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第22話 帳が降りて
果心「かわいい悲鳴……」
果心は水晶の光に顔を照らされながら、楽しそうに笑った。
果心「やはり若い女性の悲鳴は格別に良いわ。テープで録音して毎日聞きたい位。
でも、そんな事したら悲鳴の価値が下がってしまうからやめましょう」
果心は水晶の明かりを消す。
途端に悲鳴は消え、辺りは暗闇に包まれた。
果心「これで準備は整った。
後は、パーが何とかするわ。
そうすればあなたも外に出られるようになるわよ」
林檎は闇に向けて話しかける。
すると、闇が少しだけ揺らめいた。
それに対し果心は軽く笑みを浮かべる。
果心「今から楽しみ?
私もよ……」
そう言うと、リンゴは歌を歌い始めた。
まるで子守唄のように安らかな声で、彼女は歌い始めた。
♪踊れ踊れ、蜘蛛よ楽しく踊れ
自ら作った舞台の上で
八本足をカチカチならして
踊れ踊れ、蜘蛛よ楽しく踊れ
一緒に踊る馬鹿な相手が
来るまで踊れ、カチカチと♪
リンゴは闇の中で、楽しそうに歌った。