘆の息を漏らす。

 一息つくと、ねこのように身体を震わせて軽く滴を飛ばし、突然吹き付けた風が残った水気を払う。


 いつのまにか右手に掴まれていたリボンがついた淡いピンクのパンツに足を通すと、パンッとゴムが縮んでフイットする。上半身にはタオルを首にかけただけだ。


「上がったよー」


 ユーリはお風呂から出るとキッチンへと赴く。


「イオリ、またそんな格好で……」


「だって暑いんだもん、もうちょっと涼むまで待って。どうせカレンしか見てないんだしさ」


 いつもの流れに(・・・・・・・)カレンはため息をついた。

 お風呂から上がるのに合わせたのだろう、テーブルにはおいしそうな料理が並んでいる。

中央には湯気を上げるコロッケがある。


「イオリが商品を持ち帰るなんて珍しいですね。私としては役得ですけど」


 とカレンが笑みを浮かべるので、ユーリの顔が少し赤くなる。


 ユーリの売る商品が売れないわけがない(・・・・・・・・・)のだ。


「……うん、なんか変な貴族の使いに邪魔されちゃってさ。それに衛兵たちも躍起になってて対応が早くなってきたんだよね」


 話の内容とは裏腹にユーリに困った様子はない。


「それじゃあ私はその貴族に感謝しなきゃいけないのかしら?」


 とカレンが首を傾げる。


「……カレンのためならいつだって専用に準備するから!」


 慌てて立ち上がってそう言ったユーリにカレンはニッコリ笑って応える。


「さぁ、食べましょう。いただきます」


「いただきます」


「あ、そうだ。カレン、これもかけて食べてみて!」


 そう言って手渡したのは中身の見える半透明な袋に入った黒っぽい液体、ソースであった。


 どうしたらいいのか戸惑っているカレンから一旦預かると、切り口をスッと引いて返す。その動作をジッと見ていたカレンは驚く。


 真っ黒な液体に躊躇しつつも、その香りには逆らえずコロッケの端にかける。


 すっかり慣れた箸で摘んで口に入れる……サクっ。


 思わず目を見開く。甘みと爽やかな酸味のソースは肉の旨味が染みたホクホクのジャガ芋に更なる旨味を足していた。


「ちょっとサクサク感が失われるのが残念だけど……どう?」


「少し味が濃いめですけど、とっても美味しいです! いくらでも食べられそう!」


 カレンの表情がパァっと明るくなる。


「あ、揚げ物だから食べすぎると太りやすいかも」


 カレンの表情がピシッと固まった。



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