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魔石職人の冒険記  作者: 川島 つとむ
第一章  凸凹コンビ
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ミリアナの鞭

登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記)

 ジャド「よう、元気にしているか~」


 約束通り、二日後の夜にジャドがやって来たようだ。


 ロプ 「おう、そこそこ元気だぞー」

 ジャド「そこそこかよ。で、また何か作っているのか?」

 ロプ 「ああ、基礎は習ったんだが、こういうのって難しいよな~。ちょっと、バランスを見てくれないか?」

 ジャド「いいぞ、貸してみろ」


 素直に形だけを大まかに作ったショートソードを渡す。ジャドは何度も素振りをしたり、演舞のように剣を振り回したりして、剣のバランスみたいなものを探っている感じに見える。しばらくジャドのことを見ていると、やがて振り回すのをやめてこちらを向いた。


 ジャド「うーん、結構いい線はいっているかな。もう少し、剣先に重さが欲しいな」

 ロプ 「どうも~」


 それを受けて剣先に少しだけ錘を付ける。それをジャドに渡した。またさっきみたいに武器を振り回すと、今度は満足そうに頷いている。


 ジャド「いい感じじゃないかな」

 ロプ 「そうか、ここから削るから、軽くなると思うけれど、重さは変えない方がいいかな?」

 ジャド「これを持つのは、ニイナなんだろう? なら、もう少し軽くなった方がかえっていいかもしれないな」

 ロプ 「なるほど、ならこんな感じのバランスで作っていくかな・・・・・・ちなみに、完成まではまだまだ時間がかかるぞ」

 ジャド「わかっているよ。鍛冶職人じゃないんだから、集中して作れないしな~ 合間合間で仕上げるつもりだろう? そうすると、まあ一ヶ月はかからないくらいか?」

 ロプ 「それくらい見てもらえれば、何とかって感じだな」

 ジャド「で、そっちの机に置いてある鞭は何だ?」

 ロプ 「そっちは、ミリアナ用の武器だ。初めは無難にメイス系統を考えていたんだがな。よく考えてみたら、あの子にメイスの距離まで近づいてもらうのは、危険だと思ってね。弓とかだと専門の技術もあるだろうから、そっちも直ぐにやめた。それで考えたんだが、悩んだ末に鞭になった」

 ジャド「多分、弓よりも訓練が必要だぞ」

 ロプ 「ああ、それは僕も考えた。ミリアナは多分、不器用そうだし向いていないだろうなってね。でもそれは魔道具だから、また扱いが違うんだよ。手先の器用さで操るんじゃなくて、こう意志の力みたいなので操るんだ」

 ジャド「魔法使い系が扱う武器って感じか?」

 ロプ 「まあ、彼女は魔法使いじゃなくて、神官だけれどもな。でも、まあ魔法使いがイメージで魔法を使うのに対して、神官は、意思で使うというか、まあそんな感じだから、練習次第では使えるんじゃないかと思うぞ」

 ジャド「じゃあ、即戦力ではないな」

 ロプ 「いや、一応は即戦力だぞ。僕の指輪の劣化版みたいな機能を持たせた。だから魔法の威力を向上させられると思う」

 ジャド「なるほど、後は慣れてくれれば、中距離でも戦力にできそうだってことだな?」

 ロプ 「まあそんな感じだな。使いこなせるのかは彼女次第だけれども。それかジャドの訓練次第?」

 ジャド「俺の訓練分野じゃないんじゃないのか?」

 ロプ 「うーん、扱い方は僕、戦い方がジャドって感じ?」

 ジャド「ああ理解した。確かに俺の分野だった」

 ロプ 「頼むな」

 ジャド「無駄にはしないさ。じゃあ、明日は依頼で大丈夫そうか?」

 ロプ 「こっちは問題ないよ。ニイナの方は、しばらく待ってもらうしかないけれどな」

 ジャド「まあ、彼女達はまだ学校の宿舎で生活しているから、そこまで依頼をがんばる必要もないのだが、これから先はお金が必要だからな、貯められるうちに貯めさせてやろう」

 ロプ 「そうだな」

 ジャド「それじゃあ、明日冒険者ギルドの方で待っているぞ」

 ロプ 「わかったよ~」


 ジャドが帰った後も武器の作成を続けた。明日は冒険があるので、とりあえずきりがいいところまではやって、続きはまた帰って来てからだな。そんな感じで寝床に潜り込むのだった。


