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角が有る者達  作者: C・トベルト
仲間と一緒に!
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第6話 奇妙な客人、奇妙な手紙

ゴブリンズがトオルの日記を見たその翌日の朝。


警察署内、G対策課 。

 オフィシャルデスクが四つ並び、棚の端に小さなTVが乗っている。

 ハサギとノリは荷物整理に勤しんでいたが、1枚の手紙が扉の足元に挟んであるのに気付く。

 それを拾ったノリが名前を確認し、ハサギに手紙を渡した。


ノリ「ハサギさん、手紙ッスよ」

ハサギ「サンキュ」


 ハサギの元に一通の手紙が届く。

 そして何気ない動作で開いて中身を確かめる。 だが手紙を読んでいる内にどんどん顔色が青くなっていく。


ハサギ「……ノリ!テレビを付けろ!」

ノリ「了解ッス!」


 ハサギは慌てて自分の部下にテレビを点けるよう命令する。

 ノリはテレビの電源を入れた。


ピッ

『本日の発明品はこの携帯ラーメン製造機!

これさえあればラーメンがいつでも作れてどこでも食べられます!』

ハサギ「そんなばかな!」


 ハサギは顔を青くしてブルブルと震える。

 その顔面にペンシの拳がめり込んだ。


バキィ!


ハサギ「ニッシン!!」

ペンシ「朝から何をサボっとるかこの馬鹿者!早くテレビを消せ!」

ハサギ「ち、違うんだペンシ、 これを見ろ……」

ペンシ「ああん!?」


 ハサギは震える手で何とか手紙をペンシに手渡す。 

 内容は以下の通りである。



ゴブリンズから警察へ


今日の夜10時、メロディ・ゴート邸でオーケストラ氏の物品を幾つかお借りします。


ちゃんと返すつもりなのでご安心を。

 それでは。



 手紙を読み終えたペンシがハサギを睨みつける。


ペンシ「これは、ゴブリンズからの予告状か?」

ハサギ「そうだ。

あいつらはこの手紙を警察、獲物、TV局の3つに送る。あいつらはあくまで義賊。

悪事を暴く為に『仕事』をしているからな」

ペンシ「じゃ、じゃあこの近くにゴブリンズが!」


 ペンシは部屋を飛び出そうとするが、それを遮るようにハサギが喋る。


ハサギ「無駄だ。奴ら魔法を使っているかのように逃げ足が早いんだ。 警察署にいたって笑いながら逃げられる。

 たがおかしいな」


ペンシ「え?」

ノリ「今テレビにゴブリンズのニュースは無いッス。

もしあいつらが仕事をするなら必ずTV局が騒ぎ出す筈」


 ノリがリモコンを操作し、幾つものチャンネルを見るが、何処にもゴブリンズのニュースを取り上げている局は無かった。


ハサギ「内容にしても変だ。

盗むじゃなく借りるだし。

これじゃ何が目当てか良く分からない」

ペンシ「じゃあ、これはいたずら?」

ハサギ「そう考える方が」

「そうでもないらしいぞ」


 三人の会話を一人の声が遮る。

 見ると、入口にケシゴが立っていた。


ペンシ「ケシゴ、どういう」

ケシゴ「客人だ」


 ケシゴの後ろからとても美しい女性が部屋に入る。

 腰まで届く、さらさらな白い髪。

 透き通るような白い肌。

 顔立ちは良く、 白い洋服は彼女の美しさ主張している。

 左手には赤い手提げ鞄を持っているが

それすらもモデルのようにさまになっている。

 だが、何故か2069年という未来時代にメイドの服を着ていた。


「初めまして、私は白山羊と言います」


ノリ「初めまして、ノリと言いますッス」

ハサギ「ハサギだ」

ペンシ「私はペンシ・ミトーリ」

ケシゴ「白岩ケシゴだ。

それで白山羊さん、今日は何の用で?」

白山羊「ええ、実はこんなものが届きまして」


 そう言って白山羊は鞄の中から何かを出した。 それは手紙だ。


ケシゴ「彼女の家にこの手紙が届いたんだ」


 白山羊はケシゴに手紙を渡し、内容を見た。内容は以下の通りである。



ゴブリンズからメロディ・ゴート邸へ


今晩10時に貴方の祖父、オーケストラ博士の資料を幾つか借りに、そちらへ参ります。

私達が家に入る際、何かあっては大変なので警察のハサギという男に連絡をして欲しい。




ハサギ「あ・い・つ・ら〜!!」


 ハサギはワナワナと震える。

 が、何故かその顔は笑みを浮かべた。


ペンシ「ハサギ?」

ハサギ「これは間違いなくゴブリンズの予告状だ!

早速警備を手配しないと」

白山羊「待って下さい」


 動き出そうとするハサギを白山羊が止める。


白山羊「予告状では彼等は博士の資料が欲しいのでしょう?」

ハサギ「そうだが?」

白山羊「私達は家の前に資料を置くので、どうか貴方達は彼等の行動を邪魔しないで下さい」

ペンシ「何!?」


 ペンシが思わず聞き返す。

 ハサギは白山羊をジロリと睨みつけると


ハサギ「悪いが理由を聞きたい。

 俺達は警察だ。泥棒を目の前にして捕まえない事なんて、出来ない」


 部屋にいる全員の目線が白山羊に集中する。


白山羊「実は、私は人間ではないのです。」

ペンシ「へ?」

白山羊「私の本名はTー468ーG。

アンドロイドです」

ノリ「アンドロイド!?」


 ノリが思わず復唱する。

 2069年、科学の最先端の時代である現在ですら、ロボット技術はまだ玩具や作業用が主な用途として使われており、

 人間に近いアンドロイドはようやく実験段階までこぎつけられた状態だ。


白山羊「信じませんか?

それなら体にナイフを刺して」

ハサギ「止めろ、信じるから!

それより理由は?」

白山羊「ええ、理由は…」


 そして白山羊は理由を語り始める。

 その静な語りを、あるいは全員の様子を、部屋の隅からケシゴがじっと眺めていた。

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