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異世界料理道  作者: EDA
第九章 青の終わり
168/1705

⑥変革と晩餐

2015.2/24 更新分 1/1 2016.10/1 誤字を修正 2019.10/9 シュミラルの家族に関して、文章を修正。


第25章の前半部分は、本日の更新分で終了となります。

数日の書き溜め期間の後、後半部分を更新していく予定です。

なるべく早期の再開を目指しますので、少々お待ちくださいませ。

「あれ? ミーア・レイ=ルウおひとりですか?」


 広間に戻ると、そこには孫をあやすミーア・レイ母さんの姿しかなかった。


「うん、なんだか大勢の客人が詰めかけてきてねえ。家の中じゃ狭そうだったから、外でやりあってもらうことにしたのさ」


 大勢の客人?

 しかしここは、12名プラス乳幼児の住まうルウの本家である。グラフ=ザザやダリ=サウティらがやってきたとしても、そうそう容量オーバーになることなどありえないはずだ。


「族長たちとは別口で、あんまり見覚えのない男衆たちがわんさかやってきたんだよ。何だか妙にいきりたってたみたいだけど、まあ荒事になることはないだろうさ。……そうそう、その中にはアイ=ファも混ざってたよ?」


「え? アイ=ファが?」


 いっそうわけがわからない。

 とにもかくにも、俺たちはシュミラルが預けていた刀とマントを受け取った後、ともに外へ出ることにした。


 そこで待ち受けていたのは、むくつけき森辺の男衆たち――その数、およそ十数名である。

 確かにこれは、ルウの本家でも手狭になりそうな人数だ。


「……用事は済んだか」と、さきほど自分の部屋にひっこんだばかりであったドンダ=ルウが、横目でにらみつけてくる。


 そのかたわらに並んでいるのは、広間で同席したジザ=ルウ、ダン=ルティム、ガズラン=ルティム――そして、いつの間にやら到着していたらしい、ダリ=サウティとグラフ=ザザである。

 さらにその族長たちが1名ずつのお供を従えており、合計で8名だ。


 で、それと対峙する格好で、6名の男衆と、アイ=ファが立ち並んでいた。

 アイ=ファが俺のほうを見て、「ご苦労」とばかりにうなずきかけてくる。その落ち着き払った表情で、俺はようやく肩の力を抜くことができた。


「それがルウ家の客人となった東の民か」


 底ごもる声でつぶやいたのは、ザザ家の家長にして三族長のひとり、グラフ=ザザだった。

 どれだけ大勢の人間がいても、頭つきのギバの毛皮をかぶったザザ家の男衆の姿は際立ってしまう。


「ルウ家が誰を客人として招こうがルウ家の自由だが、今は取り込み中だ。下がっていてもらおう」


「はい。私、帰ります。家長ドンダ=ルウ、今日、ありがとうございました」


 グラフ=ザザの眼光をふわりと受け流し、シュミラルはドンダ=ルウに一礼する。

 そうしてすみやかに歩み去ろうとするシュミラルの腕を、俺はとっさにつかんでしまった。


「待ってください、シュミラル。あの――もうちょっと俺と話していきませんか?」


 どうしてそんなことを言ってしまったのかは、わからない。

 ただ、シュミラルをこのまま放ってはおけない心境になってしまったのだ。


「アスタ、話、かまいません。私、嬉しいです」


「えーと、それじゃあどうしようかな……」


 そうは言っても、アイ=ファまで参加しているこの騒ぎを看過することもできない。

 俺が逡巡していると、シュミラルは細長い指先でルウ家の横手に停められている荷車のほうを指し示した。


「私、待ちます。声、聞こえない、姿、見える場所、います」


「あ、そうしてもらえると助かります」


 さすがは世界中を駆け巡る商団の長の胆力というべきか、シュミラルはこれだけ集まった森辺の男衆らに不審の視線を突きつけられながら、まったくよどみのない足取りで荷車のほうまで歩み去っていった。


 その姿が十分に遠ざかってから、グラフ=ザザは名も知れぬ男衆らのほうに向き直る。


「……貴様たちの言い分はおおかた飲みこめた。要するに、貴様たちの代表者を何名か、明日の会談に同行させよ、という話なのだな?」


「そうだ。了承してもらえるだろうか、三族長よ?」


 グラフ=ザザの声に答えたのは、アイ=ファの隣りに立っていた、女衆のように小柄な男衆、スドラの家長である。

 よく見れば、見知った顔がいくつかある。アイ=ファをはさんで逆側に立っているのはフォウ家の家長であるし、その隣りのは、たしかラン家の家長だ。


 もしかしたら――彼らは全員、小さな氏族の家長たちなのだろうか。


「俺たちは、俺たちの定めた族長たちの決定に従う。族長たちの力や判断を軽んじているわけではない。ただ、スン家が族長筋であった頃のように、何も知らされぬまま諾々と従うのではなく、族長たちと同じものを見て、同じものを聞き、その上で力を合わせていきたいと考えたのだ」


