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異世界料理道  作者: EDA
第二十八章 始まりの月(上)
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月の初めの大仕事①~下準備~

2017.6/26 更新分 1/1 ・誤字を修正

 いよいよ黄の月がやってきた。

 何が「いよいよ」なのかというと、俺が森辺の集落にやってきて、アイ=ファと初めて出会ったのが、この黄の月なのである。


 ついにあれから、丸一年が経とうとしているのだ。

 それは本当に、波乱に満ちみちた一年であった。


 黄の月の終わりに俺はファの家に引き取られて、リミ=ルウとも出会い、ルウ家でジバ婆さんのためにハンバーグを作ることになった。


 緑の月には、ルティム家の祝宴でかまど番をまかされて、さらにその後には宿場町で商売を始めることになった。


 青の月には家長会議があり、テイ=スンとザッツ=スンのもたらす騒動を切り抜けたのち、シュミラルやバランのおやっさんたちと別れを告げることになった。ギルルを家人として迎えたのも、この頃だ。


 白の月には、長年に渡って森辺の民と悪縁を結んできたサイクレウスと決着をつけることができた。


 灰の月には、アイ=ファとふたりきりで、初めての休息の期間を迎えることになった。ジェノスの貴族の人々と改めて交流を結ぶことがかない、平和な生活を手に入れて、宿場町における商売がいよいよ軌道に乗ってきたりもした。


 黒の月には、マイムやヴァルカスやアリシュナと出会うことになった。マイムをミケルとともに森辺へと招いて、その手腕を堪能させてもらったり、燻製作りのノウハウを教わったりして、平和ながらも有意義な時期であったと思う。


 藍の月には、ダレイム領や隣町のダバッグに遠征してみたり、青空食堂を開店したり、サウティ家で森の主の討伐に協力したりと、さまざまな変動を迎えることになった。


 紫の月は、太陽神の復活祭だ。《ギャムレイの一座》との出会いを筆頭に、これまた波乱に満ちみちたひと月であった。


 年が明けて、銀の月。その月にはドーラの親父さんたちをルウ家に招いて、歓迎の祝宴を開くことになった。また、サトゥラス伯爵家に招かれて、和睦を果たすことにもなった。


 金の月には、近在の氏族とともに初めて合同の収穫祭を開催した。さらに休息の期間では、これまでご縁のなかった色々な氏族と親交を結ぶことができた。


 茶の月は、雨季である。俺は《アムスホルンの息吹》という難病を患い、生死の境をさまようことになった。


 赤の月には、アイ=ファの生誕の日があった。そして、雨季の間に続けられていた、森辺に街道を切り開くという作業も無事に完了することになった。


 そうして朱の月には、スフィラ=ザザとモルン=ルティムの恋にまつわる話が持ち上がり、月の終わりにはジバ婆さんの生誕の日を迎えて、今に至る――とまあ、そのような感じである。


 いったい、なんと波乱と変転にあふれかえった一年であったろうか。

 なおかつ、本年は三年に一度の閏月が存在する年であったので、すでにまるまる12ヶ月以上、370日ぐらいは経過していることになる。


 だけど何にせよ、この世界の一年が経過したと言えるのは、俺が森辺の集落に初めてやってきた日――黄の月の24日を迎えてからである。

 今はまだ黄の月になったばかりであるので、感慨にふけるのは早いだろう。


 それに、黄の月にもまた、さまざまなイベントを控えているのだ。

 ちょっと考えただけでも、リミ=ルウも同じ黄の月の生まれであるし、宿屋の寄り合いというやつにも参加させていただく予定であるし、さらに、俺とごく近しい人々が、2組も婚儀をあげることになっている。


 それらはすべて黄の月の24日よりも早い時期に予定されていたので、俺はまずそちらに注力しなければならなかったのだった。


                ◇


 そうして最初にやってきたのは、宿屋の寄り合いである。

 日取りとしては、黄の月の1日。ルウ家の収穫祭とジバ婆さんの生誕の日を終えて、2日後のことだった。


 寄り合い自体は、夕刻から夜にかけて行われる。よって俺たちは、屋台の商売を終えてから、今回の会場である《南の大樹亭》を目指すことになった。


 ちなみに寄り合いというのは、いわゆる商人たちの集会である。それぞれの商売ごとに商会というものが存在して、定期的に寄り合いを開き、交流を深めたり、貴族から申し渡される布告の内容や、商売上の問題などが起きていないかを確認したりしているのであった。


