野菜の品種改良
登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記) レイセモルス=レイ(台詞表記) 小林幸=幸(台詞表記) ミーリス=ミリ(台詞表記)
その後もいろいろと調整してみた結果、急成長させると味が落ちることが分かった。無理やりの成長では十分に成熟できないんじゃないかと検討を付け、その対策として実についてはなるべくゆっくりと成長させるという感じで魔法を調整する事で、ある程度の品質を確保することに成功する。まあ、厳密には味は落ちていると思うけれどね・・・・・・
それでも極端に味が落ちないだけまだ調査することができそうだった。
でも、これでやっとスタートラインって感じだな~
ここから錬金合成を繰り返していって美味しい野菜の種を作らなければいけない・・・・・・と言うか今更なんだけれど、錬金術で野菜の種って合成できるものなのかな?
ちょっと心配になったので、早速いくつか試してみることにした。
そして一応よくわからないが植物の種は作れる事が分かる。お試しで作ったので、野菜ではない植物になっていたけれどね。ということは、後は合成表作りだけだな・・・・・・また地道な研究が始まりそうだった。
錬金術を使った種の品種改良のついでに、肥料も一緒に錬金術で作ってしまおうと考えた僕は、商業ギルドで追加の肥料を買うついでにマッピングシートを見せに行くことにした。
ロプ 「こんにちは。フラメルさんはいますか?」
ギルド「ロップソンさん、いらっしゃい。魔道具の鑑定ですね。応接室に案内します」
まずは先に商談をしてから肥料を見に行くことにする。まあ、売れればの話だけれどね。
鑑定員「お待たせしましたロップソンさん。今回は買取ですか?」
しばらく待っているとフラメルさんがやって来て、また冒険の出土品かと思ったみたいだね。
ロプ 「いえ、以前作ろうと考えて無理だった物が完成したので、それを持って来ました。発明王程のものではないと思うのですが、マッピングシートというやつです」
鑑定員「一度だけ見たことがありますよ。あれはなかなか素晴らしい物でしたね。早速拝見してもいいですか?」
ロプ 「ええ、これです」
使い方など説明していくとふむふむと聞いた後、早速鑑定してもらえる。
鑑定員「確かにマッピングシートとしての機能はありますが、発明王の物を見ていると劣化版といった感じですね」
ロプ 「そんなに違いますか?」
鑑定員「ええ、まずは発明王の物は有効範囲が視界内です。つまり、見える範囲がマップに表示されます。そしてロップソンさんの懸念しているマップの範囲などもそうですね。自動で縮尺を変えてくれるのですよ」
ロプ 「は? 自動って、縮尺を変えるだけでも大変だと思うのに、勝手に魔道具が最適な表示に変えてくれるって事ですか?」
鑑定員「はい、それと現在位置も表示してもらえる上に、発見した罠や討伐していない敵などの位置も表示できたとか」
ロプ 「敵もですか。じゃあ、うまく立ち回れば、一度も戦わないで進めると?」
鑑定員「ああ違います。罠もそうですが、あると発見できたものが表示されるので、敵も発見したけれどそのままやり過ごした場合、どこに移動して行ったかがわかったという話でした。ただ、未探査区域に行くとその後どこに行ったのか、反応が消えるらしいですね」
ロプ 「そんなの、どう作ればいいのか、分からないですよ・・・・・・」
鑑定員「そうですね。まあですので劣化版のマッピングシートとしてでいいのなら、取引させてもらいますよ」
ロプ 「うーん。おそらくどうやってもこれ以上の性能には、できそうにないですね。今聞いた話を基に考えてみましたけど・・・・・・どうがんばっても僕にはそれが限界だと思えますよ」
