表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界料理道  作者: EDA
第八章 徒然なる日々
161/1675

⑫ルウの収穫祭(三)

2015.1/19 更新分 1/1 2015.7/7 誤字を修正

「それでは、調理を始めたいと思います」


 俺たちは、シン=ルウの家のかまどの間に移動していた。

 顔ぶれは、屋台の商売に参加しているメンバー、ヴィナ=ルウとシーラ=ルウとララ=ルウである。


 あの後、シン=ルウはけっきょくジイ=マァムに挑まれて敗北してしまい、1勝2敗で力比べを終えることになってしまった。それを見届けたのち、俺たちは晩餐の準備に取り掛かることにしたのだ。


 俺としては、なしくずし的に力比べを続けることになってしまったアイ=ファの身が気にかかってしかたがないのだが。ダルム=ルウとの試合は無事に終えることができたので、後は不慮の事故などが起きぬよう祈る他ない。


「まずは臓物の下準備から始めましょう。こいつは鮮度が生命ですので」


 足もとに置いた鉄鍋の中には、アイ=ファが本日狩ったギバの臓物がぶちこまれていた。アイ=ファが不在であったため、ひさかたぶりに俺が摘出することになった臓物たちだ。


 これは、アイ=ファが本日ギバを狩ることができて、なおかつ血抜きにも成功することができたら添え物として献上しよう、と決めていた品だった。


 そいつを担いで、集落の裏側に流れている川に向かう。本家の人々が使用している水場の、さらに下流だ。この川は、ルウの集落の東側をなぞる形で流れているらしい。……というか、きっとこの小さからぬ川にそって集落を築いた、ということなのだろう。


 その水場で、昨日おぼえたばかりの洗浄作業をルウ家の女衆に伝授する。彼女たちは手際がいいので、血みどろの臓物たちもすみやかに清められていくことになった。


「この臓物の色合いをよく覚えておいてください。病気のギバは臓物の色が悪くなり、それを食べるとひどい食あたりを起こすこともあるそうなので。少しでも不安に思ったら、食べずに森に返したほうが賢明です」


「ふぅん、色々と面倒なのねぇ……こんな手間をかけてまで食べたくなるほど、ギバの臓物っていうのは美味しいのぉ……?」


「それは人それぞれだと思います。好き嫌いは大きく分かれるかもしれませんね」


 そうして家に戻ってみると、かまどの間の前でシン=ルウとリャダ=ルウが待ち受けていた。


「アスタ。皮剥ぎの仕事が残っているなら、我々が手伝おう」


「え? 力比べのほうはいいんですか?」


「8名の勇者が決まったので、あちらも小休止となった。もとより狩人ならぬ俺には関わりのない儀であるしな」


 そう答えたのは、リャダ=ルウのほうだった。

 長く伸ばした黒褐色の髪も、シム人を思わせる切れ長の瞳も、静かで沈着な表情も、やはりよく似た父と子である。シン=ルウも、年齢を重ねればこのように渋い男前になりそうだ。


「ありがとうございます。……あ、シン=ルウ。アイ=ファはあの後、けっきょく勝ち残っちゃったのかな?」


「ああ。レイの男衆に挑まれて、それを打ち負かした。ダルム=ルウやジイ=マァムをも打ち負かしたのだから、勇者の名に恥じぬ狩人だ。……そういえば、この小休止でもかまど番の仕事を手伝えずにすまんという言伝てを頼まれていた。どうやらリミ=ルウに引っ張られて、ジバ=ルウの寝所に向かわなくてはならなくなったらしい」


 それでシン=ルウが気をきかせて、リャダ=ルウとともにおもむいてくれたのか。

 やっぱりシーラ=ルウも含めて、この一家には頭が上がらない。


「ねえねえ、それで誰が勝ち残ったの? ドンダ父さんと、ダン=ルティムと、アイ=ファと――あと、ジザ兄やガズラン=ルティムも当然勝ち残ってるよね?」


 ララ=ルウの言葉に、シン=ルウがうなずく。


「あとは、ルド=ルウとラウ=レイと、それにミダだ」


「へー! ミダのやつ、ほんとに勝ち残っちゃったんだ! なんか生意気! ……あれ? ジイ=マァムは残れなかったの?」


「ああ。そのミダがジイ=マァムを打ち負かしたんだ」


 ララ=ルウは腕をひろげ、もう1度「生意気!」と、わめいた。

 そして、さきほどから元気のないシーラ=ルウがおずおずと進み出る。


「シン=ルウ、あの……ダルム=ルウは、大丈夫だったの?」


「姿は見ていないが、大丈夫だろう。大丈夫でなければ、アイ=ファが手傷を負わせたということで、別の人間が8名の勇者に選ばれているはずだ。……ただ、ダルム=ルウはまだ1回しか負けていないのに、他の狩人に力比べを挑むことなく、自分の家に戻ってしまったらしい」