 ロプ 「おはよう~」

 ミア 「おはようございます」

 ニナ 「おはよう」

 ジャド「来たな、じゃあ、早速サインしてくれ」


 僕達が挨拶する中、ジャドは用件を言って来る。まあ相変わらず遅れたので、文句もなくサインして渡した。

 ジャドが受付に行っている間に、武器を渡しておくかな。そう思ってミリアナに鞭を渡すことにした。


 ロプ 「ミリアナ用の武器を作ってみた使い方とかは、後で説明するけれど、とりあえず渡しておくよ」

 ミア 「え、でもこんなの私、扱えないと思うのですが・・・・・・」


 ミリアナは戸惑ったように迷った後で、とりあえず預かるみたいに受け取った。まあ今まで無縁だった武器だから、その反応はわかるけれどね~


 ジャド「じゃあ、行こうか」


 ジャドも戻って来たので、僕達は移動することにした。


 ロプ 「それで、今回の依頼はどんなやつなんだ?」


 マギーの操作をしながらだと、ミリアナに武器の説明は難しかったので、とりあえず依頼の話をする。


 ジャド「今日行くのは、ミリアナが新しい武器になるから、その練習も兼ねたやつだな。冒険者の学校でも戦ったと思うが、リザードマンの集落を殲滅させる依頼だ。やつらも一定の知能があって、人間のように武器や鎧を作って連携して戦って来る。野生のリザードマンだから、学校のやつよりも少し強いと思っておいてくれ」

 ロプ 「練習にはいい相手かもしれないな。僕とジャドは支援か?」

 ジャド「その方がいいかもしれないな。危なくなったり数が多過ぎたら、間引いて適当に数を残して行こう」


 依頼の確認と、支援の方針を話し合っているうちに、現地近くに着いたのでマギーから降りる。みんなも降りたのを確認して、話を続けた。


 ロプ 「了解。じゃあ、まずは武器の説明をしなくっちゃな。持ち手のところを見てくれ。そこに魔石が埋め込んであるのがわかるな? そこに魔法の攻撃を叩き込むイメージで、後は目標に対して攻撃ってやると、前の指輪の時みたいに少し威力のある攻撃魔法が使える。指輪から鞭に形が変わっただけだな。これは理解できそうか?」

 ミア 「なんとなくですが、わかります」

 ロプ 「ちなみに、前ほどの威力は出ないから、そこまで驚かないでもいいよ」

 ミア 「わかりました」

 ロプ 「次に鞭そのものの扱いなんだが、まずは持ち手のところに魔力を注ぐイメージを持てるか? 使うぞって意思を持つのでもいいんだがどうだ?」

 ミア 「なんとなくできると思います」

 ロプ 「じゃあ、まずは鞭を真っ直ぐ前に伸ばしたいって思ってくれ、真っ直ぐになる武器なんだって思い込むとか、自分の想像通り、動く武器だと意識を込めてもいいんだが・・・・・・」


 そう言って、しばらく待ってみると、なんとなく動き出す感じがした後、徐々に真っ直ぐへと伸びて行く。


 ロプ 「いっそ、言う事を聞けって、命令的な意識を持ってもいいと思うぞ」

 ミア 「はい!」


 そう言った後、スッて感じで真っ直ぐに伸びた。


 ロプ 「よしよし、じゃあさっきの強気な感じで鞭の先っぽ、こんな感じで揺らしてみな」


 僕はわかりやすいように、鞭の先を手でくねくねと動かして見せた。そして理解できたかなと思って、下がって見てみる。

 馬とかが尻尾を振るように、ゆらゆらと動く。大体の感覚が掴めたようだな。


 ロプ 「じゃあこの武器は、手を使って扱うものじゃないのは理解できたな? 少し貸してみて」

 ミア 「あ、はい」


 僕は鞭を受け取ると適当な木の前に立って、手を動かさないでそのまま木をビシバシ叩いてみせる。その後木に巻き付けて、ぎりぎりと締め上げる攻撃をしたり、空中をジグザクの形で移動させたりと、いろいろと動かして見せた。


 ロプ 「こんな感じで、自分がこうしたいんだっていうように動かせばいいよ」


 そう言って、もう一度鞭をミリアナへと渡した。

 少し実演をしたからか、それから直ぐにいろいろと動かせるようになったみたいだった。


 ロプ 「ジャド、今の見ていただろ? それを踏まえて、戦闘の技術を指導できるか?」


 横をチラッと見ると、物干しそうな顔をしたニイナがいた。


 ロプ 「お前のは、もう少し時間がかかるんだ、待っていてくれ」


 そう言って、ニイナの頭をポンポンとしておく。


 ニナ「わかった!」


 自分のも作っていると聞いて、やったって感じで喜んでいた。

 その間に、ジャドが簡単に戦闘の時はどうするみたいな講義をしていた。少し説明とか、動きとか教えるのに時間を取られたりしたけれど、僕らはリザードマンの集落があるという場所に向うことにした。