 このたび俺は、《キミュスの尻尾亭》の関係者として参加することが許されるようになっていた。

 露店区域の軽食の屋台というのは、たいてい宿屋の関係者が出店しているものであるので、俺が参加するなら宿屋の寄り合いであろう、という結論に至ったのだ。


 正直に言えば、俺の参加は遅すぎるぐらいのものであった。

 たとえば、宿場町における新たな食材の流通というやつも、この商会のネットワークを駆使して広められたものなのである。


 サイクレウスによる食材の買い占めが終わり、希少な食材が宿場町でも取り扱われることが許されるようになった。また、ポイタンがフワノの代用品たりうることが周知されるようにもなった。それは白の月から灰の月にかけて大々的に行使された事柄であるから、すでに9ヶ月以上も前の出来事であったのだ。


 そのふたつの事柄に、俺は大きく関わっていた。そもそもポイタンの新たな食べ方というやつを考案したのは、この俺自身に他ならないのだ。

 しかしまた、それを周知させるのはフワノを栽培するサイクレウスに経済的なプレッシャーを与えようというポルアースらの策略でもあったので、貴族の主導で行われることになった。森辺の民が矢面に立つのはまずいということで、むしろ発案者に関しては秘匿されていたぐらいなのである。


 まあとにかく、そういう話も寄り合いを始めとする商会のネットワークを使って流布されたのだった。

 カロンの乳や胴体の肉、城下町で取り引きされる希少な食材の販売に関しても、同様の措置が取られていたはずだ。


 その新しい食材の有効な使い方というものに関しても、俺は独自で依頼を受けていた。ヤンなどは、それこそ以前から寄り合いの場に派遣されて、手ずから指導をしていたようであるのだが、俺は黙々と商売を続け、それらの食材がどれほど有用であるかをひたすら実地でお披露目していたのだった。


 思うに、俺は――というか、宿場町で商売をしている森辺の民というのは、現時点でもまだ異分子に他ならなかったのだった。


 商売上のややこしいあれこれに関しても、俺たちは商会などと関わりなく、貴族たちとダイレクトに交渉をして、話を進めていた。俺たちは、これだけ宿場町で大きな顔をしながら、ギバ肉の取り引きをしているごく一部の宿屋の人々としか繋がりを持っていなかったのだ。


 べつだん、それで何か問題があるわけではない。俺たちは商会などに属していなくとも、きちんと取り決めを守って商売を続けることができている。管理体制が異なっているだけで、提示されているルールは同一であるのだから、それは当然だ。シムやジャガルや他の町から訪れた行商人なども、基本的にはそうして商売を続けているはずであった。


 しかしまた、俺はそろそろ次のステップに進むべき時期なのではないかと考えていた。

 森辺の集落というのは、法的にジェノスの領土とされているのだから、きちんと地元の人々と同じ土俵に立つべきだと思ったのだ。


 宿場町の人々と正しい縁を結ぶのに、それは必要な措置であっただろう。

 ミラノ=マスやナウディス、ネイル、サムスといった人々と同じように、他の宿屋のご主人たちとも友好的な関係を結びたい。俺は、常々そのように考えていた。

 なおかつ、それでより多くのギバ肉を扱ってもらえるようになれば、万々歳である。


 森辺の民の多くは、すでにこれまで以上に豊かな生を送れるようになっている。少なくとも、ファやルウを通じて肉の売買と宿場町の商売に関わっている氏族は、これまで以上の銅貨を手にすることができるようになったはずだ。


 だけど俺たちは、ここで満足するわけにはいかなかった。

 現状、その富を手にしているのは、森辺で半数足らずの氏族であるし、それに俺たちは、猟犬という素晴らしい存在とも出会ってしまっていた。しかし今のところ、猟犬を自力で購入できるのは、ファとルウの家ぐらいなのである。


 すべての氏族に十分な数の猟犬を行き渡らせるには、もっとたくさんの銅貨が必要となる。それを実現させるには、いまだファの家の行いには賛同していない氏族とも力をあわせて、これまで以上に商売を発展させる必要があるだろう。


 森辺においても宿場町においても正しい縁を結んで、誰にとっても実りの多い生活というものを手中にする。俺とアイ=ファが最初に抱いた理念というのは、そういうものであったはずだ。

 だから俺たちは、その目的を実現させるために、さらに突き進まなければならなかったのだった。


 ということで――

 いささかならず前置きが長くなってしまったが、宿屋の寄り合いである。


 俺たちは屋台の商売の後、《南の大樹亭》に向かうことになった。

 ファの家の代表は俺、ルウの家の代表はレイナ=ルウだ。


 さらに今回はナウディスのはからいで、寄り合いで集まる人々の晩餐を俺たちが受け持つことになっていたので、リミ=ルウとツヴァイ=ルティムの2名も同行してもらうことにした。

 本来であればトゥール=ディンやユン=スドラたちにも手伝ってもらいたいところであったが、彼女たちには森辺の集落に戻ってもらい、翌日の商売の下ごしらえを担ってもらわなければならなかったのだ。