「そう……」と、シーラ=ルウは悲しげに息をつく。

 その姿をじっと見つめてから、シン=ルウは俺に視線を戻してきた。


「それでは、仕事に取りかかろう。ギバは、小屋だな?」


「あ、ちょっと待って! 毛皮を剥ぐ前に、ちょっと片付けなければいけない仕事があるんだ」


 俺は臓物の詰まった鉄鍋をかまどの間に戻し、必要な道具をみつくろってから、シン=ルウらとともに解体小屋へと移動した。


「ちょっと待っててね」


 解体小屋の真ん中に、昨日より一回り大きい50キロ級のギバが吊るされている。

 腹を裂かれて内臓を抜かれたそのギバをいったん板の上に降ろしてもらい、右側の後ろ足に、ファの家から持ってきてもらったラードを塗りたくる。


「いったいそれは何の処置なのだ、アスタ?」


「うん、ちょっともったいないけれど、この後ろ足だけ毛皮を燃やさせてもらおうと思ってね」


 不思議そうに黙りこむ父子を横目に、俺はラナの葉で1本の薪に火を灯した。

 その火をギバの後ろ足に近づけると、じっとりとラードを含んだ黒褐色の毛がブスブスと燃え始める。


 胴体のほうから漂う血の臭いと、毛が燃える臭いが合わさって、なかなか物凄い悪臭である。

 で、あまりやりすぎると表皮のほうまで焦げついてしまうので、適当なところで水をかけ、作業は終了だ。


「それじゃあ、皮を剥ぐ前にこの右の後ろ足だけをもいでもらえるかな? この足で、今日の料理を作ろうと思っているんだ」


 きっと頭の中にはクエスチョンマークが渦巻いているのだろうが、シン=ルウにもリャダ=ルウにも理由を問われることはなかった。良くも悪くもかまど番の仕事に口を差しはさもうとはしない、寡黙な人々なのである。


「この後はいつも通りに毛皮を剥いでかまわないのだな?」


「はい。ありがとうございます。こちらは屋台の仕込み作業もまるまる残っているので、本当に助かります」


 沈着にして実直なる父子に礼を述べ、俺は戦利品を手にかまどの間へと凱旋する。


「うわー、何それ?」


 こちらでは、寡黙ならぬ女衆の代表ララ=ルウに問い質されてしまった。


「ご覧の通り、ギバの足だよ。毛皮の毛だけを焼いてきたんだ。こうすると、後の処置が楽なんでね」


 しかしその前に、まずは臓物の下準備を片付けなければいけなかった。

 刻んだホルモンはミャームーと果実酒のタレに漬け、ハツとレバーと腎臓は、そのままピコの葉にうずめさせていただく。今日は胡椒代わりのピコの葉と塩だけで、これらをいただく予定であるのだ。


「で、この足だけど、まずは焼け残った毛を綺麗に取り除くんだ」


 かまどの間にあった肉切り刀を拝借して、焦げついた黒い毛をこそぎ落としていく。

 あらかた綺麗に落とせたら、鉄鍋に張った水にしばし浸してふやかしてから、食器洗いに使うタワシ――ギバの毛皮を干し固めたもので、さらに綺麗に仕上げていく。ギバの毛皮の加工品でギバの毛皮を処理するなんて、なかなか皮肉な話である。


 何はともあれ、そうして入念に処置することで、後ろ足の表皮をむきだしにすることができた。

 人間か、あるいは豚とよく似た、肌色の表皮だ。


 これは以前――生前――とにかく、俺がこの森辺にやってくる前、ファームキャンプで猟友会の猟師さんから口伝てで聞いていた、もうひとつの毛皮の処理方法なのである。


 ファの家でも、1回だけ実践させていただいたことはあった。

 しかしこのやり方だと、焼いてしまった分の毛皮が売りに出せなくなってしまうため、アイ=ファにはあまり良い顔をされなかった。


 もっとも、ファの家で捕らえたギバの毛皮を小さな氏族に配っているというのは公然の秘密であり、建前上はすべて廃棄していることになっていたのだが。それゆえに、文句を言いたくても言うことのできないアイ=ファがあまりにも不憫であったため、このやり方は1回しか試すことができなかった、というのが正確な内情だ。


