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魔石職人の冒険記  作者: 川島 つとむ
第六章  魔石の可能性
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シャドウの脅威

登場人物 ロップソン=ロプ(台詞表記) ジャド=ジャド(台詞表記) ニイナ=ニナ(台詞表記) ミリアナ=ミア(台詞表記) レイセモルス=レイ(台詞表記) 小林幸=幸(台詞表記) ミーリス=ミリ(台詞表記)

 最上階手前まで何とか無事に辿り着けた僕達は、作戦会議をすることにした。

 階段を上がれば直ぐ上に魔導装置の設置された部屋に出られるのは確認したのだけれど、その部屋の真ん中にあのやばそうなシャドウが陣取っていて、無策で上がるのは得策ではないと思われたのだ。

 だからといって、魔導装置をこのままにしておけばドンドン狂った精霊が生み出されていくので、あまり時間をかけることもできない。


 ロプ 「何かやつの注意を引けそうなものでもあればいいんだが」

 ジャド「案山子みたいな物でも用意するか?」

 ロプ 「素材があればそういうのも作れると思うが、ここには素材どころか道具も無いからな」

 ニナ 「どこかの部屋でも調べてみる?」

 ジャド「調べて都合よく使えそうな物が見付かればいいが、難しいだろうな」

 ミア 「ですね」

 幸  「デシタラ、マホウノヒトカミズナドデ、オトリガツクレマセンカ?」

 ジャド「昔にやった囮の幻影か・・・・・・アサシンバジリスクは上手く引っかかってくれたが、あの魔道具は持っているか?」

 ロプ 「そう都合よく持っている訳がないだろう? でも魔法の囮はいい線いっていると思う。ミーリスはできそうか?」

 ミリ 「おそらくは」

 ロプ 「失敗した時を考えて、もう少し手を考えておきたいな」


 今現在持っている魔石を取り出して、即席の囮魔道具を作り上げていく。魔石単体になるので、各属性で人っぽい姿にした幻影みたいなものを作り出すくらいで、動いたりはしないものだけれど囮には十分だろう。

 予備を含めて各自二つずつ渡して一応準備はできた気がする。


 ロプ 「ミーリスは魔法で動く囮を作り出せたらやってみてくれ。駄目そうなら風魔法でも何でもいいので、魔石を転がすとかして幻影を動かしてくれてもいい」

 ミリ 「やってみよう」

 ジャド「じゃあ準備はいいな? ロップソンは一応シャドウに気を付けつつ、魔道具を解析して原因を取り除いてみてくれ」

 ロプ 「わかった」

 ジャド「じゃあ行くぞ」


 合図を受けてまずは僕が魔石を部屋に投げ入れて幻影魔道具を発動させる。


 ジャド「かかった! 全員突入!」


 一応、音などをなるべく立てないようにシャドウを気にしつつ全員が部屋の中へと入って行き、僕は魔道具へと駆け付ける。

 今のところシャドウは人型の幻影が気に入らないのか、それに向っていろいろと攻撃を仕掛けているようで、僕達には気が付いていないようだった。この隙にまずは水晶球を取り出し、魔道具と合わせて調べていく。

 魔力の流れなどを調べていくとどうやら錬金術を利用した装置で、いろいろな魔道具を寄せ集めて精霊を召喚して魔力に変換しようみたいな感じで、力を汲み上げているようだった。

 魔道具を作れる者がこの装置を作った者ではなかったようで、かなり無理やりな組み合わせになっており、実際に取り出せる力はわずかなものでしかないものの、精霊に与える負荷はかなりきついものだった為に正常稼動できなくなった魔道具の影響で狂ってしまうみたいだった。

 でもって水晶球の役割りはそんなパーツの一部で、各魔道具の緩衝装置みたいな役割を持っていたらしい。水晶自体にはそこまで大きな力は無いのだけれどね・・・・・・

 他の魔道具は変にくっ付けられていてかなりの大きさになってしまい、動かせなくなっていたのだけれど、この水晶球だけがなぜか取れたので盗まれてしまったって感じだろうか?