 ちょっと沼地みたいな感じ足が取られそうで、慣れないとちょっときつそうだなって場所に、集落はあった。また相手はこちらに気がついていない様子だ。


 ニナ 「あ、前に一杯いるかも」

 ジャド「お! ニイナも相手の気配みたいなのがわかったか? 成長している証拠だな!」


 ジャドが嬉しそうにしていた。そうすると僕にはわからないから、成長が止まっているって事かって言いたくなるな。まあ実際止まっているのか限界なのか、とにかくわからないんだけれどな。


 ロプ 「足場が悪いな、どう戦う?」


 相手に気付かれないように、不意打ちがしたいところだけれど、この足場では静かに近付くのは難しそうだ。


 ジャド「囲まれるかもしれないが、釣り出した方がいいかもしれんな。ロップソン、やってくれ」

 ロプ 「あいよ。焼き尽くせ、ファイアアロー」


 初めは相手を釣る為に、控えめに攻撃した方がいいよなと思って、三体に攻撃をぶつけた。三体はほぼ瀕死、その周りにいたリザードマン達が、こちらに気が付いたようで、ギャーギャー言いながら向かって来る。

 でも、数が多いかもしれないな。


 ロプ 「数が多そうだから、ある程度減らすか?」

 ジャド「そうだな、ちょっと減らしてくれるか」

 ロプ 「了解。流水よ荒ぶれ、アクアブリッド」

 ミア 「神罰」


 僕に続いて遠距離攻撃ができるミリアナも、攻撃に参加して数を少し減らす。今回は威力を高めで、でも単発の攻撃で数を減らすことにした。

 手負いの敵は、時に危険なことがあるから確実に減らしたいからね。そしてその状態で対象を増やすと、魔法同士が干渉して範囲攻撃になって、味方まで危険になるかもしれない。

 三つ目の魔石を活用する時は、なるべく単発でと、僕は前回のワニで学んだのだった。

 後は水属性だと、意外と素材の痛みが少ないこともわかったので、そっちを使うと素材集めがしやすくなる。こいつらは、集める素材なさそうだけれどね。

 そういえば四属性は試してみたけれど、光と闇がまだ試せていないな・・・・・・ここらで試しておくかな。


 ロプ 「輝く光よここに、ライトブリット」


 光の礫に当たったリザードマンは、脳震盪でも起したかのようにその場でくらくらしていた。ふむ、やっぱり四属性と違って、攻撃には向きそうにないな。これは生け捕りとかか、死霊系に限定した方が良さそうだな。そうすると闇はやっぱり精神に影響する、だから気絶させる系の攻撃になりそうだから、今は必要なさそうだな。


 ロプ 「流水よ荒ぶれ、アクアブリッド」

 ミア 「神罰」


 リザードマン達がこちらに接近するまでに、少しは数を減らせたと思う。ミリアナの攻撃も、威力が高くなってばっちりしとめられていた。

 ジャドが正面からリザードマンと打ち合いを始め、ニイナがその横で隙を窺いながら攻撃を仕掛け始めた。

 ミリアナはそこまで接近戦には向かないので、僕がブロードソードを振り回して相手を牽制して、その間に鞭で倒してもらうことにする。

 こっちも接近戦に関しては素人だから、なるべく早いところ倒して欲しいものだけれど、さてさてどうなるかな~


 ミア 「えい!」


 ジャドの指導を多少受けた成果があるのか、僕を避けるように横から回り込んで、相手の頭に攻撃が当たる。


 バシッ


 打撃の音が少し大きめに聞こえて、相手が吹き飛ばされるのがわかった。

 倒れたリザードマンに、鞭が何度も襲い掛かることで、どうにか一体をしとめることができたようだ。こちらはそれを横目で確認しつつ、他にやって来たリザードマンを牽制する。

 こっちは剣をやたらめったら振り回しているので、相手も不用意には近寄れないみたいだな。

 強い奴だとこれでも隙を突いて、剣を飛ばしてきたりするから厄介なんだけれどね。素人万歳!

 そんな事を考えていると、目の前にいたリザードマンが鞭の餌食になって、目の前からいなくなった。


 しばらくはそんな感じで、リザードマンの相手をしている。

 相手はまだ数がいるようで、ジャド達も戦闘が続いているようだった。さすがにミリアナに流れそうなやつを、こっちで引き受けた為に、ジャド達を確認する余裕はなくなった。

 そして油断した訳ではないのだけれど、相手の振り払って来た剣がブロードソードの腹にクリーンヒットして、武器を飛ばされてしまった。やばい!