 それはともかく、2度目の挑戦も無事成功に終わったようだった。


「……で? どーしてわざわざ毛皮を剥がさずに焼いちゃったの? 毛皮だって、大きいほうがたくさんの銅貨と交換できるんだよ?」


「うん、何故かと問われれば、それは『美味しいから』としか言い様がないんだけど。宴だったらこれぐらいの贅沢は許される――と、思ってもらえるかなあ?」


「さあ? いいんじゃない? そもそもこのギバだってアイ=ファが仕留めたギバなんでしょ? だったらどう扱ってもファの家の自由じゃん」


 俺もそのように思ってこのやり方を選んだので、同意してもらえたのは心強かった。

 何せ質実にして清貧なる森辺の民なので、どこまでの贅沢が許されるかは、けっこう気を使うところなのだ。


 今回は、仕事を頼まれてから実質1日の猶予しかなかった。だから、これまでにファの家で試行錯誤してきた料理をうまい感じに組み合わせて、何とか宴に相応しい目新しさを演出できないかと、これでもそれなりに頭を悩ませたのである。


「で、この足をどうするの? 力比べが終わるのは、たぶん日が暮れる寸前ぐらいだよ?」


「こっちも下味をつけるのに時間が欲しかったからちょうどいいよ。……シーラ=ルウ、よかったらこの調理法も覚えてみたらどうですか? ちょっと今までとは違うやり方なので」


 わざわざそのような言葉をそえたのは、シーラ=ルウが彼女らしくもなく心あらずな様子を見せていたからだった。

 シーラ=ルウは、びっくりしたように俺を振り返る。


「え? あ、すみません……仕事中なのに、これではいけませんね」


 そう言って、シーラ=ルウはぴしゃぴしゃと自分の頬を叩いた。


「集中します。……ですが、わたしの家ではギバの毛皮を焼いたりは、たぶんしないと思うのですが」


「皮を残したのは、宴なのでちょっと贅沢な感じにしたかっただけなんです。アイ=ファがギバを狩っていなかったら、普通のモモ肉でこの料理を作る予定だったんですよ。ではまず下準備からいきますね」


 普段通りに、骨から肉を切り分けていく。なるべく大ぶりのブロック状に、だ。


 この右足1本で、とれる肉は4キロを下らないだろう。闘技会の優勝者にはその内の1キロ分を献上するとして、残りの3キロは、別の料理で適当に分配してもらう予定だ。


 切り分けた肉は、綺麗に洗った果実酒の土瓶で、入念に叩く。

 叩き終わったら、1キロ分の肉塊にだけ、岩塩とピコの葉をたっぷりとすりこんでいく。目安としては、普段のステーキの倍ぐらいの分量だ。


 さらには、肉塊に数箇所切れ込みを入れていき、そこに、ニンニク代わりのミャームーの輪切りを差し込んでいく。

 これで下ごしらえは完了である。


「このまましばらく放置します。時間は、『ミャームー焼き』の肉を漬け込む時間と同じぐらいですね」


 つまりは、1時間ほどだ。

 その後にまた1時間ほどかけて調理するので、完成は、ちょうど夕暮れ前になる予定である。


「それまでに、明日のための仕込み作業を済ませてしまいましょう。ヴィナ=ルウとララ=ルウはハンバーグ用の肉挽きで、シーラ=ルウはアリアのみじん切りをお願いします」


 そして俺は、他の料理で使う肉の切り分けだ。

 半身の肉塊から、ロースやバラ肉を切り分けていく、この作業が、実は1番他人まかせにできないデリケートな作業だったりするのである。


 ブロックの切り出しは、アイ=ファから譲り受けた小刀でこなし、それ以降のスライスなどは、三徳包丁で仕上げていく。

 そろそろ肉切り刀を購入しようかなあと思わないこともないのだが。宿場町で売っている肉切り刀の切れ味や使い勝手は、この狩猟用の刀と大差がないので、なかなか踏ん切りのつかない俺であった。


