表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
角が有る者達  作者: C・トベルト
仲間と一緒に!
11/303

第11話 見つけてしまった秘密

ドリーム・メロディゴート邸

?????

 

 ガチャ、と音を立ててドアのノブが周り、一人の人間が部屋に入る。

何故か全身を真っ白な粉まみれにして。


スス「う……ウフフ……ウフフフフフフフフフフ。

 私達、生きて帰れた。

 帰ったぞーーーーー!」


 何を体験したの分からないが、小麦色の肌を真っ白にしたススが歓喜の声を上げる。

よほど怖い思いをしたのだろう。

 その後ろから真っ黒になった人物が部屋に入る。


アイ「ア?アア……ア?

アアア、アーーーーー!

アーーーーーーーーーー!」


 全身を真っ黒にしたアイが叫んだ。

 何を経験したのが分からないが、よほど恐ろしい目に遭ったのだろう。

 二人はただただ生きてる事に感謝し続け、しばらくの間、この不可思議な光景が続いた。




スス「さて、と」

アイ「ここは何処だ?」


 さっきとは打って変わって妙にスッキリした二人が部屋の中をキョロキョロと見渡す。

 どうやら誰かの部屋らしいが、暗闇で良く見えない。

 カチ、コチ、と時計が時間を刻む音だけがハッキリと聞こえる。


アイ「この部屋に窓は…」

スス「無いわね。他の扉も無し」


 壁を手に当てて歩くススが話す。

 だが、窓らしい窓はどこにも無い。


スス「こんな事ならあそこでライトを落とすんじゃなかった」

アイ「ススは悪くない。悪いのはこの家だ」


 アイが部屋の中心を睨みつけながら喋る。

 だが、その眼に先程とは違う輝きが見えていた。


スス「アイ?」

アイ「俺はまた、ヤバいのを見つけたらしいな。」

スス「また!?

どうせまた変なボタンとか虎とか鰐皮バッグとかラーメンとかそんなもんでしょ?

そんなのもう見飽きたわ!」

アイ「いや、違う。

これはそんな理解不能なモノじゃない。

 ……人間だ」

スス「!?」


ススがびくっと後ずさる。

 アイは左の義腕を操作すると、掌がライトのように発光した。

 そして、ライトを『それ』に向けた。

影が取り除かれ、光にさらされたそれを見て、ススは目を丸くする。


スス「……人間?これが?」


 ススは思わず目を疑う。

 何故なら目の前にいるのは、安楽椅子に座った金髪の少年。

 ライトに照らされ王冠のように輝く金髪。 まるで作り物のように綺麗な肌。

 海のように青い目はカッと見開いている。

 とても人間のようには見えない。


スス「人形じゃないの?」

アイ「違う。脈を測ってみな」


 アイに言われた通り、ススは少年の手首に指を当てる。

 僅かな熱と、脈の振動を感じた。


スス「……脈がある!生きているの、これ…じゃない、この人、誰なの・・」

アイ「さあな。

 だがハサギが中に入れたくなかった理由が分かったぜ」


 アイは通信のスイッチを入れた。

 通信相手はハサギだ。


ハサギ「誰?」

アイ『俺だよ俺、わかんねえかな?』


 ワゴンの中で沈んでいたハサギが飛び上がる。


ハサギ「アイ!?生きてたんだな!」

アイ『おいおいそこは「オレオレ詐欺かよ」とツッコミを入れるシーンだろ?』

ハサギ「このボケたセリフは間違いなくアイだ!ははは」


 ハサギは笑いながらスピーカーのボタンを押す。 これで声が全体に聞こえるはずだ。



シティ「ケシゴ… !

あんたは潰す!」

ケシゴ「やってみろ小娘。

だが貴様の仲間は死んで……」

アイ『ハロハロケシゴく〜ん』

ケシゴ「何!?」


 ケシゴは突然入った通信に思わず後ろを向いた。 だがアイ達の姿は見えない。


アイ『さっきはよくも虎を放り込んでくれたな〜!後で借りを帰すから首を長くして待ってろ!』

ケシゴ「チッ、死に損ないが・・」


ガシャ


 ケシゴの目の前に何か黒い物体が落ちた。

 見るとそれは通信機だった。


シティ「今は私との戦いに集中しましょう。

こいつらの会話なんて邪魔でしかないわ」


 見上げると、シティがニッコリと笑って見下ろしていた。

ケシゴもフッと笑い、 拳に力を込める。


ケシゴ「そうだな。

今は、邪魔な騒音だ」


 そう言うとケシゴもまた、通信機を外して地面に落とした。


シティ「あんたを潰してあげる」

ケシゴ「やって見ろ小娘……!」


 シティは鬼のように愉快に笑い、

 ケシゴは獣のように獰猛に笑い、

 化け物同士の戦いを再開した。




ダンク(あの馬鹿……)

「しかし、ま、無事でなにより…あれ?」


 ダンクはハッと気が付く。

 いつの間に自分の体が動かせる事に。

 どうやらケシゴの呪縛が解けたようだ。


ダンク「やった、今なら行ける!

待ってろアイ、スス。

助けてやるから」


ガチャン!


ダンク「な?」


 変な金属音にダンクが下を向くと、いつのまにかノリがダンクの両手に手錠をかけていた。


ダンク「あれ?」

ノリ「悪いけど、捕まえられる奴は捕まえられる時に捕まえるのが僕の主義ッス 。 

 さ、こっち行くッスよ」


 そういってノリはダンクを引きずっていく。 驚く程簡単に引きずられ、ダンクはせめてもの抵抗に叫んだ。


ダンク「え?ちょっと待って

俺の出番、これからなのに!」

ノリ「僕の出番もこれくらいッス」

ダンク「クウゥッ!

こんなのありか〜!!」


しかしダンクの叫びは、誰の耳にも届く事はなかった。




アイ『少年を見つけたぜ』

ハサギ「!」

アイ『何故か人形みたいな状態だが、こいつだな? お前が家に入れたくなかった理由は』

ハサギ「……そうだ。

彼はメルヘン・メロディ・ゴート。

人形になった少年さ・・」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