 スドラの家長の言葉を継いだのは、フォウの家長だった。

 ドンダ=ルウと同世代ぐらいの、長身痩躯の男衆である。


「ふむ。つまりは明日の会談ばかりでなく、三族長が膝を突き合わせる機会には常に席を同じくしたい、ということかな?」


 三族長のダリ=サウティが、若年に似合わぬ貫禄たっぷりの様子でそう問いかける。

「そうだ」と、何名かの男衆がそれに応じた。


「そして、族長らの言葉を聞いた者が、それを近場の家に伝え知らせる。それを南から北へ、北から南へと次々に伝えていけば、年に1度しかない家長会議を待たずして、森辺の民の全員が族長の考えを知ることができるだろう」


「それはけっきょく、俺たちがスン家のように堕落するのを危惧している、という話なのではないのか?」


 グラフ=ザザが重々しい声をあげる。

 ことさら威圧しているわけではないのだろうが、この中では唯一ドンダ=ルウに匹敵する迫力を有する御仁である。


「それは違う。ルウとサウティとザザがおたがいを見ているのだから、族長筋たる3つの家が同時に堕落することはありえないだろう。だが――俺は先日の騒ぎの際、ファの家のアスタらを守るために、ルウの男衆とともに宿場町に下りていた。その際に、さまざまな話を聞く機会を得たのだ」


「そして、スドラの家長が耳にしたその言葉を、俺たちフォウやランも聞くことになった。……グラフ=ザザは城の人間に愛想を尽かし、このモルガの森辺を捨てるべしとまで言い放っていたと伝え聞いたが、それはまことであるのか?」


 スドラとフォウの家長らの言葉に、グラフ=ザザは少しだけ目を細める。


「捨てるべしとは言っておらん。しかし、人間としての誇りを捨てるぐらいならば、《ギバ狩り》の誇りを捨てるもやむなしとは考えている」


 家長たちが、大きくどよめいた。

 その中で、フォウの家長が強い目でザザの家長を見すえる。


「驚くべき言葉だ。この80年で得た《ギバ狩り》としての誇りを捨てるもやむなし、とは――それほどまでに、ジェノスの城の人間は非道なのであろうか?」


「俺が言葉を交わしたのは、サイクレウスという老人だけだ。森辺の民が刀を捧げているのはジェノスの領主であり、あの老人ではない。……だが、あの老人が刀の主であったならば、俺は迷わず刀を自分のもとに取り戻す道を選んだだろう」


 グラフ=ザザの目が、肉食獣のように激しく燃える。


「そして、思ったのだ。この先も永遠にジェノスの領主と顔を合わせることはなく、この忌々しい老人めを君主の代理人として仰がねばならぬのなら、どのみち狩人としての誇りなどは汚されていき、いずれザッツ=スンやズーロ=スンのように魂を腐らせることになるやもしれん。それならば、みずから《ギバ狩り》としての誇りを捨て、新たな土地に新たな誇りを求める道こそが正しいのではないか、と考えたのだ」


「しかし、わずか1度の対面でそこまで短慮を起こしてはならない――などという差し出口を俺たちがはさむまでもなく、グラフ=ザザは自らの軽はずみな発言を悔いていたので、その点の心配は不要と言わせておいてもらおうか」


 ダリ=サウティの言葉に、グラフ=ザザは「ちッ」と舌を鳴らす。


「さらに言うならば、グラフ=ザザの言葉に理がないわけでもない。ジェノスと我々の求める道が異なっているならば、ともに歩んでいくことはかなわないだろう。もしもジェノスの領主が寸分たがわずサイクレウスと志を同じくしているというのなら、確かに我々はモルガの森を捨てる道を選ばざるをえないかもしれない。……だからこそ、領主の真情も知れぬ内に決断は下せない、ということなのだがな」


「サイクレウスというのは、そこまでの男なのか? ……ならばいっそう、俺たちは族長らと縁を太くする必要があるのではないだろうか? 何も知らぬままモルガの森を捨てよと命じられても、なかなか従えるものではないだろうからな」


 陰気な声で、スドラの家長がそうつぶやいた。


「それに、問題はそればかりではない。ファの家の商売についても、俺たちは族長らと心をひとつにする必要があると思える」


 ここでいきなり自分の家の名が飛びだして、俺は相当びっくりすることになった。

 アイ=ファは憮然とたたずんでおり、その隣りのフォウの家長が彼らしくもなく熱っぽく身を乗り出す。


「ファの家の商売については、三族長でも意見が割れているのだろう? ルウの家はファの家に力を貸し、サウティはそれを黙って見守り、そしてザザはその行い自体に反対している。ということは、この先、ザザの言葉が正しいとされて、ファの家の商売が禁じられるという道もありえなくはないのではないか?」