 さてここまではわかったものの、この魔道具を止める方法が問題だろう。おそらく魔道具同士を切り離せば問題はなくなると思うのだけれど、道具もなしに切り離す事は無理そうな感じだった。金属を引きちぎる筋力など持ち合わせていないよ・・・・・・

 そして手元には解決策に繋がりそうな物は特になさそうだ。

 シャドウは幻影が出ている魔石に気が付いたのか、今は魔石に攻撃しているらしく、幻影が攻撃のたびに乱れている感じだった。のんびりとはしていられないな・・・・・・

 ジャドもこのまま黙っているよりはって感じで魔石をシャドウの方へと投げ込んでいたので、その魔石を起動する。その魔石は火属性の魔石だったらしく、勢いよく出て来た人型にシャドウは飛び付くように攻撃を仕掛けていた。

 それを見て、そういえば日本の職業訓練所で習った技術に溶断と言う技術があった事を思い出す。これは本来ガス溶接か、アース溶接などで本来は金属同士を繋げる為の装置を、火力を高めて金属を溶かして切断するという技術だった。

 僕は火属性の魔石を取り出してそれに魔法構成を組み込んで即席の魔道具へと作り変える。それが終わると、闇の魔石を発動させて光がシャドウに見付からないように炎を包み込ませると溶断と言うものをしていった。

 敵の隣でこんな生産活動させられるはめになるなんて、考えた事もなかったので、結構焦って手が震えるものだな~。そんな事を考えていると、みんながうまく魔石を使ってシャドウの気を引いてくれる。

 ミーリスは上手く幻影を作り出せなかったのか、魔石を転がしてシャドウを誘導させているみたいだった。

 魔道具は人が触ると大火傷してしまう程熱くなっていたので、切り離しに成功して床に落ちると大きな音がしてシャドウがこちらを向くのが怖くて仕方なかったけれど、そのたびにミーリスが上手く囮を転がしてくれたので何とか解体する事に成功した。

 魔力の供給もなくなり、これ以上精霊が狂う事がなくなったのはいいけれど、問題は既に狂ってしまった精霊をどうするかが問題だろう・・・・・・

 ハンドサインでジャドにどうするか窺う。


 ロプ 『どうするんだ、こいつ』

 ジャド『やっぱ放置は駄目か?』

 ロプ 『駄目だろう!』

 ジャド『でもこいつは危険過ぎると思うぞ』

 ロプ 『確かにやばい』

 ジャド『一度下に降りて、作戦会議しよう』

 ロプ 『その間、大人しくしていてくれるか?』

 ジャド『そういえば、下に来ていたな』

 ロプ 『不意打ちは厄介だぞ』

 ジャド『わかった、危険だがまだ姿が見えている方がましだから、このっまま行こう』

 ロプ 『了解した』


 幸はまだ経験が浅く、それ程複雑なハンドサインは理解できないと判断して、まずはこちらに呼ぶ事にする。作戦が始まったら直接小声で指示を出す事にしよう。

 ジャドがみんなへと作戦を伝えて、攻撃開始の合図を送って来る。


 ロプ 「輝く光よここに、ライトブリット。幸は光属性でドンドン攻撃していってくれればいいよ」

 幸  「わかった」


 ジャドとレイが前に出たり、魔石の幻影を交えたりしながらシャドウを翻弄している隙に、残りのみんなで攻撃を叩き込んで行った。


 ニナ 「うわ! こいつ装備を腐敗させるから魔法装備以外は気を付けて!」


 見るとニイナのマントの一部が腐り落ちていた。

 ひょっとして死体が消えたのはこれのせいか?