 ロプ 「焼き尽くせ、ファイアアロー」


 とっさに目の前の二匹に対して魔法の詠唱をおこなったのだけれど、相打ち気味にリザードマンの攻撃を受けてしまったのと、自分で起した範囲攻撃になった火の嵐に巻き込まれて、ぬかるみの中に倒れ込んでしまった。


 ミア 「ロップソンさん! ヒール」


 直ぐにミリアナからの回復が飛んで来て、どうにか意識は失わないですんだが、まだ戦えるほど体調は回復していない。ミリアナが何とか鞭で敵を相手して、こちらに敵が流れないようにがんばってくれていた。


 ニナ 「お待たせ! ミリアナ回復を優先して!」


 こちらがやばい状況になったのを知って、ジャドが援軍をよこしてくれたんだと思う。

 ニイナがミリアナの相手していたリザードマンを引き受けてくれて、ミリアナがその間に僕の治療をしてくれた。


 ロプ 「二人とも、ありがとう。ブロードソードはどこに行った?」


 僕は失ったブロードソードを探すと、少し離れたところに落ちているのがわかった。まだ戦闘は続いている為、素早く戦線に復帰しなければいけない。


 ロプ 「流水よ荒ぶれ、アクアブリッド」


 ブロードソードを拾うのに、邪魔そうなのがいたので先に倒して素早く回収すると、ミリアナの前に立つ。


 ロプ 「ニイナ、ありがとう。こっちは平気だから戻ってくれ」

 ニナ 「わかったわ」


 そう言うと、ニイナがジャドの援護に戻って行った。油断はなかったんだけれどな・・・・・・やはり本職の戦士みたいにはできないってことだな。

 僕はジャドの戦い方を思い出しながら、振り回すだけではなくフェイントなども交えて、リザードマンを引き付けるとこにした。

 ミリアナの方は、大分鞭の使い方がわかったようで、普通に戦力になりそうな感じかな。ただ鞭を扱いながら回避したりとか、そういうことは難しそうなので、誰かが守ってあげないと戦えそうな感じではない。

 今後に期待ってところだろう。


 ロプ 「やっと終わったか~」


 リザードマンの討伐が終わって集落を見て回り、その後集落を魔法で壊して依頼完了となった。今回は途中で痛い目にもあったし、精神的にも疲れたよ。


 ジャド「やっぱ、後一人は前衛が欲しいところだな」

 ロプ 「そうだな、今日のはさすがにやばいって感じたよ」

 ジャド「まあ、お前は接近されたらほぼ一般人だからな、普通前衛には立たせないから、ちょっと無茶させ過ぎたって思ったよ」

 ロプ 「だろうな、魔法使いが前衛って、何かおかしいって思っていたよ」

 ジャド「だがこのパーティーだと、そういう無茶もしないとやっていけないんだよな~」

 ロプ 「まあ、ニイナがもう少し成長してくれれば問題なさそうだけれど、盗賊もそこまで僕と変わらないんだよな」

 ジャド「だな、あくまでもサポート、臨時で前衛って感じだからガッツリは難しい。やっぱり後一人前衛を考えてみるか」

 ロプ 「そうしてくれると助かるね。痛い思いをするのはもうこりごりだ」

 ジャド「いやいや、俺ら戦士はいつも痛い思いをしているぞ?」

 ロプ 「いつもご苦労様です!」

 ニナ 「討伐部位の回収、終わったよ~」


 僕らが会話していると、回収作業が終わった二人から声がかかった。


 ジャド「よし、帰るか!」


 そう言って僕らはマギーに乗り込み、町へと帰った。いつものように報酬の分配を終わらせて僕らはギルドの食堂でご飯にする。


 ジャド「さっき、ロップソンとも話をしたんだが、パーティーに前衛ができるやつを入れようと思う。二人はパーティーが増えても大丈夫か? 何か希望とか意見とか、そういうのがあるなら言ってくれ」

