祝賀の宴⑤~新たな出会い~
2023.5/23 更新分 1/1
プラティカやシリィ=ロウとお別れした俺たちは、次なる宴料理の卓を目指した。
その道中でも、さまざまな人々が声をかけてくる。アイ=ファは着飾れば着飾るほど人の注目を集めてしまうし、本日はレム=ドムもそれに匹敵するぐらいの関心を寄せられているし、俺は俺でジェノスで一番の料理人などと祀り上げられてしまった身であるし――とにかく、こういった祝宴をひっそり楽しむなどというのは、もはや至難の業であったのだ。
しかし俺たちも、宴料理にかまけて人々との交流を二の次にすることは許されない。それで俺たちがめいっぱい社交に励んでいると、要所要所でバージが入り込み、さりげなくガーデルの存在をアピールした。
裏事情を知らない人間はガーデルの功名に注目するし、裏事情を知る人間はガーデルの人柄に注目する。しかし俺の見る限り、その注目度というのはささやかなものであった。どのように紹介されてもガーデルはへどもどするばかりであったので、人々の関心もすぐさま薄らいでしまうようであるのだ。ある意味では、俺やアイ=ファやレム=ドムの存在感が、いっそうガーデルの影を薄くしてしまっているのかもしれなかった。
(ガーデルがもっと社交的な人間だったら、これをきっかけに親睦が深まりそうなもんだけど……こればっかりは、しかたないよな)
ともあれ、バージがどれだけガーデルのために尽力しているかは理解できたし、その手腕の巧みさも実感できた。あとはやっぱり、ガーデル本人次第であるのだ。
「おお、アイ=ファ殿! 本日は、とりわけ麗しきお姿であるな!」
と、いくつめかの卓に到着すると、いっそう派手に出迎えられた。
本日の主役とも言うべきデヴィアスが、数多くの貴公子や貴婦人とともに待ち受けていたのだ。銀獅子の頭を右肩にのせたデヴィアスは、とろけるような笑顔でアイ=ファの艶やかな姿を見つめたおした。
「ううむ、王都の宴衣装というのは、実に罪深い! 今日ばかりは、俺も悩殺されてしまいそうだ! まあ、アイ=ファ殿の麗しき姿を目にするたび、毎回同じような歓喜と煩悶を抱え込んでしまうのだが! 本日のアイ=ファ殿の色香には、魂を溶かされてしまいそうだぞ!」
アイ=ファは究極的な仏頂面をこしらえながら、何も言い返そうとしなかった。
するとデヴィアスは、銀獅子が鎮座していない方向に首を傾げる。
「どうされたのだ、アイ=ファ殿? ここは凛々しく、俺を罵倒する場面であろう?」
「あなたを罵倒した覚えはない。それに、私は……城下町の作法というものをどのように受け入れるべきか、思案しているさなかであるのだ」
「よくわからんが、俺を相手に遠慮する必要はござらんぞ! アイ=ファ殿に罵倒されるのも、俺にとっては悦楽のひとときであるのだからな!」
「……そのように言われると、私はいっそう正しき道を見失ってしまいそうだ」
気の毒なアイ=ファは、深々と溜息をついた。
すると、ガーデルをともなったバージがひょこりと進み出る。
「本日の剣王に、ご挨拶が遅れてしまいましたな。デヴィアス殿、闘技会の優勝おめでとうございます。デヴィアス殿のご活躍は、余すところなく見届けさせていただきましたぞ」
「おお、バージ殿! それにガーデルも、ご苦労であったな! 傷の具合は、大事ないか? 森辺の方々やティカトラス殿とは、順当にご縁を深められているか?」
「あ、いえ……お、俺なりに力を尽くしているつもりではあるのですが……」
「頼りない返事だな! 飛蝗を潰して回ったという気概を、こういう場でも発揮してみせるがいい!」
