ユーリ 穏やかな怒りを持ちながら
ユーリは王都ガイウスに立っていた。逃げ遅れた冒険者らから事情聴取をした後、少しだけ寄り道をした後真っすぐ王都へと向かったのだ。
見かけはゆったりと。だがその歩みに淀みはなく、スルスルと滑るように動くので周りの人間が不思議そうに見やる。
そして、城へと至る門の前にて。
「止まれ、不審者め!」
槍を交差した二人の門番に止められる
はずもなく、歩みを進めるユーリ。槍も、防具もユーリを中心に消滅していく。
「な、なんだ!? 何が起こってやがる」
一人は困惑し、
「うぉおおお、ぐはっ」
もう一人はその身一つで止めにかかってくる。それは真の忠誠からか、それとも今の腐敗した王政の下でおいしい思いをしたいからかはわからない。
がユーリにまでたどりつけずに何かにぶつかり、鼻血を噴いて倒れる。
困惑していた方も地面から生えてきた柱に意識を奪われる。
ユーリは歩みを緩めない。遠目からみれば、優雅に散歩しているようにしか見えない。
門番たちはまず人を呼ぶべきであった。結果的にあっという間に門番を倒してしまった。
それゆえに壁の内の人間も不信に思うも止めに来ない。ユーリの優雅さに、貴人がお忍びで歩いていると思う者もいた。
それも門番が見つかるまでの話。ユーリは特に隠したりもしなかった。
普通ならせめて慌てるくらいはしそうだ。
「何もnぶはっ」
「あがっ」
城の入口も同様である。
ユーリが両手を広げるように動かすと、門番は二人の間から外へと吹き飛んだ。
我が物顔で城内を歩く。まるで知っているように歩みに淀みは見えない。
一直線に階段を下りていく。
元々そんなところに階段などなく、ユーリが通った後は元通りに戻っているのだ。
ユーリの胸元にある漆黒のネックレスを中心とした半径50mほどの球形の空間はユーリの迷宮領域である。
その領域の中のことは目で見るように、耳で聞くように、肌で感じるように、知ることができる。
ダンジョンマスターの真職を初めて解放した時には、大量に情報が流れこんで来てぶっ倒れたのだ。
偶然ではあるが、すぐに目的のものを見つけたユーリはそこに向かって文字通り一直線に道を改変しながら進んだのである。迷うはずもない。
位置的には城の奥の地下だろうか? まぁそんなことはどうでもよかった。
拓けた場所に出た。
そこには犬ねこを飼うケージくらいの檻があり、その前に元は良さそうなのに、貼付けた笑みと、怠惰な生活をおくってきたのであろう肥満な身体が台なしにしている青年がいた。
こいつが王だろう。そしてこの王の護衛であろう男。
だがそいつらもどうでもよくなった。
「ねこじゃん……!」
檻の中にいたのは羽の生えたねこにしか見えなかったのである。




