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異世界料理道  作者: EDA
第十八章 藍の月と紫の月
306/1675

ルウ家の青空食堂①~新メニュー~

2016.3/24 更新分 1/1

・今回は11話分の更新です。

「いやあ、何だか感慨深いねえ」


 その場の光景を見回しながら、俺はそう言った。

 時は藍の月の27日、ダバッグへの小旅行から帰還して4日後のことである。


 ここに至るまでの道のりを考えると、実に感慨深くなってしまう。

 俺のかたわらに立つ森辺の女衆たちにしても、それは同様であっただろう。



 ことの起こりは、3日前――ダバッグから帰ってきた、その翌日のことであった。

 その日は宿場町での商売も休業であったので、ちょっとひさびさにミケルを森辺の集落に招き、乾酪作りの方法を学ぶことになった。

 そしてそののちに、レイナ=ルウとシーラ=ルウの開発した新メニューを味見することになったのだった。


「わたしたちは今日、ミケルのおかげで乳清という新しい食材を得ることになりましたので、今後はまたそれを取り入れていくことになるかもしれませんが……今のところは、これで完成ということにしたいと思います」


 レイナ=ルウたちが真剣な面持ちで木皿を差し出してくる。

 その中に満たされていたのは、なんとギバの臓物を使った汁物料理であった。


「ルウの集落では毎日5、6頭のギバが、眷族の集落を合わせれば10頭以上のギバが狩られています。血抜きをうまく行えるのがその半数ていどであったとしても、毎日膨大な量の臓物が手に入るので、いささかその扱いをもてあましている面があったのです」


「そして、この味付けならば町の人間に忌避されることもないだろうと思うのですが、いかがなものでしょう? ぜひアスタに味見をしていただいて、ご意見をうかがいたく思います」


 俺にも色々と言いたいことはあったが、まずはその料理の味見を優先することにした。

 タウ油を基調にした、ごくシンプルな汁物のようである。ただ、ほのかに香るミャームーの香りが実に芳しい。


「臓物の料理ですので、下茹でにはリーロの葉を使っています。味付けはタウ油とミャームーと、そして砂糖とチットの実ですね」


「臓物は、腸詰め肉で使う小腸以外のすべてを使っており、野菜は、アリアとティノとネェノンと、そしてペペの葉です」


「ペペの葉か。なるほどね」


 ペペの葉というのは、ニラに似た青菜である。レイナ=ルウたちは、これを香草ではなく野菜とみなして使っているらしい。


 スープの味は、申し分なかった。

 タウ油と砂糖の甘辛い味付けに、ミャームーとチットの実が刺激的なアクセントになっている。臓物の臭みなどはまったく感じられない。独特の風味を持つペペの葉もその点では大きく貢献しているのだろう。


 具材のほうも、あらゆる臓物が入っているので実に楽しい噛み応えである。もっちりとした大腸や胃袋ばかりでなく、通常の肉に近い食感を持つハツやハラミなども織り交ぜられているので、物足りなさはまったくないと思う。


 目新しい食材は、ほとんど使われていない。

 だけどそのぶん、レイナ=ルウたちの力量がはっきりと感じられる、素晴らしい出来栄えであった。


「うん、美味しいよ。以前、トゥール=ディンに食べさせてもらったタラパ仕立てのモツ鍋にも負けない美味しさだね」


 俺が言うと、トゥール=ディンがぎくりとした様子で振り返る。


「わ、わたしの場合はタラパとチットの実の強い味で臓物の臭みをごまかしているので、こちらの料理のほうが数段素晴らしいと思います」


「うん、トゥール=ディンのモツ鍋は豪快な味で、こちらのモツ鍋はもう少し繊細な味かな。でも、まさり劣りはないように思うよ?」


 トゥール=ディンはますます居たたまれないような顔になってしまったが、レイナ=ルウがそれを優しく取りなした。


「臓物の扱いにもっとも手馴れているトゥール=ディンの料理と遜色がないならば、それは光栄な話です。そして、料理に関しては言葉を飾らずに正直な感想を述べ合うべきでしょう」