 とにかく接近し過ぎるのは危険だとわかった。

 ジャドとレイが魔石を蹴飛ばしてなるべく幻影に前衛をやらせることで、なるべく攻撃を受けないように注意していく。それでもたまに、予告なく振り回すシャドウの爪の攻撃などが飛んで来たりするのでそれを盾で受けていたけれど、そっちは特訓のかいがあったのか上手く受け流せているようだった。

 どれくらいの時間おっかなびっくり攻撃を続けたか、おそらく三十分は余裕で戦い続けたと思うけれど、何とか大きな怪我も無くシャドウを倒す事ができて、僕は囮に使った魔石を回収する事にした。

 そこで気が付いた事は、シャドウの攻撃でばらばらになった魔石がまだ機能しているようで、破片全部で一応魔道具として機能しているということが理解できた。

 砕けても効果が失われないままだなんて気が付かなかったな。これは何かに使える可能性がある発見かもしれない。まあでもこんな粉々な魔石は回収もできないので、魔石化の解除だけして残していく事にした。


 ジャド「お疲れ~」

 ミア 「お疲れ様でした~」

 ニナ 「疲れた~」

 ミリ 「あれはシャドウではないな。もっと上位のシャドウストーカーかと」

 ロプ 「あー、そんな奴もいたな。道理で強い訳だ・・・・・・」

 レイ 「そんなに違うものなんですか?」

 ロプ 「外見は殆ど変わらないが、強さは段違いだな。イフリートとか、ベヒーモスとかと同じ上位精霊で、本来なら影を渡った奇襲が得意でかなり手強い相手だ」

 ミリ 「気が付いたら背後からグサリって感じだな。他にも生命力の吸収とか憑依なんかもして来るから、まともに相手にするならかなり厄介だったと思う」

 ニナ 「狂っていてよかったんだか、どうなんだか・・・・・・」

 ジャド「疲れているが、他に狂った精霊がいるようなら倒してとっとと帰るぞー」

 ロプ 「だな・・・・・・さすがに疲れたよ」

 幸  「クルッテイルセイレイハ、アトゴヒキホドイルミタイデス」

 ジャド「サチさんどうも、じゃあ移動できそうなら塔を降りながら、倒して行くぞ~」

 ミア 「はーい」

 ニナ 「わかった~」


 移動の前に一応魔道具をアイスの魔法で冷やしてから全員で手分けして回収し、バックパックに詰め込んだりでか過ぎる物は直接持って撤退する事にした。

 その後狂っている精霊は、近くまで行くと向こうから襲って来たので各個撃破していき、無事にクエストを完了する事ができた。その報告を村に寄ってした後、僕達は冒険者ギルドまで帰って来る。

 冒険者ギルドに到着すると、幸を含めてみんなにはここで降りてもらい、僕は商業ギルドに行く事にした。ジャドはそのまま依頼完了の報告をしてもらい、みんなには酒場にでもいって休んでいてもらう。

 何故みんなと別れて商業ギルドに行くかというと、今回の塔で回収して来た魔道具を商業ギルドで買い取ってもらう為だった。

 冒険者ギルドでも買い取ってもらえるのだけれど、商業ギルドの方が足元を見られないっていうのと、ほぼ不満の無い値段を提示してもらえるくらいには、顔が効くというメリットがあるからだ。

 後は僕らのパーティーに精霊使いはいないので、この魔道具達はいらないっていうのもあるな。そんな訳で魔道具を売りに向った。


 ロプ 「すみませんロップソンですが、フラメルさんはいますか?」

 ギルド「はい、応接室でお待ちください、こちらです」


 受付の人に案内されて応接室で待っていると、フラメルさんがやって来る。


 鑑定員「お待たせしました。また何かできましたか?」

 ロプ 「いえ、今日は冒険の最中に見付けた魔道具を引き取ってもらいたくて来ました。お願いできますか?」

 鑑定員「なるほど、了解しました。とりあえず見せてもらってもいいですか?」

 ロプ 「ええ」


 バックパックに入れていた魔道具の数々を取り出して、フラメルさんに見せる事にした。これは一部なので、他にもあると言ってマギーから魔道具を運び込む。その数は三十点にも及び、結構な大きさの物などもあった。