「それが不服だ、ということか」


「違う。族長たちがそう考えるなら、何故そう考えたのかを正しく知る必要がある、と思ったのだ」


 ランの家長が、フォウの家長の言葉を引き継ぐ。


「なおかつ、俺たちが何を考えているかということも、族長たちは正しく知る必要があるとも思う」


 さらに、スドラの家長が言葉を重ねる。


「今この場にいるのは、スドラと、フォウと、ランと、ラッツと、ガズと、ベイムの6氏族だ。これらはいずれもファの家からそこまで遠くはない場所に家をかまえる氏族であり、ベイム以外はファの家の行いを是として、血抜きや美味い食事を作る仕事の手ほどきを受けている。だが、ファの家から遠い氏族の者たちは、家長会議の後もこれまでと何ら変わらない生活に身を置いているはずだ」


「それで何か不都合でもあるのかな?」


 沈着きわまりないダリ=サウティの言葉に、スドラの家長は「ある」と、うなずいた。


「家長会議の際には、ファの家の動向を静かに見守るべし、という話で落ち着いた。ファの家の行いが森辺にとって薬となるか毒となるか、それを見極めるべきだ、とな。しかし、その行状を知るのが年に1度の家長会議では足りなすぎる。家長会議からまだ20日ていどしか経ってはいないのに、俺たちはもう驚くほどの生活の変化をもたらされることになってしまったのだ」


「それは、ファの家に肉を売って豊かな生活を得ることがかなったという意味か」


「豊かな生活とまでは言えない。しかし、息を飲むほどの銅貨を得ることになったのは事実だ。正直に言えば、干し肉を渡しただけでこれほどの銅貨を得てしまって良いのか、と最初は俺も考えさせられた。そして、ベイムの家長などは、やはりそれは森辺の民には相応しからぬ富なのではないかという思いを強めてしまっている」


 ベイムの家というのは、俺にとって初めて耳にする名前であった。

 しかし、ザザの眷族ばかりでなく、小さな氏族の中にもファの家の行動を疑問視する家はあったはずなので、その内のひとつなのだろう。


「ファの家は、森辺に豊かさをもたらすために商売を始めたと言っていた。つまりこれは、森辺の民すべてに関わる問題なのだ。ならば、ファの家の行いを是とする者も非とする者も、全員がファの家の行いを正しく知り、これが森辺にとって薬となるか毒となるか、しっかり考えるべきだと思う」


 だんだんスドラの家長の独壇場になってきた。

 ひときわ雄渾な体格をした族長らを前に、ひときわ小さな体格をしたスドラの家長が、さらに申し述べる。


「それに俺は思うのだ。同じ森辺の民でも、ルウやザザやサウティは、あまりに豊かすぎる。富める民に貧しき民の性根はわからないし、貧しき民に富める民の性根はわからない。ファの家の家長が公正に感じられるのは、幼き時代に貧しさを知り、のちには自らの力で豊かな生活を勝ち得たからなのではないだろうか」


 この言葉に、アイ=ファはもちろんこれ以上ないぐらい嫌そうな顔をしていた。

 他者からの賞賛を素直に受け止めることのできない、奥ゆかしい気性であらせられるのだ。


「貧しき民の性根、か。しかし、どれほど豊かな氏族であっても、そうでない氏族を軽んじるようなことはないはずだが」


 けげんそうに太い首を傾げるダリ=サウティを、スドラの家長は光の強い目で見返す。


「ならば問うが、サウティの家長は飢えで子どもを亡くしたことがあるか? 目の前にぶら下がっている果実をもいで妻に食わせれば、枯れた乳も出るかもしれない。そんなことを思いながら、どんどん痩せ細っていく我が子の姿を見守り、己の無力さを嘆いたことがあるか?」


「……いや、ないな」


「それでは、そんな俺たちがどれほどスン家を憎んだかは理解できるか? あいつらは、ギバも狩らずに報奨金で遊んで暮らし、しまいには、森の恵みにまで手をつけた。そんな連中を、俺たちがどのような思いで許すことに決めたのか、それが豊かな氏族の者たちにはわかるのか?」


 ダリ=サウティは、口をつぐんだ。

 スドラの家長は、いったん大きく息を吸い込んでから、静かに述べる。


「しかし、族長筋を堕落させてしまったのは森辺の民全員の弱さであり罪であるというドンダ=ルウの言葉は、俺にも公正に感じられた。家長会議のたびにルウ家はスン家に牙を剥いていたというのに、俺は何の力にもなることはできなかったからな。……だから俺は、ドンダ=ルウの言葉を是とした。その心情を聞いたから、スン家の人間を許そうという気持ちにもなれたのだ。たぶん、その心情を聞かずにただスン家の人間を許すという結果だけ聞かされていたら、俺は三族長の言葉にも従えなかっただろう」


