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異世界料理道  作者: EDA
第三十一章 波乱の幕開け
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緑の月の九日①~再び城下町に~

2017.12/1 更新分 1/1

 翌日の、緑の月の9日。

 俺とアイ=ファは上りの六の刻を少し過ぎたぐらいの刻限に、ルウの集落を訪れていた。


 集落の広場には、とてもたくさんの人影がある。俺たちと同じように城下町を目指す人々と、そしてそれを見送ろうとするルウ家の人々である。

 集落の入り口で荷車をとめて、アイ=ファと一緒に広場へと踏み込んでいくと、レイナ=ルウとリミ=ルウが急ぎ足で近づいてきた。


「お待ちしていました、アイ=ファにアスタ。もうしばらくしたら出発するので、ちょっと待っていてほしいと、ドンダ父さんが言っていました」


「うん、わかった。ありがとう、レイナ=ルウ」


 レイナ=ルウは、とても心配そうに俺たちの姿を見比べていた。

 その可愛い妹も、いつになく思いつめた表情で、アイ=ファの身体をぎゅっと抱きすくめている。


「絶対に無事に帰ってきてね、アイ=ファ、アスタ! 貴族の人たちに意地悪されても、怒ったりしちゃダメだよ?」


「わかっている。心配せずに、待っているといい」


 凛然とした表情は崩さぬまま、目もとだけをやわらげて、アイ=ファはリミ=ルウの赤茶けた髪を撫でた。

 レイナ=ルウとリミ=ルウも、昨晩に王都の貴族たちと対面している。それで、他の人々よりも強い不安感をかきたてられることになったのだろう。


 ジドゥラの繋がれた荷車のかたわらでは、ルウ家の客人たち――バルシャ、ジーダ、ミケル、マイムの4名が、身を寄せ合って言葉を交わしている。さらに、分家の女衆や早起きの狩人たちもその周囲に集まって、何かしきりに声をかけている様子であった。


 そして、それとは少し離れたところで、シュミラルとヴィナ=ルウが静かに語らっている姿が見えた。

 俺はアイ=ファに目配せをしてから、そちらに近づいていく。

 王都の貴族たちに審問される前に、俺はいくつかシュミラルに確認させてもらいたいことがあったのだ。


「お邪魔してしまってすみません、シュミラルにヴィナ=ルウ。ちょっとだけ、俺も話をいいですか?」


 ふたりが、同時に振り返ってくる。

 シュミラルはもちろん、ヴィナ=ルウも意外に冷静な表情をしていた。

 ただし、その色の淡い瞳には、隠しようもない不安の光がうかがえる。


「実は、シュミラルに聞いておきたいことがあったんです。それはその……『星無き民』というものについてのことなのですが」


「『星無き民』、ですか」


 シュミラルは、静かにうなずいた。


「王都の人々、アスタの素性、疑惑を抱いている、聞きました。それで、『星無き民』について、知りたい、思ったのですね」


「ええ、その通りです。シュミラルも、『星無き民』についてはお詳しいのですか?」


「詳しくは、わかりません。私、星読みの術、学んでいませんので。……ただ、占星師の同胞、話、聞いただけです」


 そのシュミラルの同胞たる《銀の壺》の団員と、ジェノスの客分アリシュナと、そして《ギャムレイの一座》の占星師ライラノス――シムの星読みに関わる人間は、すべて俺のことを『星無き民』とみなしていたのである。

 この世界において、俺の素性を正しく知ろうとするならば、正解はそこにしかないように思われた。


「『星無き民』というのは、いったい何なのでしょう。この世界には、俺以外にも俺みたいな素性を持つ人間が存在するのでしょうか?」


「わかりません。『星無き民』、あくまで、伝承ですので。私、それが真実、存在する、思っていませんでした」


「そうですか。……でも、シュミラルも多少は『星無き民』について、知っているのでしょう?」


「はい。『星無き民』、世界の運命、大きく変える存在、聞いています」


 シュミラルは、まだ星の出ていない空のほうに目をやりながら、静かに言葉をつむいでいった。


「『星無き民』、こことは異なる世界、生まれたので、この世界の星、持たない、言われています。星、すなわち人間の運命、ですので、どのように優れた占星師でも、『星無き民』の運命、読み解くこと、できない、言われています」


「はい。俺もそんな風に聞いています」


「『星無き民』、この世界、生まれると、星図、大きく変わります。星の無い虚無、天空を駆け巡るため、あらゆる星々、影響を受けるのです。ゆえに、『星無き民』、存在する時代、世界、大きく動く、言われています」