 と――そんなことを考えている間に、広場のほうがまた騒がしくなってきた。小休止が終わって、闘技会が再開されたのだろう。


 お顔を真っ赤にしたリミ=ルウが息せき切ってかまどの間に飛び込んできたのは、それから15分後ぐらいだった。


「すごいすごい! アイ=ファがまた勝っちゃったよ! あと2回勝ったら、アイ=ファが1番の勇者になっちゃうよ!」


「えー? 相手は誰だったの?」


 俺の疑問を、ララ=ルウが代弁してくれた。


「相手は、ラウ=レイだよ! ラウ=レイもすっごい強かったけど、アイ=ファにぽーんって投げられちゃったの! ぽーんって!」


 相手は、ラウ=レイだったのか。

 ダルム=ルウに勝てたのだから、ラウ=レイに勝てても驚くことはないのかもしれないが、何にせよアイ=ファはこれでベスト4にまでのぼりつめてしまったことになる。


 その活躍を喜んでいいのやらどうなのやら、俺としては複雑な心境だ。


「他の人はどうなったの? ルドは?」


「ルドは、負けちゃった! ミダの足をひっかけようとしたんだけど、自分のほうが先に倒れちゃったの!」


「ふーん、けっきょく父さんとはやれないまま終わっちゃったのか。さぞかし悔しがってるだろうね。そうなると、他に残ってるのは……」


「ドンダ父さんとガズラン=ルティム、ジザ兄とダン=ルティムだよ! 次がジザ兄の番だから見てくるね!」


 ドンダ=ルウ対ガズラン=ルティム、ジザ=ルウ対ダン=ルティム――奇しくも、ルウ家とルティム家の家長対跡取り息子という構図になってしまったわけだ。


 見たいような見たくないような、ちょっと物凄い対戦表である。


「ジザ兄もガズラン=ルティムも強いけどねー。ドンダ父さんやダン=ルティムにはかなわないよ。この10年間、最後に勝ち残るのは絶対にその2人のどっちかだったんだから」


 ララ=ルウの言葉に、俺はぎょっとしてしまう。


「じゅ、10年間? それはすごい記録だね。……この収穫の宴っていうのは、どれぐらいの頻度で開催されてるのかな?」


「大きいのが年に1回、小さいのが年に2回だよ。ちなみに今日のは小さい祭りね。大きな祭りでは眷族が全員集まることになってるから」


 年に3回。10年で30回。そのすべての優勝を、ドンダ=ルウとダン=ルティムのどちらかが飾ってきたというのか。

 うすうす勘づいていたことではあるが、やはりあの御仁らの力は森辺の民としても規格外であるらしい。


 で――すでにアイ=ファは、遠からずそのどちらかと対戦しなくてはならなくなる様相である。

 どれほど安全性を保証されたところで、やっぱり胃の痛くなるような話ではあった。


(まさか、アイ=ファが優勝しちゃったりしないだろうな?)


 それはそれで、何だか胃が痛い。

 もしもアイ=ファとドンダ=ルウが決勝戦でぶつかるような事態になってしまったら――俺などはもう、生きた心地がしないだろう。


 そんなこんなで時は流れすぎ、仕込み作業も終了の目処がついてきた。

 体感的に、日が暮れるまではあと1時間ほど。優勝者のための料理に取りかかる頃合いである。


「では、始めます。まずは角煮と同じように、肉の外側を強い火で焼いていきます」


 しっかりと下味のしみこんだであろう肉塊を鉄板に落とし、キツネ色に焼きあげる。肉汁を逃がさないよう、全面をまんべんなく、だ。


「そうしたら、弱火で温めておいたそちらの鉄鍋に、さっき切っておいた野菜を敷きつめます」


 切っておいたのは、タマネギモドキのアリアと、ジャガイモモドキのチャッチである。

 アリアはくし切りで4等分、チャッチは大胆に2等分だ。


 それらをびっしりと鉄鍋に敷きつめて、その上に焼きあげた肉を置いていく。


「あとは果実酒を、土瓶の4分の1ぐらい入れて、フタをしめて待つだけです。フタの上にはたくさんの石を置いて重しにしましょう」


「これで終了ですか? 何だかあの角煮という料理に少し似ていますね」


「そうですね。でも角煮なんかは水やタレで煮込みますが、この料理には香り付けの果実酒しか入れていません。これは煮るんじゃなく、果実酒や野菜から出た水分が蒸発するのを利用して、食材を蒸していくわけです」


 火が強くなりすぎないよう気をつけながら、俺は薪を追加する。


「ハンバーグやステーキなんかでも、火を通すために途中で蒸し焼きにしているでしょう? これはハンバーグやステーキより分厚い肉なので、その蒸し焼きの工程が長くなった、という風に考えてください」


「なるほど。……これは何という料理なのですか?」


「俺はいちおう、ローストと呼んでいます。『ロースト・ギバ』ですね」


 これは家や店の料理ではなく、親父や玲奈なんかとキャンプに行ったときに作ったローストポーク、ローストビーフの応用だった。


 鍋を密閉できる鉄のフタがあればなお良かったのだが、あいにくジェノスの宿場町では販売していなかった。それでもまあ、このていどの厚さの肉――厚み5センチのブロック肉ならこのやり方で蒸し焼きも可能であるということは、何度かの試みで立証できていた。