「…………」


「俺はこの先も族長たちが正しき道に俺たちを導いてくれると信じている。だが、可能な限りは同じものを見て、同じものを聞き、その上で同じ道を歩みたいと思ったのだ。……スン家が滅び、新たな族長筋が生まれ、そしてファの家は宿場町で商売を始めた。ここまでさまざまな変化が一時に起きてしまったのだから、俺たちもこれまで通りの生活に身を置いてはいられないのではないだろうか?」


 そんなスドラの家長の言葉を最後に、しばし重ための沈黙が漂った。

 やがてそれを破ったのは、ずっと無言で彼らの話を聞いていたドンダ=ルウだった。


「……何にせよ、今の貴様たちが要求しているのは、森辺の行く末に関わる族長たちの集いに、貴様たちの代表者を参加させたいという、その一点のみであるってわけだな?」


「ああ、そうだ。族長たちがその話を眷族たちに伝えていくのと同じように、俺たちも他の氏族へとその話を伝えていきたい」


「まさか、この場にいる7名の全員を参加させろとまでは言わねえだろうな?」


「むろんだ。参加するのは、2名ていどで十分だろう。許しがもらえるなら、それはフォウとベイムの家長に頼みたいと考えている」


「ふん。……とりたてて、その申し出に反対する理由はないだろう」


 ドンダ=ルウは、かたわらにあるふたりの族長たちに呼びかける。


「心配な点は、ただひとつ。その身にあまることにまで頭を回して、狩人の仕事をおろそかにはするなってことぐらいだな」


「うむ。血抜きや料理の技術の習得に関しても、それは同じことが言えるだろう。家長会議でも話題になった通り、豊かな生活というお題目のためにこれまでの仕事をおろそかにするというのは、あってはならぬことだ」


 ダリ=サウティが穏やかに応じ、グラフ=ザザは無言のまま鼻を鳴らす。


 どうやらそれで、家長たちの提案はひとまず族長たちに了承されたようだった。


            ◇


「今日になって、突然あの家長らがファの家に押しかけてきてな。族長たちと言葉を交わしたいので私にも同行してほしいと願われたのだ」


 荷車の振動に身をまかせつつ、アイ=ファはそう言った。


「どうやら前々から、スドラとフォウとランの家長らの間ではさきほど述べられていたような話が為されていたようでな。今日、ルウの集落に族長たちが集結すると聞き、ならばと気持ちを固めたものであるらしい」


「なるほど。ベイムの家ってのは初めて聞いたけど、その、そこまで熱烈にファの家の商売に反対しているのかな?」


 ギルルの手綱を操りながら、俺は問うてみた。

 荷台と御者台の間に陣取ったアイ=ファが、俺の頭上で首を横に振った気がする。


「大事ない。立場としては反対であるそうだが、それはこれまでの生活が大きく変わってしまうことに対する不安感から生じる気持ちなのであろうとスドラの家長は述べていた」


「そのスドラの家長は大丈夫なのかなあ? 今さらだけど、確かに先日の干し肉の代価は、手始めとしては額が多すぎたよな」


「それも問題はない。自分たちがこれほどまでの銅貨を得ることになったのは、7つの氏族しか干し肉を準備することができなかったからだ、と自分で述べていたからな。……だからこそ、もっとたくさんの氏族がファの家に力を貸し、みなで富をわかちあうべきなのだとも言っていた」


 富はできるだけ均等に分配したい、というのは俺やミーア・レイ母さんの共通の意見であるし、それはすでにスドラの家長たちにも伝えている。その考えの延長上にある意見であり提案であるのだろう。


「とにかくまずは、血抜きの技術を他の氏族にも伝え、公平に富がゆきわたるようにしたい。そして、ファの家の行いに賛同している者も、反対している者も、この行いが森辺の薬となるか毒となるかをしっかり見定めるべきであり――なおかつ、自分たちがこのような考えに至ったことを三族長に伝えるべきだ、という話になったのだな」


「ふむふむ」


「そして、三族長の意向も気になったのだろう。族長たちは、本当は何をどう考えているのか、自分たちはそれを知っておくべきだ、と――それでこうしてルウの集落にまで出向く結果になったわけだな」


「うん、よくわかったよ。森辺の民といえば森辺の民らしい考えだし――その割には、俺にもすごく共感できる話だから、そういう意味では森辺の民らしくない斬新な発想だとも思えちゃうな」


「それはきっと、スドラの家長がいささか変わり種であるためであろう。けっきょくフォウやランの家長たちをそのような考えにいざなったのもスドラの家長なのであろうからな」


 スドラの家長か。

 森辺の男衆としては珍しいぐらい小さな体躯で、小猿のような風貌をしており、家は貧しく、家族は少なく、眷族も絶えており――それでいて、光の激しい眼差しを持つ壮年の男衆であった。


