たたき上げの侍女
王女付き侍女の日記。
幼いころから王城で働いて、働きを王女様に認めていいただき、
王女付きの侍女になれたのは、とても光栄で幸運なことです。
王女様は本当は王子様なのだけれど、王女様としてとても美しく、
賢く、優しいので敬愛しています。たまに試すようなことをおっしゃりますが、
私は王女様に下心など持っていませんのでどうかご安心を。
王女様と小さき頃より交流のある、隣国の王子様がいらっしゃると聞いたので、
とっておきのお茶の入れ方をマスターし、特別な茶葉を使いもてなします。
ふ、お茶一つといっても広義の意味では外交なのです。
私は決して手を抜かない。
私も古くから王城で働かせていただいているのですが、
国賓の中でもあの王子様は、少し雰囲気が違うのです。私の仕える王女様も
お優しくて素敵ですが、あの王子様も素朴で優しい方だと思います。
何度か姿を見ているくらいですが、ああ、
とても小さいときにお声をかけていただいたこともありますね。
私の様な者にもお優しかったのです。
ですから、二人は長く交流が続いているのではないかと思うのですが。
王女様はただの慣例といつも言っています。男同士の友情とはこんなものでしょうか。
話が少しそれましたね。お仕事についてですが、
掃除やお勉強はもちろん、書類整理や根回し体力仕事もできるようになってきました。
侍女だけではなく、新しい仕事もそろそろ任せていただけそうなので、
王女様にお仕えすることは本当にやりがいがあります。
-----この日記が王女様に読まれていることを侍女は知っています。-----