 とにかくひたすら分厚い肉を、というのが今回のメインテーマであったのだ。

 力比べの優勝者に献上されるなら、そういう豪快な料理が相応しい、という気持ちであったのだが。如何なものであろう。


「重要なのは、この火加減ですね。普段の弱火より弱いこの火加減を保持してください。強すぎると、鍋に触れている部分の野菜が焦げてしまうので」


 これで後は、40~50分ほど蒸し続ければ、完成である。

 商売のための下ごしらえは終わったことだし、そろそろ女衆を解放してあげようかな、とか考えていたら、またリミ=ルウがやってきた。


「アスタ! 料理はまだ終わらないの? 次はアイ=ファとダン=ルティムの番だよ!」


「え! アイ=ファはダン=ルティムとやりあうことになってしまったのかい?」


「うん! やっぱりジザ兄もガズラン=ルティムも負けちゃったからね! その次はドンダ父さんとミダだよ!」


 アイ=ファ対ダン=ルティム、ミダ対ドンダ=ルウか。

 何だかむやみに鼓動が速くなってきてしまう組み合わせである。


「アスタ、見にいってあげればどうですか? 火の番でしたら、わたしが承ります」


 と、シーラ=ルウが穏やかに微笑みかけてきた。


「ヴィナ=ルウやララ=ルウも、ドンダ=ルウのことが気になるでしょう? ここはわたしに任せてください」


「えー、いいのかなあ?」


 もじもじしながら、ララ=ルウが俺を振り返る。

 俺は無茶苦茶に煩悶しつつ、それでも我欲を抑えこむことができた。


「仕事はあらかた終わったからね。ララ=ルウたちは行ってきなよ。シーラ=ルウも、よかったら行ってきてください」


「いえ。わたしは自分の家の家人が出るわけではないので。……アスタは本当にいいのですか?」


「はい。ダン=ルティムでしたら、アイ=ファに怪我をさせることもないでしょうし。俺は俺の仕事を果たします」


「それじゃあ行ってくるね! 勝負がついたら結果を教えに来てあげるから!」


 そうしてルウ本家の姉妹らはかまどの間を出ていき、俺とシーラ=ルウだけが居残ることになった。


 とはいえ、数分に1回薪を追加する以外に、為すべき仕事はない。

 ちろちろと燃えるオレンジ色の炎を見つめながら、俺はひたすらアイ=ファの無事を祈ることになってしまった。


「――アイ=ファは本当に狩人として卓越した力を持っているのですね。ダルム=ルウやラウ=レイも、最近ではジザ=ルウやガズラン=ルティムに匹敵するぐらいの力をつけつつあったはずなのですよ?」


 やがて、俺と同じようにかまどの前に屈みこんだシーラ=ルウが、静かに呼びかけてくる。


「そうなんですか。……早くダルム=ルウが元気な姿を見せてくれるといいですね?」


 この言葉には、切なげな嘆息しか返ってはこなかった。

 それでも気分が落ち着かない俺は、ついつい言葉を重ねてしまう。


「あの、ダルム=ルウは、シン=ルウを庇うためにあれほどの手傷を負うことになったんですよね。俺はルウ本家の中で1番つきあいが薄いのがダルム=ルウなんですけど、彼はどういうお人柄なんですか?」


「ダルム=ルウは――とても荒々しい気性です。兄弟の中では1番ドンダ=ルウに似ていると、父リャダなどは言っていました」


「ああ、目つきなんかは、ドンダ=ルウにそっくりですもんね」


「はい。……ドンダ=ルウもダルム=ルウも、族長筋の本家に相応しい立派な狩人だと思います」


 俺はあんまりその両名とは和やかな関係性を構築することができなかった。

 しかし、ドンダ=ルウがただ粗暴なだけの御仁でないということは早い段階で知れていたから、苦手意識はあっても嫌いではなかったし、ダルム=ルウとは――やはり、最初にアイ=ファをめぐってのいざこざがあったから、そこで深い溝が生じてしまったのだろう。


「……アイ=ファは本当に、森に朽ちるまで狩人として生きていく心づもりなのでしょうか」


 やがてシーラ=ルウは、独り言のようにそんなことをつぶやいた。


「女衆として生まれたのに、子もなさず、狩人として――いえ、その生き方を否定するわけではないのですが、どうしてそのように考えることができるのかが、わたしなどにはまったくわからないのです」


「それは俺にもわかりませんけど。ただ、アイ=ファらしいなとは思えてしまいますね」


 ただ男衆の帰りを待つだけの生き方は嫌だ――と、かつてアイ=ファはそのように言っていた。アイ=ファはきっと、守られるよりも守る側の人間でいたい、と願っているのではないだろうか。