 その奥方には屋台の商売を手伝ってもらっているし、それに彼は、テイ=スンの手から俺を救ってくれた恩人でもある。テイ=スンが本心から俺の生命を奪おうと思っていたかは置いておくとしても、彼が恩人であるという事実に変わりはない。


「でも、小さな氏族の代表者は、スドラじゃなくてフォウとベイムの家長なんだな。俺はアイ=ファが選ばれたんじゃないかと思ってドキドキしちまったよ」


「ファの家はとりわけ家人が少なく家の仕事も労苦をともなうのだから、そのような重荷を課すべきではないとスドラの家長が言ってくれた。また、同じ理由で自分も家を離れにくい立場であるし、当面の代表者にはファの家の行いに賛同する家と反対する家の家長をひとりずつ選ぶのが相応であろうという話から、フォウとベイムが選ばれた」


「うん、実に論理的だ。スドラの家長ってのはずいぶん頭が切れそうだな」


 さしあたっては、明日の会談にもフォウとベイムの家長が同行することになった。現在ルウの家で行われている最後の打ち合わせにも彼らが参加し、残りの家長たちは他の氏族にも話を伝えるべく、俺たちとは反対の南側へと道を下っていった。


 血の縁を持たぬ氏族には無関心であり不干渉であった森辺の民が、自らの意志で他家との縁をつなごうとしているのだ。


 なおかつそれは、500余名の人間が暮らすには広大に過ぎるこの森辺の集落に、原始的ながらも連絡網を敷こうという試みでもあるのだろう。


 彼らは否定していたが、やっぱりその根幹には、族長筋たるスン家が十数年もの間、他の氏族との交わりを絶って、人知れず堕落し果ててしまったという事実があってこその意識改革だったのではないだろうか。


「納得がいったか? ではそろそろ私の疑念も解いてもらおうか」


 と、アイ=ファが御者台のほうに身を乗り出してくる。


「……どうしてあの東の民をファの家に招いたのだ?」


 荷台には、アイ=ファばかりでなくシュミラルも同席していたのである。

 アイ=ファが声をひそめるまでもなく、シュミラルは荷台の最後部に陣取り、外の景色へと視線を飛ばしている。


「いや、色々あってな。ちょっとシュミラルを元気づけたかったから、晩餐に招待してみたんだよ」


 そうしたら、シュミラルは俺が想像していた以上に嬉しそうな目つきをしてくれた。

 やはり、ヴィナ=ルウとの会見があのような形で終わってしまい、少なからず落ち込んでいたのだろう。もしもヴィナ=ルウの怪我が明後日までに治らなかったら、このまま長きの別れとなってしまうのだから。


「……まさか、寝泊りの世話までしてやる心づもりではなかろうな?」


「いや、さすがにシュミラルも商団の仲間に無断で夜を明かすことはできないって言ってたから、その点は大丈夫だよ。……あ、だから、帰りはギルルで宿場町まで送ってあげてもらえるかなあ? 俺だと夜道を走らせることはできないからさ」


「ふん。気心の知れぬ者を家で寝かせるよりはましか。この荷車があれば、家人でもない者と肌を合わせずに済むしな」


 などと言いながら、アイ=ファはちょっとまんざらでもなさそうな表情になってきた。たぶん、自分で思うさま荷車を運転できるのが嬉しいのだろう。


 そうして20分ばかりも荷車を走らせていると、ファの家が見えてきた。

 ギルルのおかげで移動の時間は短縮できたものの、ルウの家ではけっこうな時間を費やすことになったので、けっきょく普段よりもずいぶん遅い帰宅になってしまった。

 それでもまあ、ディナーの参加メンバーがひとり増えるぐらいなら、何の問題もありはしない。


「到着しましたよ。シュミラル、ここがファの家です」


 俺の家です、とはまだ気恥かしくて言えない俺であった。

 荷台を降りたシュミラルは、ルウの家よりふた回りほど小ぶりなファの家を見上げる。


「やはり、みんな、南、様式なのですね」


「え? 何がですか?」


「家です。様式、南です」


 南とは、もちろん南の王国ジャガルのことだろう。

 だけど、どのあたりが南の様式なのだろうか? ジェノスの宿場町においてだって、多少は木材以外の材料を使用しているものの、基本的な造りは森辺の集落と大差ないはずである。


 そこまで考えて、思い出す。そういえば、宿場町の建物はその大半がジャガルの民によって建造されており、そうだからこそ、ジャガルの民たるおやっさんたちがその補修作業のためにジェノスまでおもむいてきているのだった。


(日本の家の大半が西洋式の建物だ、みたいな話なのかな。よくわからんけど)