「…………」


「そういえばわたしたちは、トゥール=ディンの料理というものを口にしたことがありませんでした。今度はぜひトゥール=ディンの作った臓物料理も食べさせてくださいね?」


「はい」とトゥール=ディンは真っ赤になってうつむいてしまう。

 さらにマイムが「ぜひわたしもお願いします!」と発言したので、トゥール=ディンはいっそう消え入りそうになってしまった。


「それにしても、この料理は本当に美味しいです! ギバの臓物というのはとても興味深い食材ですね!」


「ああ。これはカロンの臓物にも劣らない食材だな。……それより何より、味付けがすぐれているのだろうが」


 同じように味見を果たしたミケルも、仏頂面でそのように言った。


「乳清などというものは、それほどはっきりした味のある食材ではないからな。味においても栄養においても、きっとこの料理には不要だろう」


「そうですか。ミケルやマイムにも美味と言っていただけるのなら、いっそう心強いです」


 そのように言ってから、レイナ=ルウは嬉しそうにシーラ=ルウと目を見交わした。

 そんなふたりの横顔を見つめながら、「でもさ」と俺も声をあげることにする。


「これは、屋台で扱う新しい料理のお披露目って話だったよね? レイナ=ルウたちは、屋台で汁物を扱うつもりなのかい?」


「はい。宿場町にも、ごくわずかにですが汁物を扱っている屋台があったようなので」


「うん。だけどあれは設備を整えるのが大変そうじゃないか? 机や椅子や、それに木皿や木匙なんかも準備しなくちゃならないわけだし」


「ええ。ですが、ルウ家は使いきれないほどの銅貨を手にしてしまったので、それは何とかなると思います。ドンダ父さんも了承してくれましたし」


「え? もうドンダ=ルウにも了解を取っているのかい?」


「はい」とレイナ=ルウは力強くうなずく。


「以前にアスタが仰いましたよね。町の人間にも家族にふるまうのと同じような気持ちで料理をふるまうことができれば、いっそう料理を作ることが楽しくなり、結果として、さらなる上達の道が開けるかもしれないと。……だからわたしはシーラ=ルウと話し合い、汁物料理を取り扱いたいと思うようになったのです」


「ああ……つまり、お客さんたちが美味しそうに自分たちの料理を食べる姿をもっと間近で見ていたいってことなのかな? だから、座席の必要な汁物料理を売りに出そうと考えたわけだね?」


「はい、その通りです」


 俺は、すっかり感服してしまった。

 そして、森辺の民たるレイナ=ルウがそのような発想に至ったことを、心の底から嬉しく思った。


「わかったよ。そういうことなら、何としてでもその考えを実現してみせよう。座席の設営なんかに関しては、ミラノ=マスとかに相談すれば何とかなると思う」


「ありがとうございます」と、レイナ=ルウとシーラ=ルウは誇らしやかに微笑んだ。



 そういった顛末があって、俺たちは3日がかりでこの青空食堂を設営してみせたのだった。


 まずは、座席の確保である。

 木の卓や椅子、それに屋根を張るための骨組みなんかは、お馴染みの組立屋で準備することができた。

 すでにトトスの荷車を調達するために何度もお世話になっている、宿場町の組立屋だ。


「ほう、今度は卓に椅子ときたか」


 厳つい風貌をした組立屋の主人は、『ギバ・バーガー』をかじりながら笑顔で請け負ってくれた。

 買い物以外でもひと月に一度は荷車のメンテナンスで顔を合わせており、その際には出不精の主人のために屋台の料理を持参するのが通例になっていたのだ。


「家の中ではなく、外で使う卓と椅子だな? それなら安く仕上げて1年ばかりで買い換えたほうが得だろうな。数は、どれほどだ?」


「そうですね。4人掛けの卓を5つ、椅子もそれに見合うだけを注文したいのですが、いかがでしょう?」


「それぐらいなら、今日と明日で何とかなる。2日後の朝までには仕上げてやるよ」


「え? そんなに早く仕上がるものなのですか? あと、屋根を張るための骨組みも注文したいのですが」


「問題ねえさ。4ヶ月かそこらで4台も荷車を買ってくれたお得意様の注文なんだからな」


 俺はつい先日、スドラやフォウといった小さな氏族の買い出し用に新しい荷車を買っていたし、その前には、ルウ家が商売用と買い出し用に荷車を欲したときも、窓口になってこの組立屋から購入しているのである。

 ご主人は残りの『ギバ・バーガー』を口の中に放り込み、それを咀嚼してから、さらにこのように言ってくれた。


「それよりも、そんな大量の木皿や木匙を準備するほうが骨だろう。そんなちまちましたものはうちの店じゃ扱っていないが、おんなじ材木屋から材木を買い付けている細工屋には大勢の知り合いがいる。よかったら、そいつらを紹介してやろうか?」


「あ、それはとてもありがたいです」


 ということで、食器類も卓や椅子と同時進行で準備することができた。

 さらに革の細工屋でカロン革の屋根も注文したら、とりあえずの準備は完了である。


 お次は、それを設営するためのスペースだ。

 これは普通に、相応の場所代を払うだけで事は済んだ。


「場所代や道具が余計にかかる分、汁物屋を開こうって人間は少ないんだがな。ま、お前たちぐらい売り上げを出している店なら心配はないだろう」


 ミラノ=マスは、そのように言ってくれた。

 通常の屋台の場所代は10日につき白銅貨1枚で済むが、座席まで準備するとなると、最低でも屋台3つ分のスペースが必要になるのだ。


『ギバ・バーガー』と『ミャームー焼き』は日替わりで提供することにして、これまでのスペースもひとつぶんはそちらに転用するので、ルウ家は追加でふたつぶんの場所代を支払うことになった。