 ニナ 「うーん、そうだな・・・・・・私はいいと思うけれど希望としては、あまり男性が増えて欲しくないかな? 男性の戦士って、なんか野蛮な人が多そうで怖いかも」

 ミア 「あ、それわかります。後は変にプライドが高かったり、押しが強かったりしますよね」

 ロプ 「おいジャド、全部当てはまっているぞ」

 ジャド「いや、俺はそんなじゃないと思うぞ? だよな? 俺って野蛮か?」

 ニナ 「あ、ジャドさんは怖くないよ」

 ミア 「初めは少し緊張したというのか、慣れなかっただけで、今はもう大丈夫ですよ」

 ロプ 「まあ、女性の前衛を見付けるのがいいって事らしいな」

 ジャド「これまた、難しい条件が出て来たものだな」

 ニナ 「そんなに難しいの?」


 そう不思議そうに聞いて来る。


 ジャド「まずは冒険者全体の中で、女性の割合は知っての通り少なめだ。いないって訳じゃないぞ? 女性の中でも冒険に憧れる人は普通にいるからな。ただ男と違って、憧れるからやってみるかっていうのになると、女性はそこで踏み止まる人が多い傾向にある」

 ロプ 「まあ女性の冒険は何かと大変だからな~。これでパーティーが全員女性ってのなら、もう少し楽になるそうだけれど」

 ジャド「ああ楽にはなるが、今度は力不足になることが多い。混合パーティーが一番バランスはいいのだが、今度は男性側に問題があるんだよな・・・・・・」

 ロプ 「あー、確か戦いで興奮して、そのまま襲うっていう事件を何回か起こしているらしいな」

 ジャド「だな、これは同じ男として申し訳ない限りだが、無いとは言えない。普通に婚期に焦って襲うやつもいるそうだしな。まあここは、女性冒険者をパーティーに誘う問題点だな。女性の前衛の方だが、まあ傾向としてなんだが女性はあまり前衛職にはつきたがらない者が多いってことだ。割合で行けば女性は魔法使いが多いと思う。次に神官だろうな。魔法とかの才能が無い者だとニイナみたいに、戦士や盗賊、狩人なんかを選ぶんだが、ここでもどちらかといえば、狩人を選ぶ割合が多くなる。遠距離攻撃だからな」

 ロプ 「他にあるとしたら、時期か?」

 ジャド「ああニイナ達が入って来たのは、学校の卒業時期、今はもう落ちついてしまったから、女性は直ぐにどこかのパーティーに入ってしまって、余っている人っていうのは、何かしらのトラブルに巻き込まれたか起した方だろうな」

 ロプ 「女性冒険者は直ぐ誘われるよな。多少能力不足でも、可愛い子はパーティーに入れてもらえる。僕のような落ちこぼれの魔法使いは、ずっと余り者だ」

 ジャド「まあそんな訳で、今入ってくれる女性の前衛は、厄介なことが多い。まあ、だからって男を入れればいいとならないのが、もっと難しいところなんだよな・・・・・・」

 ロプ 「余り物の男は、大体厄介だからな」

 ジャド「だな・・・ じゃあ、とりあえずメンバーを増やすのは賛成でいいな?」

 ロプ 「僕は問題ないというか、入れてくれ」

 ニナ 「うー、さっきの話を聞くと、微妙って気が・・・・・・」

 ミア 「はい、仲良くやっていけるのか、ちょっと不安になります」

 ジャド「そこは、もしメンバーが来たら、お試し期間を設けるよ。俺達としても、いきなり採用っとは言えないからな・・・・・・せっかくいる元のパーティーメンバーと揉められても、こっちも困る」

 ミア 「そうですよね」

 ニナ 「それならいいですよ~」


 ミリアナも、ニイナもいいようだな。


 ジャド「じゃあ一応ギルドの方に、女性の前衛職で希望を出しておくな。いなかった場合は、男性になると思っていてくれ」

 ミア 「わかりました」

 ニナ 「了解です!」

 ミア 「どんな人が来るのか、楽しみですね」

 ニナ 「男なら、可愛い系の子がいいな~」

 ロプ 「そんなやつ、前衛で役に立たんぞ・・・・・・」

 ニナ 「そうだった!」

 ミア 「山賊みたいな人は、嫌ですね」

 ジャド「そんなのは、俺達だって嫌だぞ?」

 ロプ 「確かにな」

 ニナ 「じゃあせめて、王子様風の人とか!」

 ロプ 「ほんとにお忍びの王子様で、王家のいざこざに巻き込まれたりしてな~」

 ミア 「それも嫌ですね・・・・・・」

 ニナ 「そうだね・・・」

 ジャド「まあ実際来て見なければわからんことを、ここで想像してもあまり意味はないからな」

 ロプ 「後々のお楽しみだな」

 ニナ 「だね!」

 ミア 「そうですね」


 そんな感じで、軽い打ち合わせを終えた僕達は解散した。ニイナの武器、早めに作ってやらないといけないな。そう思ってその後も少し作業を進めておくことにした。


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