 そんなことを考えながら、食材や鉄鍋をかまどのほうに運んでいると、ギルルを木につないでいたアイ=ファが「当たり前だ」と声をあげた。


「80年前、私たちの祖はこの森辺にまで移り住んできた。それからしばらくは南の黒き森に住んでいたときと同じように草を編んで家を造っていたそうだが、この地は雨が多いために、草の家ではすぐに腐ってしまったらしい。だから、ジェノスに留まっていた南の民を森辺に招き、こういった頑丈な家の建て方を学んだのだそうだ」


「なるほど。興味、深いです」


 確かに、興味深い。

 それではやっぱり、以前はあのスンの集落で見た祭祀堂のようなドーム状の建物が、森辺の民にとってはスタンダードであったのだろうか。

 いずれジバ婆さんにでも、その頃の話を聞いてみたいものだと思う。


「そして、森辺の民、装束、東、様式ですね。その織物、東の民、ジェノス、もたらしたものです」


「ふむ? これはまあ、森において獣に存在を気取られぬよう、このような色合いの装束が選ばれたにすぎんのだろう」


「はい。だけど、モルガの森、広い、そして、豊かです。糸、材料、木、たくさんある、違いますか? 森辺の民、糸、つむぐ技術、ないですか?」


「いや、それもやはり移り住んだ当初は自分たちで布を織っていたらしいが、その糸のとれる木とやらの実がギバの食糧になることが知れたので、木の皮を剥がすことも禁じられてしまったらしい。……お前はずいぶん些細なことが気にかかる性分であるようだな、東の民よ」


「すみません。森辺の民、興味、深いです。質問、不快ですか?」


「……べつだん不快なことはない。ただ、見た目に寄らず口の回る男なのだなと思っただけだ」


「それ、南の民、商人の娘、同じこと、言われました」


「商人の娘?」


 俺は一瞬ドキリとしたが、シュミラルは俺がディアルにぶん殴られたシーンは目撃していないはずだと思い至り、胸をなでおろした。


 それでも彼女の存在は、アイ=ファにも打ち明けておくべきであろう。他の何を置いても、サイクレウスと近しい存在である人間には用心が必要であるはずなのだから。


 ともあれ、対人能力にいささか難のあるアイ=ファでも、シュミラルと言葉を交わすのはそれほど苦にならぬらしい。それは俺にとって、少なからず嬉しい誤算であった。


             ◇


 それから90分ていどが経過した後、俺たちは薄暗くなりかけた家の中で晩餐をとることになった。


「お待たせしました。お口に合うといいんですが」


 仕込みの作業と同時進行で、何とかいつも通りの時間に晩餐を仕上げることはできた。まだ3割ほど仕込みの作業は残っているが、それはシュミラルの帰宅後に頑張ればいい。睡眠時間を削らねばならぬほどの作業量ではないので、どうということはない。


「香り、素晴らしいです」


 肉料理は屋外のかまどで仕上げたので、俺が完成品を持っていくと、シュミラルは嬉しそうに目を細めてくれた。

 が、上座のアイ=ファは片膝あぐらで顔をしかめている。


「……うすうす気づいてはいたが、アスタ、お前はまたあの赤い実を使ったのだな」


「うん、だけどそこまで激烈な辛さにはしてないから大丈夫だよ。見た目的にも『ギバ・チット』よりは辛くなさそうだろう?」


「どこがだ。真っ赤ではないか」


「大丈夫だってば。真っ赤なのはタラパのせいだから」


 それに、特別扱いは心外だろうから言わないでおくが、アイ=ファの分は辛さをひかえめに調理してあるのである。

 しかめっ面のアイ=ファに笑いかけながら、最後に俺は屋内のかまどで温めておいたスープもよそって、自分も席に着いた。


 サイドメニューは、いつも通りに焼きポイタンと、タウ油を使った『ギバ・スープ』だ。具材はモモ肉とアリアとチャッチとギーゴ。けんちん汁に近い味わいで、これは《南の大樹亭》でも喜ばれるのではないかとひそかに考えている。


 で、メインはチットの実を使った焼き料理である。

 名前は――何だろう。強引に名付けるなら、『ギバのソテー・アラビアータ風』とでもいったところか。

 チット漬けを使った『ギバ・チット』に負けぬ献立を、という気持ちで研究中の一品である。


 チットの実は、赤唐辛子のような色合いと辛さを持つ食材だ。

 ただし形はまん丸で、大きさは大豆ぐらい。それを2、3粒も使えば唐辛子1本分に相当するので、これならば経費もそれほど食わずに済む。


 まずはそのチットの実とミャームーを刻み、ギバの脂で弱火で炒める。

 本来であればオリーブオイルに代わる植物油が欲しいところであるが、こればかりは宿場町で発見することはできなかった。城下町には存在するのか、ちょいと気になるところではある。