鑑定員「そうですか。まあこれだけでも冒険者にとってはありがたいと思いますから、十分でしょう。では金額を決めてしまいましょうか」
ロプ 「はい、よろしくお願いします」
取引金額を決めた後、とりあえずで百枚の納品契約を結んで商談を終わらせることになった。百枚分の生産か、アサシンバジリスクの革を集めて来なければいけないな。結構多いけれど、日本のように期限内に納めろって言われないだけまだましだな。
まあそれは後にして、まずは肥料を買いに行く。
前回はいろいろと種類があったものの、その中で一番成長すると思える物を一つだけ選んで買って行ったけれど、今回はとにかく種類とそれなりの量を買って行く。どの肥料の掛け合わせが必要な肥料に変わるかわからない為、なるべく多くの素材が必要だった。今までやってこなかった分野だからストックとか持っていないからな~
そんな感じで家に帰って来ると、幸も帰って来ていた。
ロプ 「ただいま~」
幸 「お帰りなさい~。どこに行っていたの?」
ロプ 「商業ギルドで追加の買出しと、魔道具の取引かな。うーん、ジャドをわざわざ呼ばなくてもいいか・・・・・・幸、必要な素材があるんだけれど、一緒に行ってくれるか?」
幸 「うんいいけれど、今から?」
ロプ 「急ぎではないけれど、何か用事があるなら明日とかでもいいよ」
幸 「ううん。準備して来るから、待っていて」
ロプ 「じゃあこちらも準備するよ」
そんな訳で、今回は二人で素材を集めに向かうことにする。
マギーで移動しながらお喋りとかしていたけれど、そういえばマギーの居住性とかも良くしたかったんだったな。後はキャンピングかーみたいに寝泊りできるやつとか。
いろいろと作ってみたいものがあったのを思い出す。余裕があれば作っていこう。
幸 「それで必要な素材って言うのは何?」
ロプ 「アサシンバジリスクってモンスターがいるんだが、そいつの革は魔力を流す事で色を変えることができるんだ。保護色というやつかな? それを利用した魔道具を作る予定なんだが、その素材が足りないから取りに行きたいんだ」
幸 「なるほど」
ロプ 「幸は隠れているやつの位置とかって分かるか?」
幸 「うーん。どうだろう? 実際に見てみないと分からないけれど、多分わかるんじゃないかな?」
ロプ 「駄目そうなら言ってくれ、対応する魔道具を作るから」
幸 「わかった」
しばらくしてアサシンバジリスクの生息地に辿り着くと、まずは相手を確認できるかどうか確認することにした。
ロプ 「命の息吹を知らせよ、ライフセンサー」
うん、こっちは魔法でばっちり対応できるな。まあ、いる事がわかるだけで、正確にどんな感じでとかわからないんだが、回収作業とかには問題ない。水属性魔法なら問題なく倒していけると思うから、確実な位置がわからなくても問題なく素材集めに参加できるだろう。
ロプ 「どうだ? 位置とかわかりそうか?」
幸 「大丈夫、問題ないよ」
ロプ 「じゃあ、できるだけ素材を傷付けたくないから、頭を狙ってくれ」
幸 「はーい」
ロプ 「じゃあ、行こうか」
幸 「うん」
相変わらず幸は一撃で倒して行ったけれど、こっちは二発の攻撃を入れないと倒し切れないようだった。でも、それが理解できていれば、その分距離を保って攻撃することで危険も少なく倒して行けたので、大体四十体くらい倒した後、幸には休憩してもらい革を剥いで行く作業をして、回収した革と討伐部位を持って帰還することができる。
ちょっと多めに倒して来たので、三倍の納品があっても対応できるだろう。
ロプ 「お疲れ~」
幸 「お疲れ様~」
ロプ 「素材集め、手伝ってくれて助かったよ」
幸 「いえいえ、役に立てて嬉しいわ。他にも手伝うことがあったら言ってね」