 まあ、大きければ高く売れるって物でもないんだけれどね。

 数もそうだけれど品質などの鑑定もある為、結構時間を取られはしたけれど取引自体は無事に終了する。


 ロプ 「ありがとうございました」

 鑑定員「いえいえ、また何かありましたら遠慮なく言ってください」

 ロプ 「はい、また何か見付けた時はお願いします」


 これは実際、お世辞とかそういうものではなく、殆どの場合は冒険者ギルドが魔道具を引き取ったりするので、結構本気で喜ばれたりしている。こういうところでも顔見知りって言うメリットが生きて来る。次も持って来てもらえるとしたら、色を付けて買い取ってもらえるのだ。

 そんな訳で再び冒険者ギルドへと帰って来ると、やっとみんなと合流する。


 ロプ 「お疲れ様~ もう分配は済んだか?」

 ジャド「こっちの方は終わった、お前の分はサチさんに渡してあるぞ」

 ロプ 「了解。じゃあこっちの魔道具を売った分を分配して行くぞー」


 そういいつつ、人数で分けたお金をそれぞれに渡していった。さすがに溶断するという状態の悪いものだったけれど、機能そのものに問題はなかった為、それなりの値段で買い取ってもらえたので、依頼そのものの金額が少なくても十分以上に懐が暖かくなるだけのお金を分配する事ができた。


 ニナ 「マントを買っても余裕で贅沢できる報酬になったね!」

 ロプ 「なんなら、マントも作ろうか?」

 ニナ 「え? ロップソンさんってマントも作れるの?」

 ロプ 「ただの布だけれどな」

 ミア 「鍛冶だけじゃなかったのですね」

 ジャド「こいつは細工とかもできるぞ。もちろん大工もな」

 ミリ 「本当に生産者なんだな」

 レイ 「いや、生産者って普通もっと一つに特化しているんじゃないですか?」

 ロプ 「僕の場合はメインが魔道具だからな。鍛冶だけしていればいいって物じゃないんだ。まあ今までは裁縫は殆ど使ってこなかった技術だけれどな。でも今回はちょっと面白いものが作れるかもしれない」

 ジャド「お、何か思い付いたのか?」

 ロプ 「ああ、偶然なんだが、シャドウに魔石を粉々にされたのにもかかわらず、魔石本来の機能を維持し続けていたんだ。これを上手く利用できれば、マントも魔道具化できる可能性が出て来た。まあ、まだできると決まった訳じゃないんだけれどな」

 ジャド「おー、つまりついでに実験させろってことだな?」

 ロプ 「まあ、早い話がそういうことかな」

 ニナ 「じゃあお願い!」

 ロプ 「よし、任された! 最悪駄目だったら普通のマントを作るよ」

 ニナ 「うん、それでいいよ~」

 ジャド「そうなると、全員の防具も造って欲しくなるよな」

 ミア 「あ、そうですね。私もローブでは心もとない事があるので、お願いしたいかもしれません」

 幸  「タシカニ、ローブデハイザトイウトキニコワイデスネ」

 ロプ 「まあ、とりあえず一つ一つやって行こう。まだひょっとしたらできるかもって可能性の話しだから、作れるようなら考えていくって感じだ。そこまで期待されると逆にこっちが凄い重圧を感じるぞ」

 ミア 「すみません」

 ロプ 「いやいいんだが、まあできることがわかったら、おいおい作っていこうって感じかな」

 ジャド「いいね~ どんどんみんなが充実していって、冒険が楽になって行くな~。そのうち鎧とかも頼むな」

 ロプ 「ああ、余裕ができたらな」


 その後少し騒いで、ニイナにはマントを貸してもらいしばらく生産する事を伝えて家に帰って来た。

 まだ二本は日本刀も作らなければいけないのだけれど、まずはこっちのマントを作ってみようと思う。とはいっても、いきなり実験しても上手く行かない可能性がある為、いろいろと実験検証をすることにした。

 手始めに魔石になった物を粉々にしても効果が失われなかったことは確認できたのだが、粉々になった金属を魔石化することができるのかどうかを実験してみることにする。その結果は、特に問題なく魔石化したみたいだな。