「で、その日の商売が終わった後、座席はどうするんだ? うちで預かってもかまわないが、それにはまた倉庫代が必要になるし、いちいち片付けるのも手間だろう?」


「そうですね。他の屋台ではどのようにするのが通例なのでしょう?」


「たいていはその場に置き去りだ。屋外用の粗末な卓や椅子を盗むような物好きはそうそういないし、夜の間は昼よりも大勢の衛兵どもが宿場町を見回っているから、まあ心配はいらないだろう。……ただし、その場合は店を休む日にも場所代をいただくことになるがな」


 とはいえ、場所代も日割りにすれば、赤銅貨3枚である。それで片付けの手間がなくなるなら、安いものであった。


 かくして――藍の月の27日の朝方には、青空食堂の設営が完了したのだった。

 革張りの屋根を張っているので正確には青空の名に値しないのかもしれないが、ジェノスには時おりスコールのような雨が降るので、こればかりはしかたがない。何にせよ、屋外食堂の完成である。


 屋台3つ分のスペース、それも後方の雑木林にぶつかるすれすれまでを利用して、5つの卓と20の椅子が並べられている。卓は丸太の土台に木の板を張りつけたもの、椅子などは丸太というか切り株そのものだ。ただ、衣服などがひっかからないよう、断面だけは丁寧に磨かれている。


 そのスペースをカバーできるサイズの屋根が広々と張られており、骨組みも、木造りのしっかりしたものである。高さは2・5メートルほどであろうか。屋根に雨水がたまらないように、真ん中のあたりが少し高い造りになっている。


 さらに必要であったのは、食器を洗うための設備だ。

 20の座席に対して30セットの食器を用意しているが、もちろん使用された食器は次に備えて洗浄しなければならない。料理は『ギバ・バーガー』などと同じく80食分も準備しているのである。


 なおかつ、フワノやポイタンのない汁物料理のみでは不満の声が出るかもしれない、ということで、大きな木皿にたっぷりと1杯なら赤銅貨3枚、半分の分量なら赤銅貨1枚と割り銭1枚、あとは安価の『ギバまん』や『ギバのポイタン巻き』なども合わせてお召し上がりくださいませ、という方針を取っているので、なおのこと木皿を使い回す頻度は高くなる。


 ということで、食器を洗浄するために木の樽を購入し、そこには井戸で汲んだ水を準備しておくことになった。

 もちろん井戸が存在するということは噂で聞いていたが、実際に俺たちが活用させていただくのは初めてのことだ。


 水汲み場は衛兵たちに守られており、誰にでも無料で使うことが許されている。これだけ豊かな水源が確保できたからこそ、ジェノスはここまで栄えることができたのだろう。

 何にせよ、樽や壺を荷車に積んだ町の人々にまじって水を汲むのは、なかなか新鮮な体験であった。


「これで準備は万端ですね」


 俺がそのように呼びかけると、本日の当番であったシーラ=ルウは「はい」と穏やかに微笑み返してきた。

 それから胸もとに手をやって、微笑みながらまぶたを閉ざす。


「なんとなく――自分の家を手に入れたような喜びがこみ上げてきてしまいます。おかしいですね。屋根を張って、椅子や卓などという馴染みのない道具を並べただけのことなのに」


「おかしいことはないですよ。ただの屋台じゃなく、食堂を開いたような感覚ですもんね。俺も何だか感慨深いです」


 ちなみに本日の当番は、シーラ=ルウ、ララ=ルウ、ツヴァイである。

 中天になれば普段通りアマ・ミン=ルティムもやってくる予定であるが、それ以上の増員はない。その代わりに、《キミュスの尻尾亭》に卸す料理も他の宿屋への料理と一緒に朝方に仕上げて、中天以降も全員がこの場に居残れるように手はずを整えていた。


 汁物料理を売り出すとなると、販売と皿洗いで最低でも常時二名が必要となってしまう。が、いざとなったらファの家のほうからもヘルプを出すことは可能であるので、まずは現状の人数で挑んでみようという話に落ち着いたのだった。


「まったくサ、場所代が余計にかかる分、こっちの取り分は低くなっちゃうんだヨ? どうしてわざわざ自分たちの損になるようなことをしなくちゃならないのかネ」


 ひとり、ツヴァイのみは不機嫌そうな面持ちで商売の準備を進めている。

 ララ=ルウが怒った顔でそちらを振り向いたので、俺はそれよりも早く「大丈夫だよ」と言ってみせた。


「物珍しさがまされば、これまで以上のお客さんを確保することもできるんじゃないかな。最近はお客さんの数も頭打ちだったから、これでいっそう評判を呼び込むことができれば、場所代ぐらいはすぐにまかなえるようになるさ」