 で、じっくり弱火で炒めていくうちにニンニクのようなミャームーが香りだしたら、中火のかまどに移し、スライスしたギバのロースとアリアに手早く火を入れる。


 そいつが焼けたら、別の鍋で作っておいたタラパのソースと入念にからめて、もう出来上がりだ。


 困ったときのタラパ頼りというか何というか。『タラパ・シチュー』と『ギバ・バーガー』に続いて、タラパソースを使うのはこれで3度目である。

 もうちょっとバリエーションを広げたいところではあるが、唐辛子モドキのチットの実との相性を考えると、今のところはこれが最良であると思われた。

 レイナ=ルウたちに下ごしらえの仕事を引き継がせることができたら、空いた時間で色々な食材を吟味していこうと思う。


 ともあれ、タラパのソースをあらかじめ家で仕込んで持っていけば、《玄翁亭》での調理時間は大幅に短縮することが可能であろう。


 注意点は、火の加減。

 チットの実から十分な辛さを引き出すには時間をかけて熱を通す必要があるので、焦がさないように気をつけること。

 それさえ注意しておけば、調理の手順はきわめてシンプルだ。


「来月からはこの料理を《玄翁亭》に卸そうと思ってるんですよ。シュミラルがジェノスを出る前に食べてもらえるのは、とても嬉しいです」


「私、もっと嬉しいです」


 嬉しくないのは私だけか、とアイ=ファは口をへの字にしている。

 だけど今日は、涙がにじむほどは辛くないはずだ。アイ=ファの分だけはチットの量を少なめにして、なおかつ種も抜いておいたので、かなりマイルドの味わいなのである。


 これならアイ=ファにも心から喜んでもらえるかな、と内心で期待している俺なのだった。


「ではどうぞ。冷めないうちに召し上がってください」


 アイ=ファはごにょごにょと口の中で文言をつぶやき、俺は「いただきます」、シュミラルは「賜ります」、と三者三様の挨拶を済ませ、晩餐のスタートだ。


 まずはメインディッシュから、俺は木匙で口に運ぶ。

 が――とたんに俺は、「あれ?」と首を傾げることになった。


 トマトのようなタラパのソースは、アリアのみじん切りや果実酒と一緒に煮込んでいるので、風合いも素晴らしい。そこにチットの辛さとミャームーの香りが合わさることによって、『ギバ・チット』にも負けぬ深い味わいを生み出せていると思う。


 そして、その深い味わいに負けない存在感が、ギバの肉にはある。きめがこまかく柔らかめの肉質が売りのロースであるからして、噛み応えも心地好い。

 シャキシャキとした歯ざわりを少しだけ残したアリアも、いいアクセントだ。


 しかし、何だか記憶よりも味が大人しめなのである。

 辛いには辛い。美味いには美味い。だが、これではアイ=ファに提供したチットひかえめのマイルドな味わいに近いように感じられた。

 味見のしすぎで、少し舌が馬鹿になっているのだろうか。


 俺はちょっと仕上がりが不安になり、シュミラルのほうをうかがってみた。


「あの、すみません。ちょっと味付けが弱かったでしょうか?」


「いえ。美味です」


 シュミラルもさっそくソテーから口をつけてくれていた。

 その目が嬉しそうに細められているのを見て、俺はほっとする。


 それではアイ=ファはどうだろう、と視線を巡らせてみると――アイ=ファは木皿を抱えたまま、ぷるぷる肩を震わせていた。


「……だましたな、アスタ」


「うん? 何がだよ? この前よりは辛くないだろ?」


 言ってから、気がついた。

 俺が食べた一口こそ、辛さが足りていなかったではないか。


「え、まさか、俺とお前の皿を取り違えちゃったのか!?」


 いやしかし、いくら俺でもそこまで迂闊ではないはずだ。

 シュミラルはもちろん、アイ=ファにだって喜んでもらえるかどうか、胸を高鳴らせていた俺であるのだから。


 これはいったいどういうことなのだろうと首をひねっていると、シュミラルも不思議そうに首をひねっていた。


「アスタ、アイ=ファ、味、別でしたか?」


「はい。アイ=ファの皿だけ少しチットを少なめにしたはずなんですけど……」


「アイ=ファ、皿、取り替えました」


「え?」


「アスタ、かまど、汁、すくう時、背中、向けていました。その時、アイ=ファ、皿、取り替えました」


「えー!? どうしてそんなことを!?」


「かまど、灰、飛んできて、アスタ、皿、落ちました。アイ=ファ、灰、取った後、皿、取り替えました」


 ふわふわと漂ってきたかまどの灰が俺の皿に落ちてしまい、それに気づいたアイ=ファが灰を除去したのちに、自分の皿と交換してくれた、ということか。


 なんと心優しき家長であろう!