 じゃあ次は適当な布にこの粉を付けて、布を魔道具にすることができるかどうか試してみる。これは・・・・・・布を持ち上げると粉が落ちてなんだが訳のわからない状態になってしまった・・・・・・暴走されても怖いので魔石化を解除する事で危険を排除する。

 しかし、予想と違ってこれでは利用価値があまりない気がする・・・・・・

 そこで粉になった金属を別のものに変化させられないかという発想を、ミリアナに作った鞭を思い出して考え付いた。自分でもよくわかっていない技なのだが、金属の細い棒を金属繊維に作りかえることができたので、今回の粉もなんらかの形に作り変えることができれば、加工のしようもあるかもしれない。

 まあ思い付きなので、どうなるかわからないけれど試してみることにした。

 そして出来上がったものは金属の液体みたいなものに変化した。おかげで思いっきりテーブルの上とか汚れて掃除が大変だったけれどね・・・・・・

 まあそれはいいとして、液状の金属になった為、布と相性もよくなったのではと思いたい。

 今度は魔石化していない金属を粉にして、それを液体にした後布に染み込ませて魔石化することにしてみた。その結果、ちょっと滑らかさが薄れた気がするのだけれど布の魔道具化に成功した気がする。布なのに重いし、布本来の柔らかさや温かみも無くなっているかも?

 多分これは金属の液体に浸け過ぎたのが原因だから、筆で布に塗り付ける感じでやれば、重くなったりごわごわしなくなるのではないかな?

 ある程度の目処が立ったので、まず下地になるマントを裁縫の技術を駆使して作り上げていって、そして完成したマントの表面に筆を使って金属液を塗り付けて魔石化させ・・・・・・問題はどんな魔法効果を付けるのがいいかだな・・・・・・持たせた属性は風なので、移動補助の魔法を付けるのが良いと思うのだけれど。他の属性とか乗らないかな?

 お試しで適当な布を使い実験をしてみると、裏表で二属性って感じならできそうなのがわかったけれど、混在させるのは難しそうだった。まあ、二属性までは行けるのが分かればいいだろう。

 風で移動力をあげるのは決まりでいいと思うのだが、問題はもう一属性を何にして、どんな魔法効果を付けるのが良いかってことだ。ここはやっぱり攻撃力の補助か防御力かって感じなんだろうな~ これはニイナの好みになりそうなので、今回はここで一度中断して、明日にでも聞いてみるかな・・・・・・


 幸  「休憩しませんか~」

 ロプ 「お、丁度いいから休憩するか。後でジャドに伝言頼んでもいいか?」

 幸  「いいよ、何を伝えて来たらいい?」

 ロプ 「明日でも明後日でもいいんだが、ニイナに家に来てもらうか、マントにどんな魔法を付けて欲しいかが知りたいんだ。頼めるか?」

 幸  「うん、いいよ」


 一服した後、日本刀でも作り始めようと考えたのだが時間的に中途半端になりそうなので、代わりに液体金属を一杯作って保管すると今日の作業を終わらせる事にした。

 翌朝、マントは保留なので日本刀を作っているとニイナがやって来た。


 ニナ 「きったよー」

 ジャド「邪魔するぞ~」

 ロプ 「いらっしゃい」

 幸  「オハヨウ~」

 ニナ 「マントできたって本当?」

 ロプ 「マント本体はできたんだが、これに付ける魔法をどうしたいか聞こうと思ってな。とりあえず風の属性は付けてみた。ちょっと着てみるか?」

 ニナ 「着る!」


 いつ来てもいいように手元にあったマントを渡すと、早速羽織っていた。そして武器と同じく風の属性との相性なのか、動きが素早くなった感じに見える。それとも普通に魔法の効果かな?