 まだ俺も本当の意味でその言葉を理解できてはいないのだろうが、アイ=ファの気持ちを尊重したい、という考えは変わっていない。


 ただ――俺自身も守られるばかりでなく、腕力以外の部分でアイ=ファを守れるような存在になりたいと願うばかりである。


「……アイ=ファは本当に、誰の嫁になる心づもりもないのですよね?」


「はい。そのはずですよ――」と、言いかけて、俺は仰天することになった。


 膝を抱えてしゃがみこみ、一心にかまどの炎を見つめながら、シーラ=ルウの横顔がかつて見たこともないぐらい真っ赤になってしまっていたのである。


「ど、どうしたんですか、シーラ=ルウ?」


「え? 何がでしょう?」


「いや、その――何かちょっと、尋常でないご様子に見受けられるのですが」


「そうですか。そうかもしれませんね」


 膝を抱えた腕の中に、シーラ=ルウは赤い顔の下半分を隠してしまった。

 そして、何とも頼りなげな視線をちらちらと俺のほうに向けてくる。


「アスタにはもうわたしの心情も伝わってしまっているんだろうなと考えたら、何だか急に恥ずかしくなってきてしまったのです。どうも申し訳ありません」


「シ、シーラ=ルウの心情? それはもしかしてダルム=ルウへの――」


「く、口には出さないでください!」


 シーラ=ルウがこんなに慌てふためいた声を出したのは、たぶん初めてだったと思う。

 そして、いつでも沈着でひっそりとしているシーラ=ルウが、こんな風に娘さんらしい感情をあらわにするのも。


(そういえば、ずいぶん大人っぽい雰囲気だけど、年齢なんかは俺より1歳上なだけなんだよな、シーラ=ルウは)


 胸の奥が、むずむずとしてしまう。

 あんまり馴染みのないこの感覚は――もしかしたら、庇護欲か何かなのだろうか。


「……アスタ」


「はい」


「……誰にも言わないでくださいね?」


「はい! もちろん!」


「そして、心配や同情も不要です。水瓶もまともに運べないわたしのような女衆に、婿を選ぶ資格などはないのですから」


「そんなことは、絶対にありませんよ!」


 俺は少し考えて、それから決然と立ち上がった。


「シーラ=ルウ、残った皮つきの肉ですが、1食分だけ、シーラ=ルウが調理してみませんか?」


「え?」


「あの肉は、簡単なステーキにでもしてみんなにふるまおうと考えていたんです。その内の1食分を、シーラ=ルウにおまかせいたします。ソースも、自分で作ってみてください」


「そ、それでわたしにどうしろと……?」


「どうするかは、シーラ=ルウ次第ですよ」


 シーラ=ルウは、赤い顔のまま、うつむいてしまった。

 それから、ふっとけげんそうに首を傾げる。


「ところで、ララ=ルウたちが戻ってきませんね。アイ=ファとダン=ルティムの力比べの結果が出たら教えに来てくれると言っていませんでしたか?」


「あ、そういえばそうでしたね」


 時間的には、すでに15分ばかりも経過しているはずである。

 おしこめておいた不安感が、またむくむくと膨れあがってきてしまう。


「えーと、ひとつの試合がこんなに長引くこともあるんでしょうかね?」


「普通はありません。だから不思議に思ったのです」


 広場のほうからは、変わらず人々の歓声が聞こえてきている。


「それじゃあきっと、ドンダ=ルウとミダの対戦がすぐに始まってしまって、ララ=ルウたちもその場を離れられなかったんじゃないですかね?」


「いえ、8名まで勇者がそろった後は、1回ずつ小休止をはさむはずなのです。……アスタ、やっぱりちょっと様子を見てきたほうがいいのではないですか?」


「いや、でも――」


「わたしなどを気づかってくれた御恩を返したいのです。どうぞ行ってきてください。……それにわたしも、少しひとりで自分の心と向き合いたくなってしまったのです」


 もしかしたら、それは俺の気持ちを察しての方便だったのかもしれない。

 たとえそうでなくっても、俺の中の不安感はそろそろ抑制がきかないぐらい高まってきてしまっていた。


「すみません、それじゃあちょっとだけ様子を見てきます」


 言うなり、俺はかまどの間を飛び出した。

 相手は、ダン=ルティムだ。ファの家を友と呼んでくれたあの御仁であるならば、よからぬ事態に発展する可能性は皆無であるはずだ――そうも思うのだが、どうにも動悸がおさまらない。


 もしかしたら、どちらかが取り返しのつかない手傷でも負ってしまったのではなかろうか?


 あるいは、悪意ある第三者でも乱入してきたのではなかろうか?