「フン! 他人事だと思って、気楽なもんだネ!」


「他人事ではないよ。稼ぎに関してはそれぞれの家の問題だけど、ギバ肉の美味しさを知らしめるっていう同じ目的のために俺たちは活動してるんだから。……それに、場所代なんて日割りにすれば赤銅貨3枚なんだよ? 別にどうっていう額じゃないさ」


「でも、こんな余計な道具をそろえるのには、何十枚もの銅貨をつかっちゃってるじゃないかサ?」


「それだって、長い目で見ればすぐに回収できるよ。シーラ=ルウたちの作った汁物料理は抜群の美味しさなんだから。……こういうのをね、先行投資っていうんだよ」


「せんこうとうし」と、ツヴァイは三白眼を細める。


「意味はわからないけど、なんだか銅貨の匂いのする言葉だネ」


「そうだよ。まあきっとシーラ=ルウたちの決断はルウ家にさらなる富をもたらすだろうから心配いらないって」


 俺にしてみれば、レイナ=ルウやシーラ=ルウに一歩先を行かれてしまったなあというぐらいの心境だった。

 これぐらい生活にゆとりがあるならば、屋外食堂の設備を整えるのに難しいことはない。そして、汁物料理を日中の屋台でも売ることができるようになれば、ギバ肉のさらなる美味しさを広めることができる。これはきっと、今後の商売の行く末を左右するぐらいの大きな変革であるはずだった。


(これで屋外食堂も無事に成功をおさめられるようなら、うんと献立の幅を広げられる。これまでは、手づかみで食べられるメニューっていう大きな制限があったんだからな)


 これなら普通の焼物や煮物はおろか、カレーやパスタをも屋台で売ることができるようになる。

 どうしてそれぐらいのことを思いつくことができなかったのだ、と悔しく思うと同時に、その発想が他ならぬ森辺の同胞たちから生まれてきたということが、俺にはとてつもなく嬉しくて、心強かった。こんなに心地好い敗北感なら願ったり、というぐらいの心境である。


(だからまずは、ルウ家のこの商売が成功を収められるように、全力でサポートしなくちゃな)


 新メニュー『ギバのモツ鍋』はシーラ=ルウとララ=ルウが、日替わりメニューの『ギバ・バーガー』のほうはツヴァイがひとりで受け持つことになる。まずは、中天までを単独でしのがなければならないツヴァイのサポートだ。


「ツヴァイ、手が足りないときはいつでも遠慮なく声をかけてね?」


「フン! こいつはルウの家の商売なんだからネ。ファの家の力を借りるわけにはいかないヨ」


「そんな水くさいことを言わないでさ。追加分のタラパソースやパテを温めなおすときなんかは、人手が必要だろう?」


「それぐらい、アタシひとりでどうにかできないとでも思ってんの?」


「いやでも、ほら、小用で席を外したいときなんかもあるだろうし――」


 鉄鍋の中身を攪拌しながら、ツヴァイはぎろりとにらみつけてくる。

 すると、俺の隣で『ギバまん』をふかしていたヤミル=レイが「ちょっと」と口を寄せてきた。


「あなたの物言いはツヴァイの神経を逆なでするだけよ、アスタ。ツヴァイに助力が必要だと感じたときは、『貸しだぞ』とでも告げてから強引に手を貸してしまえば、それでいいの」


「ああ、なるほど。すみません、俺はいまだにツヴァイの扱い方をわかっていないのですね」


「それは別にかまわないんじゃない? ツヴァイはあなたに文句をつけるのが楽しいみたいだし、変に遠慮をされることを一番嫌がるだろうしね」


 取りすました顔で、ヤミル=レイはそのように言った。

 俺が返答に窮したところで、あらぬ方向から「おい」と言葉をかけられる。さきほどから屋台の前をうろうろしていたお客さんのひとりである。


「まだ料理の準備はできないのか? あれはタウ油を使った汁物料理なんだろう? 焦らさないで、とっとと食べさせてくれよ」


 それは当然のこと、褐色の髭をたくわえたジャガル生まれのお客さんであった。

 突如として開設されたルウ家の青空食堂に好奇心をかきたてられて、本日は普段以上のお客さんたちがその場に集まってきていたのである。


 俺が視線を巡らせると、タマネギみたいなツヴァイの頭ごしに、シーラ=ルウがにっこり微笑みかけてきた。


「汁物料理のほうは、準備が整ったみたいです。味見もできるそうなので、よろしかったらどうぞ」


「そうなのか? おい、あっちはもう商売を始めるらしいぞ!」


 お客さんたちの大半が、わっと『ギバのモツ鍋』の屋台に押し寄せる。

 そうして本日も、俺たちの商売は賑やかに開始されたのだった。

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