ロプ 「ああ、そのうちにちょっとした園芸みたいな事とかするかもしれないかな。その時は栽培か、試食みたいなことをしてもらいたいかも」
幸 「試食? 果物とか?」
ロプ 「そっちも栽培したいな、日本で売っているみたいな野菜が作れないかって思ってね。まだ計画段階だから、全然形にはなっていないんだけれど、まあそのうちだな」
幸 「分かったよ。その時は言ってね」
ロプ 「できるといいんだがな~。まだ、ひょっとしたらできたらいいな、みたいな感じでしかないんだ」
幸 「美味しい野菜、できるといいね~」
ロプ 「できるだけがんばってみるよ」
まずは手始めに肥料から研究して行くことにした。単純に肥料同士を合成するパターンから、残飯や動物の骨や屍骸など、いろいろなものを合成して行き、できた物を花の周りに撒いて魔道具で成長させていく。
しばらくはそんな研究を続けた。
錬金ついでに、マギーの座席に使う素材もできないかといくつか試して見ると、スポンジという素材に近い物ができたので、先にそちらを研究してみる。肥料よりいい手応えを感じたしね。
低反発とか何とかいっていた素材みたいになれば、疲れない座席とかできそうなんだけれどなっていくつか試してみたのだけれど、早々上手い具合の物は難しいな。
そこで、一番近いタイプの物を謎の技を使って素材変換するとなかなかよさそうな物ができた。
ふむ。ちょっと幸に試してもらおうかなって考え、とりあえずソファーの形に加工してみる。これを使ってのんびりしたり寝っころがったり、いろいろ試してもらえば快適かどうかわかると思う。最終的にはマギーで長時間ドライブとかやってみて、デートがてら耐久テストをするのもいいかもしれないな~
結局その日はなんだか関係ない家具作りで時間がなくなってしまった気がするが、まあこれも実験の為だな~
ロプ 「幸~。ちょっとしばらくこのソファーを使って、使い心地を確認してくれないか? 快適ならマギーの座席とか、いつになるかわからないけれど、キャンピングカーみたいな物も造ってみたいと考えているんだけれど」
幸 「分かった。とりあえず座ったりして、疲れないか見ればいいのね?」
ロプ 「ああ、問題なさそうなら、マギーでの移動が快適になると思う」
幸 「それはいいね~。しばらく使ってみるわ」
ロプ 「よろしく」
さて、今日はもうきりを付けてゆっくりするかな。
翌日からはまた肥料の合成を始める。
布とかは謎の技で上質の素材になるんだけれど、肥料とかは上質になってくれないんだよな~ ままならないものだと思いつつ、錬金した肥料を幸に渡して行って花を成長させて具合を調べてもらう。
幸にも手伝ってもらったので、肥料の合成表の作成はいいペースで進み、午前一杯使って合成した肥料でこれはって物ができてきた。この肥料を使うと、花が咲き乱れたから多分一番栄養のある肥料だと思う。
まあ、成長によくても野菜の味に関係する結果がでるとは限らないけれどね。とりあえずこの肥料を改良していくことで、美味しい野菜を栽培する研究を進めていこう。
まずは普通に何も手を加えていない野菜の種から魔道具で成長させて見る。初期の野菜の状態を確認しておきたかったから試してみた。
できた野菜はまあ、そんなにいつもと変わりがないように思える普通の青臭い野菜だな。微妙に味が薄くなっている気もするのだが、これは環境とかそういう理由なのか急成長したからなのか・・・・・・まあ一応そこまで気にしなくても大丈夫な感じで、普通に味わえそうなものに栽培できた気がする。
そういえば、日本では栄養状態とか気にしていたな・・・・・・どの野菜がどれだけのビタミンとかが? 入っているとかそういうの。健康に気を使うなら、そういうのも気にしていい野菜を作らないといけないのかな?
