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異世界料理道  作者: EDA
第十二章 運命の糸
206/1705

序 ~あらすじ~

2015.7/3 更新分 1/2

 今からおよそ10年前、森辺の族長であるザッツ=スンは、数名の配下とともに数々の悪行を働いていた。


 ジェノスからシムに向かおうとする商団や、バナームからの使節団などを襲い、その富を略奪していたのだ。

 また、農園の作物を荒らしたり、町の女をかどわかしたり、当時の護民兵団の団長を殺害したり、という嫌疑をかけられてもいた。


 しかし、それらの罪は《赤髭党》という盗賊団の所業であると断じられ、森辺の民が罪に問われることはなかった。

《赤髭党》は不殺の掟を持ち、豊かな貴族だけを襲う、町の人々からは義賊と称されていた一団であったにも拘わらず、証しもないままに捕縛され、処刑されることになってしまったのだ。


 その後、ザッツ=スンは病魔に倒れ、ともに罪を犯してきた同胞もテイ=スンのみとなり、町に害をなすこともなくなった。

 しかしその裏では貴族に対抗する力を蓄えるために、スンの集落ではギバ狩りの仕事を放棄し、禁忌を犯してモルガの山の恵みを荒らしていた。


 ひょんなことから――というよりは、そんなスン家の滅びを願うヤミル=レイ、当時のヤミル=スンの思いに呼応するかたちで、俺やドンダ=ルウはその罪を暴きたてることになり、そうしてスンの本家は没落することになったのである。


 そのまま滅ぶことをよしとしなかったザッツ=スンは、再びテイ=スンとともに商団を襲い、さらなる富を手に入れようと試みたが、それは森辺の大罪人をいぶりだそうとするカミュア=ヨシュの計略だった。

 捕縛されたザッツ=スンは獄中で生命を落とし、テイ=スンもまた、同胞の刃に倒れることになる。


 それで、今度こそ事態は解決したかに思えたが――カミュア=ヨシュは、ザッツ=スンをそそのかしていたのはジェノスの貴族であるサイクレウスなのではないかという疑いをかけていた。

 そうしてザッツ=スンらを利用していくために、サイクレウスは《赤髭党》を事件の犯人として証しもなく処断させたのではないか、とカミュア=ヨシュは疑っていたのだ。


 その考えを打ち明けられた森辺の民は、真相を究明するために、会談の場でサイクレウスを弾劾した。

 しかし、サイクレウスが罪を犯したという明確な証しは存在しなかったので、のらりくらりとかわされるばかりであった。


 のみならず、サイクレウスは執拗にスン本家の人間たちをジェノスに引き渡すように要請し続けた。

 己の罪を隠蔽するためにスン家の口をふさごうとしているのか、あるいは再び森辺の民を支配下に置くべくスン家を族長筋として再興させようとしているのか――サイクレウスの真意は、いまだ謎である。


 何にせよ、森辺の民は白の月の15日までに、スン家の処遇をどうするか定めねばならなかった。


 いっぽう、カミュア=ヨシュはルウ家から3名の狩人を借り受け、ジェノスの外へと旅立っていった。

 サイクレウスの罪を暴く証人として、《赤髭党》の党首ゴラムの妻であった人物を捜索するためである。


 その間に、ジェノスでは森辺の装束を纏った野盗が農園を襲ったり、森辺の民に肩入れをする町の人間が襲われたり、という不穏な出来事が頻発した。

 また、赤髭ゴラムの遺児であるジーダがジェノスに出現し、俺たちと悶着を起こすことにもなった。


 幸いなことに、真相を打ち明けられたジーダは森辺の民に対する恨みを解いたようであったが、その矢先に、今度は俺自身が悪漢にさらわれることになってしまった。


 その犯人は、サイクレウスの娘であるリフレイアであった。

 リフレイアは、父親の思惑などとは関係なく、己の好奇心を満たすためだけにそのような無法を働いた様子であった。


 カミュア=ヨシュと縁を持つ貴族ポルアースの協力もあって、俺は何とか無事にサイクレウスの館を脱出することがかなったが――時はすでに白の月の9日を迎えており、決着の時は6日後にまで迫っていた。

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