「それは……『白き賢人ミーシャ』のようにですか?」


 俺の言葉に、シュミラルは軽く目を見開いた。


「アスタ、『白き賢人ミーシャ』、知っているのですか? それ、とてもとても古い、シムの伝承です」


「はい。復活祭でジェノスを訪れた旅芸人の一座が、その歌を歌ってくれたのです」


「なるほど……はい、『白き賢人ミーシャ』、『星無き民』であった、言われています。というか、『白き賢人ミーシャ』、現れたために、『星無き民』の伝承、始まったのだと思います」


 シュミラルはうなずき、もう一度、空のほうに目をやった。


「『白き賢人ミーシャ』、ラオの一族、救ったために、シムの王国、生まれました。『白き賢人ミーシャ』、いなければ、シム、いまだに七つの部族、争っていたかもしれません。『白き賢人ミーシャ』、文字通り、世界の運命、動かしたのです」


「それは、ものすごい話ですよね。俺にはとうてい、そんな力が備わっているとは思えませんが」


「はい。ですが、アスタの存在、さまざまな運命、大きく変えました。私にとって、十分、偉大な力、思います。アスタ、いなければ、ヴィナ=ルウ、屋台で働くこと、なかったので、私、森辺の家人、願うこと、なかったでしょう」


「もう……わたしのことは、どうでもいいわよぉ……」


 ヴィナ=ルウはわずかに頬を赤く染めて、シュミラルを叩くふりをした。

 シュミラルは「すみません」と、白銀の髪に包まれた頭を下げる。


「ともあれ、アスタの存在、かけがえのないもの、思います。『星無き民』であろうと、なかろうと、その事実、変わりません」


「ありがとうございます、シュミラル。……それで、その話を王都の人たちに告げるのは、有効だと思いますか?」


 シュミラルはしばし考えてから、「いえ」と首を横に振った。


「有効、思いません。むしろ、悪い効果、生む可能性、高いと思います」


「そうですか。それは、何故でしょう?」


「『星無き民』、あくまで、シムの伝承だからです。『星無き民』、セルヴァ、ジャガル、マヒュドラ、どこにでも生まれる、聞きますが、それを『星無き民』と呼ぶ、シムだけなのです。西、南、北の人々、星を読むすべ、持たないので、『星無き民』、理解すること、難しい、思います」


「ああ、なるほど……旅芸人の占星師は西の民だったと思いますが、星読みというのはあくまでシムのみに伝わる技術なのですね」


「はい。そして、セルヴァ、現在の王、いにしえの術、激しく忌み嫌う、聞いています。現在の王、玉座、得てから、王宮仕えの占星師、すべて追放した、聞いています。ならば、臣下の人々、同じように振る舞う、思います」


「そうでしたか。ありがとうございます。そういう話を、事前に確認しておきたかったのです」


 俺は心から、シュミラルに礼を述べてみせた。


「それじゃあ、俺も『星無き民』の話を持ち出すのは控えようと思います。……あと、もうひとつだけ、シュミラルにお願いがあるのですが」


「はい。ご遠慮なく、どうぞ」


「……何かシムの言葉で、俺に語りかけてくれませんか?」


 シュミラルはけげんそうに小首を傾げながら、「*****」と、俺にはわからない言語を発した。

 俺は胸もとに手を置いて、ほっと息をつく。


「ああ、ありがとうございます。やっぱり俺は、シムの言葉を聞き取ることはできないようです」


「……なるほど。アスタ、理解できる、西の言葉、のみなのですね」


 そう言って、シュミラルは俺をいたわるように目を細めた。


「アスタ、出自、不思議です。詳しい話、初めて聞いて、とても驚きました」


 俺が大陸の外からやってきたという話は、去年の段階ですでに打ち明けている。そこからさらにシュミラルは、こみいった部分まで知ることになったようだった。

 言うまでもなく、それは俺が元の世界で死んだはずである、という話である。

 そこまでの話は、森辺においても滅多に取り沙汰されることはなかったのだった。


「基本的に、森辺の人たちは俺の生まれにほとんど関心がないのですよね。だから、ドンダ=ルウたちに打ち明けたのも、けっこう後になってからのことですし……その後も、他の人たちに詳細を尋ねられることは一度もありませんでした」


「はい。私も、故郷のこと、尋ねられる、ほとんどありません。森辺の民、大事なのは、過去でなく、現在なのでしょう」


 しかし、俺の出自については、トゥラン伯爵家にまつわる騒動を終えた時点で城下町の人々にも打ち明けていたので、そこは今日の審問でも存分に取り沙汰されるはずであった。

 当時の俺は、森辺の集落で暮らしていくために、正式に西の民に認定してもらえないかと、マルスタインに嘆願したのだ。しかし、けっきょくその嘆願は受け入れられず、俺は今でも公式には「森辺の集落に逗留する異国人」という扱いなのである。