問題はそれらの栄養素を、よく理解できていないってところだろうな・・・・・・分析方法もよくわからないし・・・・・・
酸っぱい果物を食べるとビタミンシーって栄養が取れるのは、なんとなく分かった。それがどんな役に立つのかは、理解できていないけれどね。
まあ、そこは考えても仕方ないよね。
僕自身が理解できていないし、こっちの世界でそういう学問みたいなものは存在していないのだから・・・・・・
こちらの優先順位はまず食べられること。次は栽培するのにお金がかからない手間がかからないこと、そして量産できることで最後にようやく味が来る。日本のような体に良いのかって部分はこっちには無いのだ。
まあ、それで行けばこの即育つ野菜なんかは、十分実用段階の発明である。
肥料と種にお金がかかるが、飢えた人間に食事を提供することができる画期的な発明だと考えていいだろうな~
とりあえずの肥料の開発が終わり、いよいよ野菜を錬金していると、夕方にジャドがやって来た。
ジャド「がんばってるか~」
ロプ 「いらっしゃい」
幸 「コンバンワ」
ジャド「野菜の研究か?」
ロプ 「ああ、マグレイア王国って所には、美味しい野菜や肉があったって話しだし、ちょっと試してみたくてな」
ジャド「あったな~。直ぐに転送の魔道具が使えなくなって、手に入らなくなったんだったな」
ロプ 「だな。まあ異世界の野菜程ではなかったんだが、できればそれくらい美味しい野菜を作りたくてね」
ジャド「成功したら食べさせてくれ」
幸 「オイシイヤサイガデキタラ、ヤサイイタメヲツクリマショウ。シオトコショウダケデ、カナリオイシイトオモイマスヨ」
ジャド「お、じゃあその時は、お邪魔させてもらうな」
幸 「タノシミデスネ~」
そう言いつつ、幸が魔道具を操作して野菜を成長させる。見ている間に実が膨らんで成熟していったものを、おもむろにジャドがもいでかじった。幸も隣の実をもぐと、軽く洗ってからかじる。
ジャド「うーん。普通の野菜だな。特に美味しいって感じじゃない」
幸 「マダハジメテショニチデスシ」
ジャド「まあ早々できるものでもないか」
幸 「コレカラデスネ」
ロプ 「多分ここからは長いと思う。それとこういうのは素人だから本当なら商業ギルドで、共同開発した方が良いんだと思うけれどな」
ジャド「確かまえにお茶玉を作った時がそうだったな。今回はそうしないのか?」
ロプ 「なるべくなら、ノウハウを渡したくはないかな。それに元々は幸の食生活の改善の為にしてみようって考えただけだしね」
ジャド「なるほど。となるとしばらくは忙しいのか?」
ロプ 「冒険か?」
ジャド「ああ、そろそろ行かないかって思ってな」
ロプ 「まあ、こっちは直ぐどうこうってものじゃないから、行ってもいいぞ」
ジャド「よし、なら明日冒険者ギルドに来てくれ」
ロプ 「わかった」
幸 「ワカッタヨ」
ジャドはそれだけ言うと、帰って行った。
ロプ 「勝手に決めちゃってごめんな」
幸 「別にいいよ。体も動かさないと鈍るんだよね?」
ロプ 「そうだな。勘は早々鈍らないだろうけど、まあ油断すると危ないかもしれないし程々に参加するのがいいかもしれないな」
幸 「冒険も楽しいから大丈夫だよ」
ロプ 「そうか、ありがとう」
明日に備えて、今日はこのまま休む事にした。
そして朝、昨日は早くに寝たからスッキリした目覚めになったかな。そんな感じで冒険者ギルドまでやって来る。
ロプ 「おはよう~」
幸 「オハヨウデス」
ミア 「おはようでございます」
そこにいたのはミリアナだけで、挨拶を済ませると早速お茶を入れ始めた、幸も慌てたようにそれを手伝っている。幸とミリアナは随分仲良くなった感じだな。
二人の会話を聞きながら、金属液の新たな使い方は何かないのかと発明のアイデアを考えながら、他のメンバーが来るのを待つことにした。