デヴィアスも先日の森辺の祝宴でガーデルの業の深さを思い知り、今後はいっそう心を砕くと約束してくれたわけであるが――さすがに今日は、闘技会での優勝に浮かれきっているようである。そして、彼の活力に引きずられるようにして、その場にはいっそうの熱気がわきかえっているように感じられた。
「わたしからも、祝福を捧げさせていただくわ。あのメルフリードを打ち負かすなんて、本当に大した力量ね。できることなら、わたしも手合わせを願いたかったわ」
レム=ドムが颯爽とした足取りで進み出ると、デヴィアスはまた「おお!」と目を輝かせた。
「レム=ドム殿か! メルフリード殿はそちらとの勝負で深手を負っていたのだから、何も大した話ではない! 俺こそ、レム=ドム殿の胸をお借りしたいところであったぞ! ……ああいや、決しておかしな意味ではなくな!」
「誰もおかしな意味で受け取ることはないわよ。あなたは本当に、愉快なお人ね」
レム=ドムはくつくつと咽喉で笑ってから、あらためてデヴィアスの笑顔を見据えた。
「でも、たとえメルフリードの身が万全であっても、あなたとの勝負はどう転んでいたかわからないと思うわ。もしもまた森辺の祝宴に招かれる機会があったら、袋剣の勝負でもお願いできないかしら?」
「森辺の祝宴に招いていただけるなら、如何様にも! 俺もガーデルの上官として、すべての面倒をバージ殿におまかせするつもりはないからな!」
「ええ。デヴィアス殿と左右からガーデルを支えられるなら、小官としても心強い限りです」
年齢はさほど変わらないようだが、やはりバージはデヴィアスを目上の人間として扱っているようだ。ただその骨ばった顔には気安い笑みがたたえられており、それはデヴィアスのほうも同様であった。
その後は、貴婦人と貴公子による挨拶の波状攻撃である。俺は何とかアイ=ファの隣を死守しつつ、その猛攻をくぐりぬけてみせた。やはりアイ=ファは普段以上に目新しい宴衣装を纏っているため、ひときわ人々の昂揚をかきたててしまうようであった。
「それはあなたも同じことでしょうよ。今日のあなたたちはいつも以上に、ふたりでひとりという様相よ」
そのように囁きかけてきたのは、レム=ドムである。そういえば、俺とてアイ=ファと同じ様式の宴衣装に身を包んでいるのだ。本日は姿見も拝見していないので、俺は自分の姿を客観的に把握できていないようであった。
ともあれ、挨拶を終えたのちは、宴料理だ。
デヴィアスとバージが歓談している隙に、俺たちは胃袋を満たすことにした。そちらもダイアが準備した華やかなる宴料理で、舌ばかりでなく目や心も楽しませてくれた。
そんな中、ひとつの大柄な人影が近づいてくる。
そちらに向きなおった俺は、思わずぎょっとした。その人物は、額から鼻の下までびっしりと包帯を巻きつけていたのだ。
「失礼する。レム=ドム殿に、ご挨拶を願いたい」
「あら、誰かと思ったら……あなたは、ロギンよね?」
「如何にも」と、その人物は首肯した。
首から下は立派な武官の礼装であるし、立ち居振る舞いも実に毅然としている。短めの髪も綺麗に整えられているし、体格も堂々としたものであるし――それでいっそう、顔を包帯でぐるぐる巻きにされているのが異様に思えてならなかった。
彼はレム=ドムとの勝負において、顔面を左右から殴打されたあげく、脳天に長剣を叩きつけられたのだ。遠目にも額から出血するのが見て取れたほどであるし、メルフリードよりもさらに重傷であるのだろう。そんな彼が祝宴に参席しているとは、ちょっと意外なところであった。
「ロギンとは、レムと勝負をした剣士のひとりであったな。無用の手傷を負わせてしまったことを、俺からも詫びさせてもらいたく思う」
ディック=ドムが厳粛なる面持ちで口をはさむと、ロギンは包帯の隙間からそちらを見返した。
「貴君は、ディック=ドム殿であられたな。以前にもどこかの祝宴でお姿をお見かけしたように思うが……レム=ドム殿とは、どのようなご関係で?」