 そんな不安感を抱えこんだまま、広場のほうに足を踏み出すと――

 俺の杞憂を一蹴するかのごとく、ダン=ルティムの豪快な笑い声が聞こえてきた。


「アイ=ファよ! お前さんは本当に優れた狩人だな! 俺をここまで手こずらせたのは、ドンダ=ルウを除けばお前さんが初めてだ!」


 広場の中央で、ダン=ルティムが仁王立ちになっていた。

 が、恵比寿様のようなその顔も、つるつるの禿頭も、ででんとせりでた太鼓腹も、滝のような汗で濡れそぼってしまっている。


 数メートルをはさんで対峙したアイ=ファも、それは同様だ。ジイ=マァムが相手のときは涼しい顔をしていたのに、汗だくで、激しく肩を上下させてしまっている。


 それではやっぱり、アイ=ファたちは15分間、ひたすら力比べを続けていただけだったのか。


「だけどそろそろ終わりにさせてもらおう! いい加減に俺も腹が減ってきてしまったのでな!」


 言いざまに、ダン=ルティムが両腕を広げてアイ=ファにつかみかかった。

 その俊敏さに、俺はぎょっとしてしまう。

 100キロはあろうかという巨体であるのに、アイ=ファやダルム=ルウにも劣らぬ瞬発力ではないか。


 アイ=ファはかろうじて横合いに跳びすさったが、ダン=ルティムの動きは止まらなかった。

 広げた腕の片方が、うなりをあげてアイ=ファに襲いかかる。


 アイ=ファはダン=ルティムの脇腹を蹴り、さらに後方へと跳躍した。

 が、それと同じスピードで、方向転換したダン=ルティムが追撃する。


 アイ=ファは身を屈め、ジイ=マァムを打ち負かした水面蹴りで応酬する。

 が、ダン=ルティムはふわりと跳躍し、難なくその攻撃も回避してしまう。


 すかさずアイ=ファは地面に両手の平をつき、山猫のように跳びすさった。

 一瞬前までアイ=ファの頭があった空間が、ダン=ルティムの指先によって握り潰される。


 歓声が、凄まじかった。

 これまでで1番の、大歓声だった。


 こんな人間離れした闘いを15分間も続けていたのかと、俺は言葉を失ってしまう。


 ダン=ルティムは、やはり規格外の存在であるようだった。

 どうしてあんな太鼓腹で、アイ=ファと同じぐらい機敏に動けるのだろう。

 体重なんかはアイ=ファの倍近くもあるはずなのだから、そんなのは、あまりに卑怯ではないか!


 しかもダン=ルティムは、合間合間で「ガハハ」と大声で笑っていた。

 それはもう、楽しくて楽しくてたまらないとでもいうような笑顔であった。


 いっぽうのアイ=ファは、必死そのものである。

 それこそ巨大なヒグマかローランドゴリラに襲われる山猫のような有り様だ。


「ア――」と、無意識の内に、俺の口から声がこぼれていた。


「アイ=ファ! あきらめるな! 頑張れ!」


 果たしてその声が届いたのかどうか――意を決したように、アイ=ファがダン=ルティムの懐に跳びこんだ。

 しかし、ダン=ルティムはダルム=ルウのようにそれを回避しようとはせず、しっかりとその場に踏みとどまったまま、肉迫するアイ=ファに腕を振り下ろす。


 アイ=ファは身をよじり、ダン=ルティムの右側に回りこもうとした。

 その腕が、ついにダン=ルティムの指先に捕らえられた。

 それと同時に、アイ=ファが身を屈め、ダン=ルティムの足を払おうとする。


 ダン=ルティムがそのままアイ=ファの腕をつかんでいたら、何かまた豪快な投げ技がきまっていたのかもしれない。

 しかし、ダン=ルティムは何の未練もなくアイ=ファの腕を放し、片足をひょいっと浮かせることにより、その攻撃をも回避してしまった。


 攻撃をすかされてしまったアイ=ファは、たたらを踏む格好で倒れかかりそうになる。

 その背中へと、ダン=ルティムがあらためてつかみかかった。


「アイ=ファ!」


 アイ=ファは片足を軸にして、素早くダン=ルティムに向きなおった。

 その両肩に、ダン=ルティムの太い指先がかけられる。

 万事休すだ。


 ダン=ルティムの突進を受け止めかねたように、アイ=ファの身体が後方に倒れこんでいく。

 しかし――倒れこみながら、アイ=ファの右腕がダン=ルティムの胸ぐらをひっつかみ、地面を踏もうとしていた右足の先を左足で蹴っていた。


 ダン=ルティムの体勢が、初めて大きく崩れかかる。

 だけどこのままではアイ=ファもろとも倒れこみ、アイ=ファがその巨体にプレスされてしまうだけのことだ。


 だからアイ=ファは、ダン=ルティムの太鼓腹に右膝をめりこませつつ、自分から下側へと体重を落としていた。


 胸ぐらをひっつかみ、足を蹴り、体重を下に落とす。それらの挙動が相互作用を起こしたのか――ダン=ルティムの巨体が前のめりになり、ふわりと浮いた。


 たぶんこれは、柔道でいう巴投げだ。

 ただしアイ=ファは、その過程で後ろざまに左手をつこうとした。

 いや、それは俺の目の錯覚だったのだろうか。結論として、アイ=ファは左手をつくことなく、そのまま右膝でダン=ルティムの腹を蹴りあげ、見事に投げ飛ばしてみせたのだった。