 ロプ 「今、一つは風の属性と移動補助の魔法効果が付いているんだがどんな感じだ?」

 ニナ 「何か凄く体が軽くなったみたいな感じがするよ~」

 ロプ 「問題は後一つ属性と魔法が乗せれそうなんだが、何を追加するかってことなんだが、やっぱり攻撃の補助か防御力強化かな? 属性が同じなら、ある程度は重ねがけできると思うが・・・・・・あー、あまり魔法を込めると消耗するか・・・・・・ちょっと待っててくれ」


 ちょっとしたアクセサリーみたいな物になるけれど、魔力切れを起さないようなワンポイント装飾を施して魔力切れをなくすようにしておく。

 日本のような魔力が無いところへ行くと、魔力は尽きるけれどね・・・・・・

 ふむ、マントでも装飾を施せば他の魔法も込めることができるのか・・・・・・


 ロプ 「なあ、マントに欲しい魔法効果って、どんなものがあるんだ?」

 ジャド「そうだな。まずは濡れない事とか火を防ぐ事とか、矢を防ぐのとやっぱある程度の防御力って感じかな?」

 ニナ 「結構あるんだね」

 ジャド「まあ普通なら魔法のマントでどれか一つって感じだろうな」

 ロプ 「ふむ。風で覆えば濡れない矢を防ぐってのは問題ないかな? 後は水で火を防いで、土で防御力を上げる感じか。やってやれないことは無いかもしれないな。ニイナ一度貸してくれ」

 ニナ 「うん」


 さっきの装飾を襟元に持って来て、内側には土属性の魔石化を施し、襟元の魔石を魔力吸収の魔石ともう一つ水属性魔石を追加して装飾する事で、先程ジャドが必要と言っていたものを取り入れたマントに仕上げてみる。

 魔法を構築してリンクさせれば盛りだくさんの魔法のマントの完成だ。


 ロプ 「できた、これでどうかな?」


 さっそくマントを装備して、具合を確かめるようにその場で体を動かしたりしている。


 ニナ 「着た感じはさっきとそこまで変わりないかも」

 ジャド「じゃあちょっと試してみるか」


 そう言って練習用の弓矢を持って来たジャドがニイナに狙いを定める。練習用なので、矢の先は丸い布の玉みたいな物になっていて、危なくないようになっている。まあそれでもニイナは弓に狙われるのは嫌だと言いたげな表情をして、それでも大人しくしていたけれどね。

 一応僕を信じて当たらないと考えているみたいだけれど、それでも狙いを顔以外に向けてジャドは矢を放った。

 お腹の辺りに飛んで行った矢は、ニイナに当たりそうになって思わず回避しないとっていった感じになった時、急に勢いを失ってそのまま下にぽとりと落ちて終わる。


 ニナ 「お、ちゃんと効果出てる!」

 ジャド「後は水と火か、ロップソン頼む」

 ロプ 「あいよ。流水よ荒ぶれ、アクアブリッド。焼き尽くせ、ファイアアロー」


 攻撃魔法はやり過ぎなのかなって思いはしたんだけれど、どれくらい効果があるのか一応見ておきたくて、できるだけマントの端の方へと誘導してみた。結果は水がはじけて、火はマントの表面まで触れたものの燃える事無く消えていった。

 あまり過信はしない方がよさそうだな。


 ロプ 「ちょっとくらいなら大丈夫そうだけれど、あまり強い魔法は駄目そうだな」

 ジャド「だな。まあそれでも結構耐えれそうでビックリだな」

 ニナ 「ねえ、この実験私じゃなくても案山子でいいんじゃない? さすがに怖いよ~」

 ジャド「ああ、ごめんごめん」

 ロプ 「確かに、悪かったな」

 ニナ 「まあいいけどさ~」

 幸  「オチャニシマセンカ?」


 みんなで休憩して、マントは全員分作ろうという話でその場は解散する事になった。まあ全員っていっても幸のマントは必要なさそうだよな・・・・・・なんとなくあっちのマントの方が性能が良い気がする。

 まあできることが増えていろいろと魔道具が作れそうな気がして来たな~。この機会に、いろいろと試して行きたいと思ったよ。


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