「俺は、レムの兄となる」
「レム=ドム殿の兄君であられたか。では、あらためてご挨拶をさせていただきたい。小官は近衛兵団の副団長を拝命している、ロギンと申す」
ロギンは右手を胸もとにあてがい、浅く礼をした。ひとつひとつの所作がいかにも武人めいていて、なかなかの風格である。その包帯の下にどのような素顔が隠されているのか、気になるところであった。
「ところで先刻、無用の手傷と仰っていたようだが……闘技会にて禁じられているのは、対戦相手の生命を奪うことのみとなる。であれば、謝罪には及ぶまい?」
「うむ。森辺の勝負においては手傷を負わせることも禁じているため、どうしても詫びたい心持ちになってしまうようだ。それが城下町の流儀に反した行いであったなら、それこそ詫びさせていただこう」
「……貴君の誠実なる振る舞いに、敬意を表したく思う」
と、ロギンは再び頭を垂れる。
メルフリードの配下と聞いて俺が連想するのは、こういうお人柄である。俺は心から、感銘を受けることになった。
すると、俺の想像を裏切った人物が、にやにやと笑いながらこちらに向きなおる。
「おや、副団長殿も参席しておられたのですな。その深手では、果実酒を楽しむこともできますまい?」
「……小官が酒をたしなまないことは、貴君も承知しているはずでは?」
「おお、そうでした。これは迂闊でありましたな」
貴族に対しては恭しいバージであるが、同じ兵団の上官に対してはずいぶん気安い態度である。しかしまあ、それは親愛の表れなのかもしれなかった。
「あなたに深手を負わせてしまったのは、わたしが未熟であったからだわ。だけどまあ、裏を返せばあなたがそれだけの強敵であったということなのだから、何とか容赦を願いたいところね」
レム=ドムがそのように発言すると、ロギンはうっそりとそちらを振り返った。
「……小官は昨年ディム=ルティム殿に敗れ、一昨年にはゲオル=ザザ殿に敗れることに相成った。本年こそはその雪辱を晴らすべく、己を磨き抜いたつもりであったのだ」
「ふうん。それで?」
「……しかし、レム=ドム殿の太刀筋には、己を凌駕する執念を感じてやまなかった。レム=ドム殿のような剣士と尋常に勝負できたことを、心より誇らしく思っている」
そう言って、ロギンはこれまでよりも深く一礼した。
「レム=ドム殿の剣技と執念に、敬意を表したい。貴女は素晴らしい剣士だ、レム=ドム殿」
「……ありがとう。まあ、わたしは剣士ではなく、狩人なのだけれどね」
と、レム=ドムは珍しくも表情の選択に迷っている様子で、曖昧に微笑んだ。
「なんだか、剣士ならぬ身で闘技会に挑んだことが、今さら後ろめたく思えてきてしまったわ。あなたたちの活躍の場を荒らしてしまって、ごめんなさいね」
「謝罪など、不要であろう。何故にレム=ドム殿が詫びなければならぬのか?」
「だって、狩人ならぬ人間がわたしたちの狩り場を荒らしたら、こっちだって腹立たしく思うもの」
「しかしその狩人ならぬ者が正しき作法でギバを狩れたのなら、何も腹立たしく思うこともないのでは? 貴女は闘技会の作法に則り、尋常に勝負をして、その身の力を示してみせたのだ。どうか後ろめたさなど感ずることなく、己の武勇を誇っていただきたい」
ロギンが厳格なる声音で言いつのると、レム=ドムは苦笑しながら前髪をかきあげた。
「あなたはずいぶん生真面目な気性であるようね。ちょっと苦手な人柄だわ」
「苦手とは? 小官が、何か失礼を働いてしまったであろうか? であれば、即刻詫びさせていただきたい」
「そういう部分が、苦手だと言っているのよ。あなたはディックやアイ=ファなんかと気が合いそうね」