「まあ、俺としては以前に語った話をそのまま繰り返すしかないのですが……王都の人々がどういう感想を抱いているのか、いささか心配です」


「はい。用心、必要、思います」


「あ、そういえば、シュミラルは王都の貴族の人々と交流などはあったのですか?」


「いえ。王都アルグラッド、城下町、広く開かれていますが、その分、王宮、固く閉ざされています。東の民、限らず、商人、王都の貴族、交流を結ぶ、難しいです」


 ならば、シュミラルにとっても王都の貴族と顔をあわせるのは、これが初めてであるということだ。

 故郷と神を捨ててまで森辺の家人になることを選んだシュミラルに対して、王都の人々はどのような目を向けているのか、俺としてもそれは大きな懸念の種であった。


「俺もシュミラルも、さぞかし厳しい目を向けられるのでしょうね。何とかこの苦難を乗り越えてみせましょう」


「はい。自分の夢、果たすために、すべての力、尽くすつもりです」


 シュミラルの夢とは、すなわちヴィナ=ルウと婚儀をあげることだ。

 そのように思ってヴィナ=ルウのほうをちらりと見ると、今度は俺が叩かれそうになってしまった。

 そこで、賑やかな気配が広場の入り口から伝わってくる。


「待たせたな! ついつい寝過ごしてしまったぞ!」


 豪快な笑い声が、俺たちのほうに近づいてくる。

 それは、ミム・チャーに乗ったダン=ルティムとガズラン=ルティムであった。

 荷車を引かせるのではなく、二人乗りで登場したのだ。どちらも大柄であるので、トトスの背中はとても窮屈そうだった。


「お疲れ様です。今日はおふたりが付き添ってくださるのですか?」


 俺が問いかけると、先に地面に降り立ったダン=ルティムが「いや!」と愉快そうに笑った。


「同行するのは、俺だけだぞ! ガズランは、アスタたちを見送りに来たのだ!」


 同じく地面に降り立ったガズラン=ルティムが、真っ直ぐ俺のほうに近づいてくる。

 その面にも穏やかな微笑みがたたえられていたが、瞳には真剣な光が宿されていた。


「今日は審問される7名以外、部屋に入ることが許されないようなので、私の出番はないとドンダ=ルウに言い渡されました。アスタ、シュミラル、くれぐれもお気をつけて」


「はい。無事に戻れるように、最善を尽くします」


 すると、人垣の向こうから、大きな人影がぬっと現れた。


「ようやく来たか。これで全員、そろったな」


 それは、族長ドンダ=ルウであった。

 かたわらには、ジザ=ルウとルド=ルウも付き従っている。


「それでは、荷車に乗るがいい。ダン=ルティム、貴様はファの家の荷車だな」


「おお! それでは、俺が手綱を預かろう!」


 ダン=ルティムは嬉々とした様子で、ギルルの荷車のほうに立ち去っていった。

 そんな中、俺のほうに近づいてきたルド=ルウが、胸もとを小突いてくる。


「アスタ、今日は一緒に行けねーけど、気をつけてな」


「うん、ありがとう。それじゃあ、護衛役は――」


 俺が視線を傾けると、ジザ=ルウはかたわらの父親を振り返った。

 ドンダ=ルウは、その厳つい顔に野獣のような笑みをたたえる。


「同行するのは、俺とダン=ルティムだ。呼びつけられた7名の内、見習いを含めて4名までもが狩人なのだから、護衛役などはこれで十分だろうさ」


「ド、ドンダ=ルウが自ら同行してくださるのですか」


 それはちょっと、予想外の人選であった。

 ドンダ=ルウは、青い瞳をぎらぎらと輝かせながら、「ふん」と鼻を鳴らす。


「ルウの集落に客人の逗留を許したのは、この俺だ。それに文句をつけようというならば、俺が出向くしかあるまい。……ジーダとバルシャは、どこにいる?」


 呼ばれたふたりが、ドンダ=ルウの前に進み出た。

 それを見下ろしながら、ドンダ=ルウが言う。


「審問の間、俺とダン=ルティムは扉の外に控えている。刀が必要なときは、草笛を吹け」


「了解したよ。そんな事態に陥らないことを、心から願っているけどね」


 バルシャは仏頂面で頭をかき、ジーダは無言でうなずいている。

 それを見届けてから、ドンダ=ルウは息子たちのほうを振り返った。


「ギバ狩りの仕事は、任せたぞ。昨日の分まで、仕事に励め」


「うむ、了解した」


「親父たちも、短気を起こさねーように気をつけてな」


 ドンダ=ルウは、あくまでギバ狩りの仕事を重んじるべきだと考えたのだろう。

 その上で、護衛役の人数は最低限にまで絞りながら、ルウの血族で最強の2名が同行するべきだと考えたのだ。

 その決断に、俺はいっそう身が引き締まる思いであった。