ちなみに二人の会話の内容は、ファッションについてだった。これは話に付いていけないな~
その後次々とやって来る仲間に挨拶をしてジャドの持って来た依頼にみんなでサインをすると、早速冒険へと出かけることにした。
今回の依頼は、モンスターの卵を集めるというものだった。緊急でも大物でもない感じの依頼だね。
まあ確実に持って来て欲しい卵の中に、大物のモンスターも含まれてはいたけれど、絶対に戦闘して倒せとは書かれていないので、戦闘を避けることができるモンスターもありそうだ。
逆にワイバーンの卵などは、親を確実に倒して来ることとなっている。
これの理由は単純で、親が卵の匂いを辿って取り返しに来るからってことだ。もし親をそのままにして卵だけを持ち帰ってきた場合は、逆にペナルティーを受ける事になる。状況次第だけれど、最悪は犯罪者として牢に入れられる事も考えられるので、気を付けなければいけないな。
昔は戦争で敵国がこの習性を利用して、卵を強奪し村に投げ入れることで町を襲わせるなんてやり方もやっていたらしい。
今はそのやり方で戦う国は周辺国から軽蔑されて、下手をすれば連合を組んで粛正される邪道な戦い方とされているそうだ。
まあそんな訳で、何人かに分かれて卵の収集をすることになった。
ジャド「ロップソンと幸は、ロック鳥に行ってくれるか?」
ロプ 「またあいつか。まあいいが」
幸 「マタトビオリルノデスカ?」
ロプ 「あー、そうなるかな? 親を倒した場合、死体も持って行くか?」
ジャド「そうだな。せっかくだし持って行ける奴は持って行くか」
ロプ 「じゃあ、一度家に寄って荷台を連結して行くぞ」
ジャド「ああ、頼む」
マギーを町の外に走らせていたけれど、急遽進路を変えて家に向かった。
こっちがマギーの操作をして荷台を連結したりしている間に、他のメンバーの担当なども決めていったようで、町を出る時にどこに向うかとか指示をされる。
順番に担当地域へとマギーを走らせて、みんなをその都度降ろしては荷台を置いて行き、帰りは行きとは逆にみんなを拾い集めて行く予定になった。
まあまずはこちらのロック鳥の卵だな。
以前と同じでウッドマンに幸を乗せて崖を登って行くと、見付けた巣を確認して行く。
親のいない巣を重点的に、なるべく高い所から探して他の巣の様子などを窺ったりもして卵を探すけれど、なかなか見付けられないな~
二・三個巣を見て回って見付からなかったので、いよいよ親がいる巣を探して卵の有無を確認して行くことにした。
相手の風上に行かないように注意をしながら探して行くと、やっと卵がある巣を確認することができた。
さて目標を確認したのはいいけれど、下手に戦闘すると卵にも影響が出てしまうから注意しないといけないな。それに下手に飛び立ったやつを倒すと、下に落ちちゃうから死体を回収するのも大変になる。
上手く卵に被害を与えないで、その場でしとめられればいいんだけれど・・・・・・
ロプ 「暴れないようにロック鳥を倒せそうか?」
幸 「一撃で倒すのはちょっと難しいかも。そうするとどうしても暴れちゃうと思うから、そうしたら卵がどうなるか分からないかな」
ロプ 「やっぱりそうだよな」
幸 「こっちに引き寄せてから戦いますか?」
ロプ 「それだと死体を回収するのが大変そうだからな。なるべくその場で倒したい」
幸 「数十秒くらい時間があれば何とか倒せると思う。それまで暴れないようにできればいいんだけれど」
ロプ 「数十秒か。それなら何とかできるかも」
ある程度なら植物で捕獲しておけば暴れられなくなるし、そのついでに卵も包んでおけば多少の衝撃も抑えられるかもしれないな。まあ、あくまでも多少だけれどね。