「まったくネ! どうしてアタシがそんなめんどくさいことを手伝わなきゃならないのサ!」


《南の大樹亭》に向かう道中で、ツヴァイ=ルティムはそのようにぼやいていた。

 それを耳にしたレイナ=ルウは、なだめるような微笑を浮かべながらツヴァイ=ルティムを振り返る。


「お手数をかけてしまいますね、ツヴァイ=ルティム。でも、ルウの血族で一番商売というものの道理をわきまえているのはあなたでしょうから、なんとか力を貸してほしいのです」


「フン! 銅貨の勘定に関してなら、ファの家のアスタがいれば事足りそうなもんだけどネ!」


「でも、何もかもをアスタにまかせきりにすることはできません。今やわたしたちは、ファの家から独立した形で宿場町での商売に取り組んでいる立場なのですから」


 ツヴァイ=ルティムはあんまり納得した様子でもなかったが、口をへの字にしてそれ以上の文句を述べたてようとはしなかった。

 まあ、ツヴァイ=ルティムというのはこういう娘なのである。きっと本気で腹を立てているわけではないだろうし、仕事で手を抜くような真似も決してしないだろう。そうでなければ、あのガズラン=ルティムが彼女に氏を授けるとは思えなかった。


「氏をもらっても、お前の口やかましさは変わんねーんだな。ま、お前が静かになっちまったら気色が悪いけどよ」


 と、レイナ=ルウをはさんで反対側を歩いていた人物がそのように声をあげた。

 護衛役として同行する、ルド=ルウである。

 帰りは夜遅くになるので、アイ=ファからもドンダ=ルウからも護衛役は必須であると申し渡されたのだ。


 ちなみにもうひとりの護衛役は、シン=ルウである。

 町の人々と交流を結ぶ場とあって、また見目のやわらかい彼らが選ばれることになったのだろう。このふたりが顔をそろえて護衛役に励むというのは、ちょっとひさびさに感じられた。


「ちょうど休息の期間で幸いだったよな。そうじゃなきゃ、またリャダ=ルウとかバルシャあたりが選ばれてたんだろうしよー」


 と、人通りの多い往来を歩きながら、ルド=ルウがそのように言った。

 リミ=ルウと手をつないで歩きながら、なかなかご機嫌の様子である。ルド=ルウは森辺の民の中でも、とりわけ宿場町を好いているほうなのだった。


「たしかシン=ルウも、宿場町はひさびさだったろ?」


「ああ。最近は、城下町に出向くことのほうが多かった気がする。それにしたって、もう何ヶ月も前の話だが」


「婚儀の宴とずれててよかったよなー。前祝いが始まっちまったら、シン=ルウも夜は出歩けなくなっちまうもんな」


 ルウの一族は婚儀を挙げる際、7日間をかけて前祝いというものを行う習わしがある。毎晩、眷族の家長の家を訪れて、婚儀を挙げる両名のお披露目を果たすのだ。


 俺が初めてルティム家の人々と出会ったのも、その婚儀の前祝いの席であった。きっとシン=ルウも家長として、シーラ=ルウとともに眷族の家を巡ることになるのだろう。


「それにしても、時間がかかったよなー。ダルム兄もアイ=ファとごちゃごちゃしてたから、なかなか他の女衆に目がいかなかったんだろうけどさ」


「うむ。しかし、シーラはかねてからダルム=ルウに想いを寄せていたようだし、家長としてこれほど嬉しい話はないと思っている」


「で、しばらくしたら、今度はララとシン=ルウだな! 同じ家同士でふた組も婚儀を挙げるなんて珍しい話だよなー」


「……ララ=ルウはまだ13歳なのだから、そのような話を今から取り沙汰するべきではない」


 と、シン=ルウは顔を赤くしながら、ルド=ルウをにらみつける。

 もちろんルド=ルウは「にっひっひ」と笑っていた。


「婚儀の祝宴は黄の月の14日だったよね。俺も本当に楽しみにしているよ、シン=ルウ」


 俺がそのように口をはさむと、リミ=ルウが笑顔で発言した。


「アスタとアイ=ファも祝宴に招かれてよかったね! ……でも、その前にはリミの生誕の日もあるから忘れないでね?」


「うん、黄の月の6日ね。大事なリミ=ルウの生誕の日を忘れたりしないよ」


 リミ=ルウは、輝かんばかりの面持ちで笑っていた。

 ちなみに俺とアイ=ファは、その前日にフォウとスドラの婚儀にも招かれている。

 斯様にして、黄の月は前半戦だけでおめでたいイベントが盛りだくさんなのだった。


 そうして楽しく会話をしている内に、《南の大樹亭》に到着する。

 まずはギルルと荷車を預けなくてはならないので、俺とシン=ルウだけが宿屋の中に顔を覗かせると、受付台に陣取っていたナウディスが「ようこそ、アスタ」と笑顔で出迎えてくれた。


