表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

本気で生きるということ

 屋敷の庭でBBQは始まった。

酒も飲まずによくぞこれだけ楽しめるものだと王子は呆れた。

 火おこしをあえてマッチさえ使わずにする。という遊びは、

何が面白いのか王子には理解できなかった。

樽に汚れ物と井戸の水をぶち込み、半裸の男たちが

肩を抱き合いながら足踏みで洗濯する様は、

王子を言いようのない気分にさせた。

 火をおこすとどこかから手に入れたイノシシを丸焼きにしだした。

それはどうやって食べる気なのだ。

 王子の傍でハクアは同様にこの光景に圧倒されていた。

「ハクア殿騒がしい場所にいても疲れるだけでしょう

屋敷の中で私と一緒に食事をしていただけませんか」

「いえ 私は王子のお世話がありますので」

「ふふ 王子もたまには羽目を外したいのですよ

男とは元来バカをしたい生き物なのです

女性の目があるところですることではないですが」

ハクアはそういうものだと納得してしまい、

ゼノと屋敷の中へ行ってしまった。

 何でこんなカオスに俺はいるんだろうか。

王子は状況を受け入れられないでいる。

「王子も兵士と混ざって楽しめ」

半裸の団長がやってきて言う。

あんたもかよ。団長。王子は呆れた。

「俺にはこの騒ぎが なぜ楽しいかが理解できません」

「頭で考える必要はないのだ ただバカになることが肝心だ」

さっきのハードボイルドな団長の勇敢とか情熱とかの話は何だったのだろうか?

「バカになって どうするのですか?」

「本気で生きるということは そういうことだぞ」

悲哀を浮かべた表情で団長は王子にそういうと、

バカ騒ぎの中に消えていった。

ただ彼らが人生を楽しんでいることは王子にも分かった。

王子は最後まで、彼らの中には混じれなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