それだけ言ってレム=ドムは身を引こうとしたのだが、ロギンはずいっと身を乗り出してそれを許さなかった。
「待たれよ。貴女を不快にさせてしまったのなら、そのまま捨て置くことはできん。どうにか小官の無作法を許していただきたい」
「だから、許すも許さないもないっていうのに……ちょっと誰か、どうにかしてもらえない?」
さしものレム=ドムが困った面持ちで視線を巡らせると、デヴィアスが「ふむふむ!」と進み出てきた。
「ロギン殿は面相を隠しているために、普段以上に内心が知れんようだ! もしや、レム=ドム殿の美しさに心を奪われてしまわれたのであろうかな?」
「……森辺の方々の容姿を褒めそやすのは、控えるべしという話では? また、森辺の方々に軽はずみな恋情を向けることも、禁じられているはずであろう」
「ロギン殿は誰が相手でも、軽はずみな恋情を抱くことなどあるまい! それで余計に、心配になってしまうのだ!」
ロギンはしばらくデヴィアスの笑顔を見つめてからドムの兄妹を振り返り、余人の耳をはばかるように声をひそめた。
「……小官はメルフリード団長閣下の麾下であるため、レイリス殿とスフィラ=ザザ嬢の因縁についても仔細をわきまえている。よって、森辺の女人にうかうかと恋情を抱くことなどはありえないと、そのように信じていただきたい」
「うむ。そちらが虚言を吐いていないことは、こちらもわきまえているつもりだが」
「それは心より、ありがたく思う。ではその上でレム=ドム殿と絆を深めることを、兄君たるディック=ドム殿にお許し願えるであろうか?」
「……人と人が絆を深めるのに、余人の許しなど必要なのであろうか?」
「うむ。もしも小官が恋情などを抱いてしまった際には、ご家族たるディック=ドム殿にもご迷惑がかかってしまおう?」
「あなたは、何を言っているのよ」と、レム=ドムは呆れた顔をした。
「さっき、森辺の女衆にうかうかと恋情を抱くなんてありえないと言っていたじゃない。その舌の根も乾かない内に、おかしなことを言わないでほしいものね」
「もちろん小官は、厳しく己を律するつもりでいる。しかし貴女はそれほどに魅力的な女人であられるのだから、いずれ小官が真正の恋情を抱いても不思議はあるまい」
冗談など言っている様子もなく、ロギンはそのように言いつのった。
デヴィアスは、とても興味深げにそのさまを見守っている。
「ロギン殿ロギン殿、森辺の方々の容姿を褒めそやすのは、控えるべきでは?」
「小官が魅力的と称したのは、レム=ドム殿の清廉なる人柄と強さを欲する執念についてである。誤解をさせてしまったのなら、詫びさせていただこう」
「俺は、誤解していない。しかし、恋情を抱く恐れがあるならば、むやみに近づくことを控えるべきでは?」
ディック=ドムの厳かなる言葉に、ロギンは「否」と首を横に振る。
「もしも小官が恋情を抱いてしまったならば、レイリス殿と同じ苦悩を授かることになろう。しかし、そのような苦難を恐れて、レム=ドム殿との交流をあきらめたくはない。重ねて、自らを厳しく律すると約束するので、レム=ドム殿との交流を許していただきたい」
「だから、どうしてそうまでしてわたしに寄ってこようとするのよ?」
「それは、貴女の執念に感服したがゆえである。小官は貴女を見習い、剣士としてより高みを目指したいと願っているのだ」
ロギンは、怖いぐらいに澱みのない眼差しでレム=ドムを見つめている。
ディック=ドムは、「そうか」とうなずいた。
「その眼差しには、レムと似たものを感じてならない。だからこそ、ロギンはレムの存在に心をひかれるのやもしれんな」
「……ちょっと、あなたまでおかしなことを言いださないでよ、ディック?」
「何もおかしなことを言っているつもりはない。こちらのロギンは信用に足る人間であるので、お前も存分に絆を深めるがいい」