「それでは、行ってきます。ドンダ=ルウは、またのちほど」


 俺はその場にいた人々に別れの挨拶を告げてから、アイ=ファのもとへと舞い戻った。

 ドンダ=ルウとバルシャたちはジドゥラの荷車に乗り込んで、シュミラルだけがこちらについてくる。

 そうしてダン=ルティムの待つ荷車のほうに足を向けると、その途中で3名の男衆が待ち受けていた。

 ダルム=ルウと、シン=ルウと、ミダ=ルウである。


「アスタにアイ=ファ……無事に戻ってきてほしいんだよ……?」


 ミダ=ルウは、心配そうに頬を震わせている。

 俺はせいいっぱいの気持ちを込めて、「うん」とうなずいてみせた。

 そうして俺がシン=ルウにも挨拶をしている間に、ダルム=ルウがアイ=ファに「おい」と呼びかける。


「何があっても、心を乱すなよ。お前が我を失えば、よけいに家人を危険にさらすことになる」


「ああ、わきまえている。アスタを森辺に招いたのは私なのだから、その責任を果たしてみせよう」


 戦いに挑む狩人の表情で、アイ=ファは力強くうなずいた。

 それでようやく荷車に乗り込んで、いざ出発である。


 宣言通り、ギルルの手綱はダン=ルティムが握っていた。

 町へと通ずる道を下りながら、俺はシュミラルから聞いた『星無き民』についての話を、かいつまんでアイ=ファに説明してみせる。


「そうか。まあ、森辺の民も『星無き民』などというものは知らぬのだから、それでよかろう。我々は、我々の知る真実だけを語ればいい」


「うん。問題は、俺の素性があまりに現実離れしてるってことだけだな」


「……それでも真実を見る力があれば、アスタの言葉が虚言かどうかはわかるはずだ」


 およそ一年前、アイ=ファは俺の語る素っ頓狂な話を、そのまま丸ごと受け入れてくれたのだ。

 少なくとも、俺が嘘をついているわけではない、とアイ=ファは信じてくれた。出会ったばかりで、まだ何の信頼関係も築いていなかった俺の言葉を、何も疑わずに信じてくれたのだった。


(王都の人々が、そんな風に俺の言葉を信じてくれるとは思えないけど……でも俺は、森辺の民の一員として、真実を語るしかないんだ)


 荷車の中で揺られながら、俺はそんな思いを新たにした。

 やがて、下り坂の林道は終わって、ダン=ルティムが地面に下りる。宿場町を抜ける間は、そうして徒歩で手綱を引かなくてはならないのだ。


 そろそろ時刻は、上りの六の刻の半を迎える頃合いだろう。ダン=ルティムの肩ごしに見える宿場町は、今日も賑わっていた。

 中天までにはまだ間があるので、王都の兵士たちの姿はない。今日も彼らは、宿場町で情報収集の仕事を受け持つはずだった。


 そうしてじきに、荷車は露店区域に差しかかる。

 俺はアイ=ファに許可をもらって、御者台のほうに身を乗り出した。

 まずは、いつもの場所に店を開いているドーラの親父さんとターラに手を振ってみせる。

 親父さんたちも、すでに事情は聞いているのだろう。親父さんは難しげな面持ちでうなずいており、ターラはいっぱいにのばした腕をぶんぶんと振ってくれていた。


 次に現れるのは、ギバ料理の屋台である。

 今日の営業は、トゥール=ディンやユン=スドラたちに一任していた。

 俺が《アムスホルンの息吹》を発症したときも、彼女たちはこうして仕事を受け持ってくれていたので、営業上は何も心配はない。


 マイムの屋台だけは休業なので、屋台の数は全部で5つだ。

 トゥール=ディン、ヤミル=レイ、フェイ=ベイム、リリ=ラヴィッツ、マトゥアの女衆、ラッツの女衆――ララ=ルウ、オウラ、ツヴァイ、レイの女衆――みんながそれぞれ、手を振ったり、頭を下げたりしていた。

 そして、それを守っているライエルファム=スドラたちの姿も見える。

 最後に青空食堂に差し掛かると、ユン=スドラ、ムファの女衆、ミンの女衆が、やはり挨拶に応じてくれた。


 バランのおやっさんたちは、すでに屋台を訪れた後だろうか。

 そうだとしたら、どうしてアスタがいないのだ、とトゥール=ディンたちがさんざん聞きほじられたことだろう。


(何としてでも、穏便に話をまとめるんだ。カミュアの言う通り、王都の貴族たちが悪人じゃないっていうんなら、誤解を解くこともできるはずだ)


 そんな風に考えながら、俺は座席のほうに戻った。

 宿場町の区域を抜けると、ダン=ルティムは御者台に戻って、元気に鞭をふるう。

 俺たちは、王都の貴族たちが待ち受ける城下町へと急いだ。

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