 ダン=ルティムの巨体が空中に半円を描きつつ、地響きをたてて落下する。


 人々は、感極まったように歓声を爆発させた。

 が、それはまたラー=ルティムの威厳ある声音によって断ち切られた。


「ルティムの家のダン=ルティムの勝利である! ファの家のアイ=ファは退くべし!」


 次に吹き荒れた人々の声は、不平と非難の嵐であった。


 禿頭で、白い顎鬚を生やしたルティムの長老は、鷹のごとき眼差しで人々を睥睨する。


「ダン=ルティムの身体が地に着くより早く、アイ=ファの腰が地に着いていた。よって、勝利したのはダン=ルティムである!」


 だからアイ=ファは、途中で左手をつこうとしていたのか。

 そのアイ=ファは、地面で大の字になったまま、ぜいぜいとあえいでいた。

 投げ飛ばされたダン=ルティムも、2メートルばかり離れた場所で、同じようにあえいでいた。


 人垣から飛び出したガズラン=ルティムが父親に向かっていく姿を確認してから、俺も広場へと足を踏み込む。


 まだちょっと不平気味の響きが混じった歓声ならぬ蛮声に背中を押されつつ、俺はアイ=ファのもとに駆け寄った。


「アイ=ファ! 大丈夫か!?」


「だい……じない……」


 まぶたを閉ざし、大きく口を開けたまま、アイ=ファはかすれた声でそう応じてくれた。

 こんなに精根尽き果てたアイ=ファを見たのは、初めてだった。


「肩を……貸してくれ……ひとりでは、まともに歩けそうにない……」


「わかった」


 俺はアイ=ファの右腕を取り、背中を支えてやりながら、その身体を引き起こした。

 火のように熱いアイ=ファの身体が、力なく俺にもたれかかってくる。


「汗で……アスタが汚れてしまうな……」


「かまうなよ。アイ=ファのほうはそれどころじゃないだろ」


 すると、息子の力強い腕によって引き起こされたダン=ルティムが、へろへろの顔で笑いかけてきた。


「てっきり俺の負けかと思ったぞ! アイ=ファ、どうして左手で身体を支えなかったのだ? さすれば勝利はお前さんのものであったろうに!」


「……左腕は、まだ傷が癒えたばかりであったから、ダン=ルティムの巨体をも支えきる自信がなかったのだ。また骨が外れてしまったら、狩人としての仕事が果たせなくなってしまう」


「そういうことか! 得心がいった!」


 ダン=ルティムは、ガズラン=ルティムを引っ張るような格好で俺たちに近づいてきた。


 満面の笑みを浮かべた汗だくの顔が、ぬうっとアイ=ファに寄せられる。


「お前さんは、本当に立派な狩人だ! ただ優れた力を持っているばかりでなく、狩人にとって何が1番大事であるかをきちんとわきまえている!  お前さんのように立派な狩人を友とすることができて、俺は心の底から嬉しく思うぞ、アイ=ファよ!」


「過分な言葉、いたみいる。……では」


 その言葉と同時に、足を蹴られた。

 退くぞ、という意なのだろう。この上なく楽しそうに笑っているダン=ルティムと、はにかむように微笑んでいるガズラン=ルティムに頭を下げてから、俺は闘いを終えた家長とともにその場を辞去することにした。


 惜しみのない拍手と喝采が、アイ=ファを祝福してくれている。

 本当に、うちの家長様はとんでもないなあと、俺はついつい苦笑してしまった。


「……何だ? ぶざまに負けた私を笑っているのか、アスタよ?」


「え?」


 驚いて目を向けると、アイ=ファは俺の肩にぐったりともたれたまま、唇をとがらせていた。


「どこがぶざまだよ。あのダン=ルティムとあそこまでやりあえる男衆なんて、ルウの眷族にだってそうそういないんじゃないか?」


「……しかし、負けは負けだ」


「えーと、勝つことは誇りになっても負けることが恥にはならないとか、ララ=ルウがそんな風に言ってなかったっけ? だいたい、悔しがるような内容じゃなかっただろ?」


「そんなわけがあるか。あと一歩のところで負けてしまったのだから、悔しいに決まっている」


 と、家長は可愛らしく唇をとがらせたまま、甘い香りのする金褐色の頭でぐりぐりと俺の頬を責めたててきたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 現在五周目です。 面白すぎて周回が止まりません。 [気になる点] 「シン=ルウ、あの……ダルム=ルウは、大丈夫だったの?」 家人が氏を付けて呼んでますが、家長だからでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