「それが、おかしいって言ってるのよ! 面倒ごとは、事前に避けるべきでしょう?」
レム=ドムがいきなり声を張り上げたものだから、遠慮をして距離を取っていた貴婦人や貴公子のみなさんがびっくりまなこで振り返った。
が、ディック=ドムは沈着にして重厚なる面持ちである。
「お前は何を騒いでいるのだ? お前はロギンとの勝負において、大きな糧を授かったはずだ。今度は、その恩を返すべきであろう」
「それでこのお人がおかしな思いを抱いてしまったら、どうしてくれるのよ?」
「そのときは、スフィラ=ザザやレイリスのように正しき道を探すしかあるまい。心を正しく律すれば、必ず道は開けるのだ」
そういえば――モルン・ルティム=ドムはスフィラ=ザザの勇気に感銘を受けて、ディック=ドムへの恋心を打ち明けることになったのだ。それを知るディック=ドムだからこそ、そのように力強い言葉を口にできるのかもしれなかった。
ただ気の毒なのは、レム=ドムである。彼女も齢を重ねるごとに頼もしさや風格が増していたが、さすがにディック=ドムほど達観してはいないのだ。それでレム=ドムは彼女らしくもなく、大いに慌てふためくことになってしまった。
「ああもう、話にならないわ! こうなったら、あなたの長であるメルフリードに言いつけてやるからね! せいぜい、そこで怯えていなさい!」
「待たれよ。レム=ドム殿を不快にさせてしまったのなら、詫びさせていただきたい」
と、レム=ドムとロギンは追いかけっこをするように立ち去ってしまう。
ディック=ドムがいくぶん眉をひそめつつ振り返ると、アイ=ファはすぐさま「大事ない」と応じた。
「あちらにジザ=ルウらの姿がうかがえるので、我々はそちらに身を寄せることにしよう。ディック=ドムは、家族の面倒を見てやるがいい」
「こちらから同行を願っていた身であるのに、申し訳ない。この不始末は、いずれ何らかの形で詫びさせてもらいたく思う」
「無用の気づかいだ。それよりも、レム=ドムが不始末を起こさないように取り計らうべきであろう」
そうしてディック=ドムもまた、賑わいの向こうへと消えていった。
しばらく傍観の体であったバージが、「やれやれ」と肩をすくめる。
「おたがいの関係者が、おかしな騒ぎを起こしてしまったな。これは近衛兵団の一兵卒として、俺からも詫びるべきであろうか?」
「誰が詫びる必要もあるまい。森辺と城下町では作法や流儀が異なるのだから、おたがいに心を砕いて折り合いをつけるしかなかろう」
「これは生まれ素性ではなく、人柄の問題であるように思えるがな。変わり種と変わり種がぶつかって、愉快な現象が生じたということだ」
アイ=ファとバージがそのように語らうかたわらで、ガーデルはもじもじと大きな身体を揺すっている。俺が「どうしたのですか?」と呼びかけると、ガーデルは目を伏せつつ振り返ってきた。
「はあ……俺にはさっぱり事情がわからなくて、ただ見守ることしかできなかったので……果たしてこれでよかったのかと……」
「あはは。それは俺も同様です。こればかりは、当人同士でどうにかするしかないと思いますよ」
俺もレム=ドムのことは心配であったが、ガーデルを安心させるためにそう言っておくことにした。
すると、アイ=ファが横から頭を小突いてくる。
「とにかく我々は、ジザ=ルウたちと合流だ。デヴィアスよ、ひとまず失礼する」
「うむ! またその麗しき姿を拝見できるように願っているぞ!」
デヴィアスも本日は祝福を受ける立場であったため、俺たちについてこようとはしなかった。
俺たちは足早に広間を進んで、隣の卓を目指す。そちらでは、ルウとレイの面々が数多くの貴族たちと社交していたのだった。