 そんな心優しき家長にこんな運命をもたらすなんて、この世界の神はひどい性悪であるに違いない。


「ごめんな、アイ=ファ! こっちがお前の皿だったんだよ。……痛い痛い痛い!」


 左の頬を、しこたまつねられた。

 つねりながら、じんわり涙を浮かべているアイ=ファである。


「いちいち味など変えるからこのようなことになるのだ! おかしな気を回すな、うつけ者!」


「いやだけど、みんな同じ味付けにしていたら、けっきょくはその辛さを味わうことになってたんだぞ? ……いや痛い痛い痛いってば!」


「私の口のほうが痛い!」


 ホホ肉をちぎり取られてしまうかと思った。

 しかし、心優しき我が家長は、その寸前で俺の頬から手を放してくれたのだった。


 俺も痛さで涙ぐむことになり、親愛なる家長とおそろいの有り様だ。

 おたがいがおたがいを思いやってもこんな目に合うことはあるのだなあと、俺はこの世の不条理を嘆くしかない。


 そんな俺のかたわらで「ふん!」と子どものように声をあげてから、アイ=ファは手の甲で目もとをぬぐう。

 その愛くるしいお姿を眺めながら、シュミラルは「ふたり、幸福ですね」と、穏やかに述べた。


「私、家族、絶えました。アスタ、アイ=ファ、幸福、思います」


「え? シュミラルも家族を亡くしているんですか?」


「はい。家族たち、病魔、亡くなりました。最後の家族、父、5年前、亡くなりました。それから、私、《銀の壺》の団長、引き継ぎました」


「ああ、先代の団長はシュミラルの父君だったのですか」


 アイ=ファと木皿を交換したのち、その辛さを存分に堪能しつつ、俺はそう答えた。


「《銀の壺》、私の父、作った商団です。私、13歳より、仕事、続けています。5年前、団長、引き継ぎ……サイクレウス卿、その時、知り合いました」


 まだちょっと涙目でスープをすすっていたアイ=ファが、ぴくりと眉を上げる。


「東の民よ。お前はジェノス城のサイクレウスという貴族と知己を得ていたのか?」


「はい。《銀の壺》、シムの食材、シムの刀、たくさん携えています。それで、取り引き、始まったようです。私、団長、なってからも、取り引き、継続しています」


 アイ=ファがじろりとにらみつけてきたので、「俺もそれは今日初めて知ったんだよ」と先回りしておいた。


 しかし、シュミラルはまたどうしてそのような話を蒸し返してきたのだろう。


「サイクレウス卿、約束、破ります。悪い噂、たくさんです。噂、本当、わかりませんが、城下町の料理人、サイクレウス卿、怖れていました。サイクレウス卿、とても強い力、持っています」


「……それがいったいどうしたというんですか?」


「サイクレウス卿、逆らう、危険です。私、森辺の民、心配です」


 シュミラルは、さきほどの族長たちとの会話は、一切聞いていないはずだ。

 だけどそれでも、宿場町からの帰り道で俺が色々と質問してしまったから、なにがしかの不穏な空気を感じ取ってしまったのだろう。


「……何にせよ、お前には関係のない話だな、東の民よ。お前はアスタの友であるという話だが、そうであればなおのこと、踏み込むべきでない領域があるはずだ」


 アイ=ファは小さく首を振り、ソテーの木皿をつかんだ。


「おまけにお前は、あと数日でジェノスを離れるのであろう? 余計なことには気を回さず、己の行く末だけを心配していればいい」


「はい。……そうするべき、わかっています」


 シュミラルは、少しさびしげに目を伏せた。

 アイ=ファは「ふん」と軽く鼻を鳴らしてから、赤いソースにまみれたソテーを口の中に放り込む。


 で、また涙目だ。


「あれえ? それでも辛いか? けっこう加減して作ったんだけどなあ」


「……最初に口を痛めてしまったから、余計に痛いのだ」


 と、アイ=ファは座ったまま器用に俺の膝をげしげし蹴ってきた。

 しかし、木皿を置こうとはせず、涙をぬぐいながら2口3口と食べていく。


「ううむ……美味いのかもしれんが、やっぱりよくわからん……最初に口を痛めていなかったら、きっと美味いと感じられたのであろうな……」


「本当か? だったら、ものすごく嬉しいんだけど」


 自然に笑みがこぼれてしまう。

 すると、さらに強い力で何度となく膝を蹴られてしまった。


「アスタ、アイ=ファ、幸福、思います」と、シュミラルがまた同じことを言う。


「その幸福、大事、してください。私、旅先、ふたり、幸福、祈っています」


 アイ=ファはタラパのソースのように真っ赤な顔をして、「やかましい!」と、わめき散らす。


 それからシュミラルがファの家を辞去するまで、時間はゆっくりと優しく流れていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] もう何度もこの作品を読み返しています。 読み返す度に感動したり、涙したりする回はたくさんあるのですが、この回も胸にグッと迫りました。 スドラの家長の言葉が痛いほど胸に迫り、また森辺の民の清…
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