「トトスと荷車ですな。少々お待ちを。……おおい、受付を頼みますぞ!」


「はいはい」と二階からナウディスの奥方が下りてくる。

 ナウディスはジャガルとの混血であるが、奥方は生粋の西の民だ。が、小柄でころころとした体格は、どこかナウディスとも通ずるものがあった。


 そうして奥方に受付をバトンタッチして、ナウディスが宿の外まで出てきてくれる。

 俺たちは持参した食材を宿屋の中に運び入れてから、ナウディスの案内で建物の裏手へと歩を進めた。


 そこで待ち受けていたのは、非常にしっかりとした造りの倉庫である。

《キミュスの尻尾亭》と同じように、扉にはごつい錠前がつけられている。ナウディスはそれを開錠すると、重そうな扉を引き開けて、「どうぞどうぞ」と俺たちを導いてくれた。


「そうそう野盗などが押し込むことはありませんが、銅貨などは持ち歩いたほうがよろしいですぞ。トトスはこちらの柵の中にお願いいたします。……ふむふむ、こちらのトトスは焼印がないのですな」


「はい。いちおう角と牙の首飾りを目印にしているのですが、大丈夫でしょうか?」


「はいはい。他に焼印を押していないトトスはおりませんので、取り違える恐れはないでしょう」


 そこには、《南の大樹亭》に宿泊しているお客たちのトトスや荷車も預けられているのだった。

 ざっと見ただけでも荷車は5、6台、トトスはその倍近い数がいる。大体が2頭引きの大きな荷車なのだ。それだけたくさんの荷車とトトスを預かりながら、倉庫にはまだそれなりの余裕が残されていた。


「すごいですね。もしかしたら、本館よりも倉庫のほうが大きいぐらいなのですか?」


「はいはい。どんなに本館を立派にしたところで、荷車やトトスを預かる倉庫が小さければ、大勢のお客様をお招きすることはかないませんからな」


 確かに、徒歩で旅をする人間などはほとんどいないのだろうから、それが真理であるのだろう。

 俺は内心で感服しながら、その巨大な倉庫を後にすることになった。


「それでは、戻りましょう。いやあ、今日という日を心待ちにしておりましたぞ。アスタたちをわたしの宿の厨にお招きするのは実にひさびさのことですな」


 以前は俺たちも、それぞれの宿屋の厨で料理をこしらえていた。しかしけっこう早い段階で、完成品の料理を卸すようになっていたので、かまどを預かるのは数ヶ月ぶりになるのかもしれなかった。


「でも、本当にすべてギバ料理で大丈夫なのでしょうかね。中には嫌がる人などもいらっしゃるんじゃないでしょうか?」


「そういう方々には、わたしどもがお客様のためにこしらえたカロンやキミュスの料理をお分けいたしますよ。しかしまあ、ギバの料理が余ることなどは決してないでしょう。どの宿屋のご主人でも、ギバの料理にはたいそうな関心を向けておられるでしょうからな」


 何だかナウディスは、いつにも増してにこやかであるように感じられた。

 宿屋に戻り、厨まで足を踏み入れても、その顔から笑みが消えることはなかった。


「それではどうぞ、ご自由にお使いください。わたしどもの料理は邪魔にならないように片付けておきましたので」


「何から何までありがとうございます。それでは、さっそく始めさせていただきますね」


 かまど番の4名は手を清め、調理の準備に取りかかる。ルド=ルウは窓際に陣取り、シン=ルウは入り口の辺りに立っていた。


「他の宿屋のご主人たちは、下りの五の刻ぐらいにやってくるのですよね?」


「はいはい。それから一刻ばかりも話し合いをして、晩餐となります。大事な話は早めに済ませて、残りは食事をしながら片付ける、といった感じでありますな」


「何だかちょっと緊張しますね。すべての人たちから好意的に迎えられるわけではないでしょうから」


「それでもこの1年ぐらいで、森辺の民をむやみに忌み嫌う人間はいなくなったことでありましょう。……まあ、ひとりやふたりはそういう御方もいらっしゃるやもしれませんが、何も心配には及びませんぞ」


 俺も最近では、町の人々に敵意を向けられた覚えはない。

 しかし、屋台を訪れるお客が好意的なのは当然のことであるし、本日この場には商売敵とも言えるような人々が勢ぞろいするのである。他のどの屋台よりも莫大な売上を叩き出している森辺の民が、同業者たちにはどのように思われているのか。俺たちは、ついにその事実と直面することになるわけであった。


(城下町の料理人たちは、なかなかビジネスライクな態度で迎えてくれたけれど、あっちは直接的な商売敵ってわけじゃないもんな。俺たちによくしてくれているナウディスやミラノ=マスたちのためにも、うまくやらないと)


 そんな風に考えながら、俺は黄の月の最初の大仕事に取り組むことにした。

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