ジェイドのテント
夜、ゼノがジェイドのテントを訪ねた。
「入るときくらい声かけろよ」
ジェイドは地図を広げ、ルートを確認しながら、
片手間に一人でチェスをしていた。
ゼノは呆れた。ハクア殿と自分がイチャコラしてきたことを
匂わせることにした。
「さっき ハクア殿をテントまで送って来たぞ」
「何で?何かハクア殿に用事があったのか?」
ゼノはこの男はバカだと確信した。
「夜に男女が会う理由なんて一つだろ?」
「ああ ハクア殿は夜ひとりで散歩するのが好きだからな」
「知っていて放っておいたのか?」
「まぁ ずっと俺の世話をするだけなのも
退屈だろうし 気分転換は彼女にとっても必要だろう」
この男の女性の愛し方は異常だとゼノは思った。
変態だと言ってもいい。夜愛している女性を一人にする
意味が解らない。ゼノは思った。
「さっき ハクア殿にお前と間違えられたことが屈辱だよ」
「俺も 叔父上殿のテントから帰ってくるとき
見回りの兵にゼノ様って言われた」
ゼノはさっきのハクアの態度を思い出した。
ハクアが自分の持っている指輪を見て、誰に送られたか聞いてきた。
なぜ、誰かに送られたと思ったのだろう?
ゼノは自分が持っている指輪をジェイドに見せた。
「あれ それ昔 俺も持ってた 人にやったけど」
王子の間の抜けたセリフを訊いて、とりあえず、
ゼノは王子に一発入れた。
今まさに、謎は多分色々解けたのだった。