一応作戦は決まったので、まずは僕の魔法が届く距離まで移動することにした。
ある程度は魔法の効果拡大で射程を延ばすこともできるのだか、さすがに十キロとかそんな極端な距離に拡張はできない。魔法にはルールがあって、やはり明確にできることとできない事が決まっている。
僕の通常射程距離は今の魔力だと、大体百メートルを少し越えるくらいかな? そこから最大限拡張させて一キロちょっとまでは何とか拡大できる。ただし、そんなにも離れた相手に魔法を使えば、その飛距離分狙いがずれるし、相手に発見された場合には避けられる可能性が高くなる。
本来ならば、この距離で魔法を使うのは意味がない高位だったんだけれど、今回でいけば使う魔法が射撃タイプの魔法ではないことと狙う相手が巨大なので、一キロ離れても何とか魔法を使えそうだった。
幸の射撃に関しては、長距離射撃は難しいかと思えたけれど相手の動きを止めるように魔法を使うこともあって、おそらくは大丈夫だという話だった。
でも今回は目標が親と卵の為、対象が二つと射程の拡張になって来るので射程は最大の半分、五百メートルってところから仕掛けることになる。対象が二つじゃなければ一キロ先から狙えたんだけれどね。
まあ失敗したら普通に倒して、面倒な回収作業をするだけだなって割り切って行動することにした。
ロプ 「じゃあ行くぞ。新緑の命ここに我が意思に従え、コントロールプラント」
対象をロック鳥と卵の二つに拡大すると共に、射程距離を限界まで拡張して魔法を使う。ここからだと遠くて細部は見届けられないけれど、ロック鳥と卵が緑色に染まった感じがする。それと同時に幸が攻撃を開始した。
幸 「終わったよー」
ロプ 「よし、じゃあどうなったか見に行こうか」
幸 「うん」
ウッドマンに乗って移動すると、巣の様子が段々分かるようになって来る。卵は・・・・・・無事のようだね。後は親鳥が巣の中で倒れたままだったので、どうやら予定通り上手く行ったようだった。
それではと幸には待っていてもらい、回収作業を済ませるとウッドマンに収穫物を固定して行く。準備が終わると、まだ飛び降りるのには慣れていない幸を抱き寄せて、フォーリングコントロールの魔法で下まで一気に降りて行った。
帰りはみんなそれぞれに卵を収穫し終えたようで、荷台に割れないよう積んで行く。そしていろいろな卵が混じって、どれが何の卵かわからなくならないようにメモをくっ付けてギルドまで帰えることになる。その帰り道でジャドが提案して来た。
ジャド「今回ドラゴンの卵を狙えば、特別報酬が狙えるんだが、どうする?」
ロプ 「そうだな、アースドラゴン辺りなら、問題ないと思うぞ」
ミリ 「凶暴なドラゴンでなければ問題ないと思う」
ニナ 「火竜とか暗黒竜は、さすがにきついよね~」
ジャド「そいつはさすがにどうなるか、分からんな」
ミア 「ゴールドドラゴンも、頭が良いって聞きますし、無理だと思います」
ロプ 「やっぱり狙い目はノーマルドラゴンか、アースドラゴンだな」
ここで言うただのドラゴンは緑色をしたドラゴンの事で、特に特徴のないドラゴンを指す。
ノーマルドラゴン、グリーンドラゴンなどと呼ばれたりしていた。そして他の火竜とかだと、大体は属性の乗った攻撃が得意だったり、属性の攻撃を吸収したりすることがあるので、強さがノーマルより高くなる。
レイ 「以前にも倒せていますし、アースドラゴンでしたら狙ってみてもいいでしょうね」
ジャド「よし、じゃあ今日はここまでにして、明日はアースドラゴンの卵を狙ってみるぞ」
ニナ 「はーい」
ミア 「がんばります!」
マギーの中で話し合って、追加討伐が決まった。子供を守るドラゴンは厄介なことが多いので、気合を入れて準備をしておかないといけないな。油断だけはしないようにしようと考えた。




